大熊猫蔵コミュの【左の道へ】

　
　坂上のＴ字路から左に曲がってずっと歩いてきた。見慣れた景色。元の世界とほとんど変わらない。あ、この無人販売所も。
　僕の家の付近は近くにスーパーがない。さっきの商店街まで行かないと。でも唯一、店らしい店というか、無人販売所だけど、ここで野菜を買うことができる。すぐ横の畑の野菜を売っているみたいなんだけど、なんかあんまり手入れされている気配もないのに、ここの野菜はけっこう美味しいんだよね。そういや前に車で買いに来ている人を見たっけ。
　その無人販売所の横の畑に人が居る。
　一瞬、身構える……けれど、その人は一生懸命、畑の世話をしているようだ。麦藁帽子をかぶったおじいさん。ひょっとしたら、死んだ後もこの畑が気になって世話しているのかな。なんだか温かい気持ちになる。
　いつもごちそうさまです。
　心の中でおじいさんに挨拶をすると、僕は少し急ぎ足になった。僕は寄り道をするためじゃない、美津葉を助けるために自分の家に寄ろうとしているのだから。
　
　もうすぐ僕の家に着く。あと十メートルもない。そんなときだった。犬の吠え声が聞こえた。そして、どこからか、真っ黒の大型犬が飛び出してきた！
　
　
　
→逃げる
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→身構える
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