広島と麻コミュの高知県知事秘書今城さんの麻産業に対する意見を紹介します。

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２００６年度　２巻

８月２５日

大麻を特産品に！？

　昨日は、持続可能な循環型植物「麻」による自立した里山再生構想という講演会に行って来ました。この講演会は高知ヘンプユニオンというグループが主催して、高知市、四万十町、四万十市、黒潮町の４ヶ所で４日連続開かれるものです。ヘンプとは英語で麻という意味です。私は四万十町の高南農業改良普及所での講演を聞かせてもらいましたが、開場には多くの若手農業経営者が集まっていました。
　麻は神社のしめ縄、相撲の横綱の綱に使われているように、日本文化においてなくてはならない植物です。繊維以外に、実は油にしたり、様々な料理に使うことができます。また、１年間で３メートル以上も成長し収穫できることから、すくすく育つことを願って、麻子とか麻衣などと名前にも麻の字が使われることがあります。
　大麻というと麻薬のイメージしかありませんが、もともとは胡麻と麻を分けるため、幅広く利用できる麻に対して「大いなる麻」ということで付けられた名前だということです。大麻は戦後、アメリカの占領政策として栽培を制限されるようになり、昭和２３年に大麻取締法ができました。ただ全国で伝統的に利用されていたことから、栽培農家の混乱をさけるために知事の許可による免許制となっています。許可を受けるための具体的な制限としては、種と繊維に限ること、大麻の常習者でないこと、受刑中でないこと、未成年者でないこと、作物として出荷する農家であることなどの条件しか決められていないため普通の人であれば誰でも取れる免許となっています。しかし、麻薬のイメージが強いこともあって、申請者が少ないのが現状です。一方、県によっては審査の基準が明確になっていないところがあるようです。
　そんな中にあって栃木県では、伝統的に栽培されていた大麻を継続して栽培するため、薬物作用のない独自の品種を作り、神社など用に販売ルートを築いています。また奈良県では奈良サラシのための織物材料として栽培されています。最近では、高知市と姉妹都市の北海道北見市が、先進的に麻栽培を進めているドイツやフランスを視察し、民間主導で産業化を検討しています。他にも長野県で商工会が主導して、道の駅での製品販売を始めているとのことです。海外ではヨーロッパやカナダで遊休地を活用した栽培が進められ、麻の実は家畜の餌、繊維は衣服や建材に利用され、メルセデスベンツなど車の内装材としてもプラスチックの代わりに使用されています。石油などの地下資源による環境破壊が進んだことから、バイオマス資源が注目されていますが、中でも大麻はその成長の早さと、２５，０００種類もの製品が作れると言われるくらいに様々な利用が可能なことから、優れた作物として関心を集めています。

　そこで、高知県でも大麻の栽培をしてみようという動きが出て、専門家を招いての今回の連続講演となったものです。初めは大麻と聞いて危ない話だなと思いましたが、詳しく聞いてみると何とも夢のある構想のように思えてきました。問題なのは知事の許可が得られるかどうかということです。加えて、栃木の品種は県外持ち出し禁止になっているので、薬物作用を起こさない品種を高知県で独自に開発することも求められます。高知では麻の実が伝統料理に利用されている地区があり、四万十市のいやしの里でも麻を利用した健康生活のプランもあるようです。さらに大麻はもともとは薬としても利用されていましたから、成分の研究が進めば医薬への利用が開けるかもしれません。高知ヘンプユニオンでは、麻の研究と栽培技術の確立をすすめ、地域産業のひとつとして位置づけられるよう活動を広めていくとのことです。