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半蔵門でゆるい読書会コミュの連作物語 「2016」

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【一緒に書きませんか】

今回も、どなたでも参加できます。 どんどん、続きを書いてください。特に普段書かない方、新しい方歓迎です。

ちなみに、連作で、一緒に、物語を書くのも、3回目になります。
(最初の「2012」、二回目の「2014」それぞれスクロールすると、その頃の読書会の様子が思い出されるのは、ぼくだけではないでしょう)


【やり方】 続きを書こうと思われた方は、コメント欄で、まず「次回書きます」と名乗りを上げることをお勧めします。
 ∵書いているうちに他の方にアップされてしまうかもしれないから。
 名乗りを上げたら、遅くても3日以内にアップしてください

今回は、管理者として、ゆう、みけねこ(敬称略、順不同)があたりますので、この2人の指導に従ってください。

【感想などの書き込み】執筆されなくても、ご感想、ご要望、ファンレターなどご自由に、連作物語の途中に随時どしどしコメント欄にお書き込みください。コメント欄が汚れるのはウェルカムです。
なお、コメントと連作の執筆と区別するため、執筆者各位は、執筆の際に、冒頭に(第○回の)番号を、必ず振ってください。

【いつまで続くか】連作物語「2016」の完成(というか終了)は、2016年4月1日とします。

                                           (2015 10 08 開始)
4月1日を経過してしまったので、終了の期限は未定に変更させていただきます
                                           (2016 4 6)

コメント(59)

連作小説2016

第4回(その1)



「ごめん、電気系統がいかれちゃったみたいだ。これでは料理も出せないし、紅茶も出せない。真っ暗だから本を読むこともできない。今日の読書会は開催が困難だ。皆悪いけど、帰ってもらってもいいかな?」
JONYは申し訳なさそうに言った。

「そういうことなら、仕方ないですよね」
もえはすかさずフォローするかのように言った。

「分かりました・・・帰ります」
今日初参加らしき若い女の子は涙をぬぐって、扉を開けて足早に出て行った。

すれ違うように、MASAが入店してきた。
「今の娘、どこかで見たような・・・あっ、こんばんは。店内が真っ暗ですけど、何かあったんですか?」

「あぁ、MASAか。いいところに来てくれたね」
JONYはホッとしたように言った。

「MASAさん、JONYさんの顔を見てください」
もえは泣きそうだった。

「こ、これは もえさん!・・・えっ、JONYさん!!それは特殊メイクではないですよね?一体何があったんですか?」
MASAは大声になっていた。

「君たちなら、話しても大丈夫そうだね」
JONYはそう言ってから事の顛末を慎重に話し始めた。



「・・・なるほど、そんなことがあったんですね」
MASAは腕組みをして、悩ましそうな顔をしながら小声で言った。

そのとき、リョウジが慌てて入店してきた。
「遅かったようですね・・・」

「リョウジ!!一体何をしてたの!?」
もえは大声で言った。

「ああ、いらっしゃい。今日の読書会は見ての通り諸事情で中止なんだけど・・・ちょっとこのメンバーで話し合ってたとこさ」
JONYは作り笑いをしながら言った。

「あっ、リョウジさんと もえさん って、親しい関係・・・?」
MASAは驚いた表情をして小声でつぶやくように言った。それは周囲には聞こえなかった。

「・・・状況はすべて理解できました。JONYさんとMASAさんと もえ以外には誰もいないようなので、話しましょう」
リョウジはそう言って席に座り、淡々と話し始めた。

「俺はIT企業に勤務しているのですが、実はここ数年、サイバーテロ対策を担当しています。主に国の機関に対するサイバーテロを未然に防いだり、攻撃があっても防御する といった仕事です。国からの委託なので、話せないこともたくさんありますが、仕事をしている中でとても気になる動きを見つけました。それは、衆議院第一議員会館からカフェバーKIYONOのネットワークに何度もハッキングした形跡がありました。その動きを追跡してみると、10月30日にKIYONOを襲撃して何かを必ず奪う という趣旨のメッセージのやりとりをキャッチすることができました。おそらく、何者かに指示を出しているのでしょう。今日はそのことをJONYさんに告げに来たのですが、遅かったようですね・・・」

「大丈夫だよ。肝心なものは奪われていない。襲撃してきた大男二人に渡したものは精巧に作ったダミーだよ。おそらく、中身を見てもダミーだとは分からないはずさ」
JONYはニコッとしながら言った。

「そうですか、それならよかったです。そういえば、MASAさんは弁護士で政策担当秘書をされていますよね?ご勤務先はどちらの議員会館ですか?衆議院第一と第二と参議院の3つありますが・・・」
リョウジはiPadを眺めながら言った。

「・・・衆議院第一議員会館ですよ」
MASAはため息をつくように言った。

「・・・そうですか、何か内部で聞いていることとかありますか?サイバーテロとかハッキングとか」
リョウジはMASAの目を見て言った。

「いや、何も聞いてないですね」
MASAは目を閉じながら言った。

「リョウジ、こんなときに聞くことではないかもしれないけど、本は読んでるの?」
もえは思いつめたように聞いた。

「えっ、いきなりどうした?・・・うん、読んでるよ。図書館で借りたり、電子書籍をこのiPadで読んだり」
リョウジは笑いながら言った。

「そうなんだね・・・」
もえは少し安心したように言った。

「さて、今日はこのあたりで閉店ということでいいかな?電気系統の修理も呼ばないといけないしさ」
JONYは優しく言った。

その場にいた3人はカフェバーKIYONOを出た。

第4回(その2)



カフェバーKIYONOから半蔵門駅に向かっていたのは、もえとリョウジだった。

「もう、すごく心配したんだからね」
もえは不満そうな表情で言った。

「わりぃわりぃ。ここんとこずっと忙しくってさ。今日も仕事がなかなか片付かなくて、遅くなっちまったんだ」
リョウジは苦笑いしながら言った。

「ところで、さっき店内には俺ら以外にはJONYさんとMASAさんしかいなかったけど、他には誰もいなかった?」
リョウジは急に真面目な表情で聞いた。

「あっ、私がKIYONOに着いたとき、初参加っぽい20代半ばくらいの女の子がすでにいたけど、JONYさんが閉店のアナウンスをしたらすぐに帰っちゃったんだよね」
もえは人差し指であごに触りながら言った。

「・・・そうか、もしかしたらその女の子も共犯かもしんねーな」
リョウジは下を向きながらつぶやいた。

「全然話変わっちゃうけど、さっきいたMASAさん、なんか私のこと狙ってるっぽいんだよね〜・・・」
もえは嫌そうな表情で言った。

「マジ?あの人既婚者だからそれはないんじゃね?しかも、政策担当秘書といえば、特別職国家公務員である公設秘書の中でも最上格なんだぜ。きっとモテモテだよ」
リョウジは笑いながら言った。

「それならいいんだけど・・・」
もえはリョウジのうでをつかんだ。

「何かあっても、俺がもえのこと守ってやっからよ」
リョウジは決め台詞っぽく言った。

「うん、嬉しい」
もえは嬉しそうな表情になって、リョウジにさらに密着した。

二人は半蔵門駅に消えて行った。
それを見ている人影がいた。



第5回につづく(第4回おわり)

第5回に立候補致します。
よろしくお願い致します。
第5回はuriさん。
締め切りは10月20日、16時13分になります。
以下の予約者はいません。
第5回

ああ、嫌なもの見ちゃった。
今夜はロクシタンのお風呂にしようっと。

猫脚のバスタブに「ラベンダー フォーミングバス」をキャップ一杯入れて、40℃のお湯を勢いよく入れる。
ふわふわな泡ができていき、ラベンダーの香りが浴室に満ちていった。
ピンクや赤の薔薇の形をしたLEDキャンドルライトをつける。
薄明りの中、バスタブに身体を沈めた。

リョウジって彼女いたんだ…。

半蔵門近くで見た、リョウジに腕をからませている女を思い浮かべる。あの子っていくつくらいなんだろう。リョウジと同じくらいかな?
まあまあ可愛いけど、クラスで3番目って感じよねえ。
泡の中から形のいい脚を出して眺め、独り言をつぶやく。

3か月前、出会ったのはコスプレ部のイベントだった。
テーマは野村美月の「ヒカルが地球にいたころ…」。

ゲームライターという職業上、真琴は流行りのラノベは押えている。
その中でもお気に入りの作品だったから、初参加を決めた。
★★★
友達が欲しいと思いながらも、凶悪な目つきと顔立ちで周囲からヤンキーと思われている赤城是光(あかぎこれみつ)。ある日、女性ファンが多い帝門ヒカル(みかどヒカル)に声をかけられ、顔見知りになる。リア充にみえるヒカルだったが、ヒカルもまた同性の友達を欲していた。
しかし是光と親密になる前に、ヒカルは突然、死んでしまう。

ヒカルの葬式に顔を出した是光の前に、死んだはずのヒカルが現れた。現世に残した女性たちに未練があり、成仏できないとのこと。そしてヒカルの姿や声を認識できるのは是光だけだった。
強面で凶悪な目つきというハンデを抱えつつも、ヒカルの恋人たちと関わっていく。
★★★

著者の野村美月はこの作品のネタ元は「源氏物語」「星の王子様」だと公言している。ラノベでありながら、文学の香りがするところも好きだった。

私は1巻のメインヒロイン・早乙女 葵(さおとめ あおい)になることにした。
名門の令嬢で色白、真っ直ぐな黒髪を持つ美少女像が私そのものだと思ったから。

今は在宅勤務と出勤が半々。
この日は在宅勤務だったから、ブレザーとネクタイ、ミニスカートにニーハイで出かけた。

腕も足も永久脱毛してあるから、堂々とミニスカートがはける。黒いローファーをはいて、玄関にある鏡で全身をチェックした。

学生の頃、憧れてた制服。
惚れ惚れするほど似合っているわ、わたし。

高校生の頃に着ていた詰襟の息苦しさなど、どこにもない。
初めて憧れの制服を着たこの日。
KIYONOの扉を開けた瞬間、目の前にいたのは赤城是光だった。

赤い髪、シャツにゆるく結んだネクタイが色っぽかったっけ。

リョウジは赤城是光そのものだったわ。
不覚にも一目惚れ。

のぼせそうになる頭をすっきりさせるために、冷たいシャワーを浴びる。

なのに彼女がいたなんて!

いや、諦めるにはまだ早いわ。結婚してるわけじゃなさそうだし、まだまだ遅くない。
フワフワのバスタオルで身体を拭き、赤い襦袢を羽織った。
冷蔵庫からハーフボトルのシャンパンを取り出す。

そう、これからが勝負よ。

フルートグラスにシャンパンを注ぎ、沸き立つ泡を眺める。

真琴は心を決めた。
締切を守れなくて恐縮ですあせあせ(飛び散る汗)

第5回に投入したキャラクター

高橋 真琴:戸籍は男性・心は女の子。
ゲームの制作会社でゲームライター・キャラクターデザインを手掛けている。
26歳。
書けそうなので立候補します!
第六回なのかな。
「お二方、開きましたよ。」
大滝一博は、後ろ手でパグの鍛冶康を撫でて心を落ち着かせながら、なるべく丁寧に、グラサンと坊主頭に呼びかけた。気分としては、動物園の檻の中に入って、腹をすかせたライオンと虎を呼んで、餌をやる感じであった。いつ噛まれてもおかしく無い。だが、仕事の依頼を受けた以上、彼らと意思疎通を図らなければならない。
「兄ちゃん、それなりの時間やな。もう少しかかったら、このソファーを、この短刀〈ドス〉で切り刻んで、その後に、どうかしてやろうかと思ってたわ。」
彼なりのジョークなのだろうか、グラサンが、少しだけ嬉しそうにしてそう告げた後、大滝からひったくるようにして、MacBookを奪い取った。
「おお、開いたな。この画面や。」
グラサンは、ご満悦だったが、すぐにその表情は消え、再び眉間に皺が寄った。
「おい、兄ちゃん。早よパスワードを、メモにでも書いて渡さんかい。ちんたらすんな、ボケカス!」
大滝は、渡されたUSBの中に、テキスト形式でパスワードのデータを入れたことを伝えようと思ったが、磁気でできた0と1の世界の信奉者では無いグラサンは、どうやら繊維と黒インクを信じているようであった。なので、大滝は、グラサンの信仰に合わせて、メモにパスワードを書いて渡してあげたのだった。

グラサンと坊主頭が、大滝のところに来たのは、小一時間前である。
彼らは、Twitterを通して、数日前に大滝とアポイントを取っていたのだが、約束の時間を過ぎてもやって来なかった。大滝は、本日の収入は、デイトレの成果のみになってしまったことを残念に思いつつ、夕飯のピザを注文しようとしてスマホを手に取った。しかし、その矢先、彼らは嵐のようにやって来たのだ。
2人は、大滝のマンションにやって来るなり、オートロックのインターホン越しに怒鳴るし、土足で部屋に上がるし、勝手にタバコを吸うしと、やりたい放題であった。
大滝は闖入者に対し、警察を呼ぼうとかとも思った。しかし、自分も『情報何とか法』上、犯罪者に分類されることを思い出し、スマホをそっと机に置いた。
それに、こういう人たちは、上から金を渡されている分、妙な正義感から行政等のサイトのハッキングを依頼して来る奴らよりは金払いは良いのはずだと大滝は考え、2人に大人しく従うことにし、渡されたUSBに入ったデータのパスワード破りの準備を粛々と行い始めた。だが、彼は準備しながら、今度からは、ネットの書き込みを消したり、犯人の素性を暴いたりしたい企業のクレーム処理対応者など、金払いも態度も良い人間だけに契約は限定しようとも思った。

準備が終わり、大滝がプログラムを走らせて、総当たり攻撃〈Bull-Force Attack〉を仕掛けようとしたちょうどその時、坊主頭が、グラサンに向かって、今日あったことを喋り始めた。この坊主頭が喋った内容から判明したのだが、彼らが大滝のところに訪れた理由は、間抜けそのものだった。
どうやら彼らは、目当てのデータを誰かから奪い、パスワードまで聞き出したものの、メモをするのを忘れ、再びロックがかかったために開けられなくなってしまったらしい。ということは、彼らの当初の予定ではパスワードを聞き出せなかった場合に、このパスワード破りのサービスを利用する予定だったのだろう。
そんな聞きたくも無い話を耳にしてしまった大滝だったが、それだけでは終わらなかった。坊主頭が喋り終えないうちに、グラサンが、凄まじい勢いで、かわいいはずの子分を床にはり倒し、さらに蹴り上げ、その勢いで大滝のところにやって来て、いきなり胸ぐらを掴んで、軽々と持ち上げたのだ。
「今のこと、誰かに言ったら、ぶっ殺すからな!」
グラサンの奥にある瞳は、とても丸く、純粋な感じがした。しかし、それは、サメのように残忍な光を放っていた。
「だ、大丈夫。僕は、引きこもってるから。そもそも話す友だちがコイツしかいない。」
持ち上げられた大滝が指差した先にいた鍛冶康は、まるで、この世の終わりかのように寂しそうに鳴いていた。その光景に、グラサンも多少の憐れみを覚えたのか、大滝から手を離し、隣の部屋のソファーにどっかりと座り、坊主頭に早く煙草の火をつけるように怒鳴り散らした。
「早よしろよ、引きこもりの兄ちゃん。」
グラサンの、鮫肌のようにざらついた声が、大滝の肌に刺すような冷たさを残した。
「いつまでもビビってないで、早く仕事しろや!」
数分後、向こうの部屋から、煙草をふかしながら、グラサンがドスを聞かせた声で脅してきたが、大滝はパスワード解除には既に取りかかっており、着実に攻撃は進んでいた。
どうやら、アナログ世界の住人であるグラサンは、大滝自身がキーボードをカタカタして、パスワードを解くのを想像しているようだ。だが、そんな人間中心主義的なハッカーは、この世には存在しない。ハッカーは己の価値観を、人間不信に根ざしている生き物であり、人間がキーボードを使うのは、プログラムを組む時だけであると信じている。後は、人間よりも優秀なコンピューターが攻撃を仕掛けるのであり、ハッカーたちは、その神聖な動作に、ただタンパク質でできた自分の矮小さと、万能の機械に対する畏敬の念を感じるのだ。
それに、今回のケースは、極めて単純であった。既にグラサンから、パスワードが全て数字で、桁数が8桁よりは多かったということを聞き出しているので、大滝は、総当たり攻撃用のプログラムを起動し、使う文字を数字に限定した。こうして攻撃を仕掛けることで、簡単にロックが解除されるはずである。
このような条件から、今回は、ネットから、パスワードの持ち主の情報を収集し、その人の個人情報などから“辞書”を構築し、そこに集めたキーワードを順番に組み合わせて、パスワード破りをするという一般的な方法を使う必要は無さそうであった。さらに、彼は、処理速度を上げるため、いつも通り、MacBookはディスプレイとしてだけ使い、プログラムは、2台あるデスクトップPCを使って、全て0から始める上りと、全て9から始める下りを用意し、それらを同時並行で走らせていた。

「おい、兄貴が言ってることが聞こえないのか、コラ。」
グラサンの言葉に反応せず、黙ってMacBookの画面を見つめている大滝に対し、坊主頭が焦った様子で怒鳴った。これ以上、グラサンの機嫌が悪くなったら、自分も被害を受けると分かっているのだろう。その時は、一蓮托生だ、と大滝は、心の中でほくそ笑んだ。
一方で、グラサンのエンジニアブーツが床を叩くビートは早くなっていく。それに合わせて、大滝の手には、大量の汗が滲んでいた。腹に一発喰らうくらい覚悟しなければならないかもしれない。しかし、鍛冶康だけは守らないと。大滝は、固唾をのんで画面を見守った。
そのうちに、殴られたり、蹴られたりするシーンが、大滝の頭をぐるぐる回り始め、彼は殴られる前に、床に向かって吐きそうになっており、鍛冶康は、それを心配そうに見つめていた。そして、隣のリビングでは、グラサンが胸ポケットから、怪しく光る短刀〈ドス〉を取り出して、ソファーに向かって切れ味を試そうとしていた。
だが、ちょうどそのとき、パスワードは何事も無かったかのように解除され、大滝はリバースせずに済んだのだった。

グラサンと坊主頭が、データの入ったUSBと引き換えに、景気よく十万円ほどを置いて退散した後、大滝は、2人の似顔絵を大判のポストイットに殴り書きして、「(グラサン+坊主頭)÷2=サンプラザ」という数式を書くという情けない復讐劇を実行していた。しかし、書き終わってから、大滝は、グラサンの瞳は、むしろ、マンガ『バナナフィッシュ』のショータであったことを思い出し、一人で納得していた。
そして、彼は、突如やって来た2人組に部屋を荒らされるという、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』めいた今日の出来事を、Twitterに書こうかと迷ったが、見つかったらまずいので、エクセルにつけている日記に書くにとどめた。
大滝は、そんないつも通りの一人遊びをしながら、MacBookのハードディスクにコピーした「ゆる読相関図」と題されたデータを開いた。
そこには、ハンドルネームではあったが、何百人もの人たちの人間関係が書かれていて、大滝は見ているだけで、人のパソコンをハッキングしている時の興奮を覚えた。
中でも特に、大滝の興味を惹いたのは、JONYという存在であった。
彼は、データを見る限り、決して若くは無いのだが、全ての女性と関係を持っていることになっているのだ。
(どれだけモテるんだ、この人は。)
大滝は、心の中でツッコミを入れながら、奮発して買った高級宅配寿司の中トロを、ストレスで乾いた口の中に押し込んだ。足下を見ると、鍛冶康が食べたそうにしているので、大滝は安い穴子を手のひらに乗せて鍛冶康の方に差し出した。すると、鍛冶康は、匂いをかいだ後、ぱくりと穴子に食い付き、美味しそうな表情をして、それを一気に飲み込んだ。
「ピザじゃなくて、寿司まで喰い始めたら、金がかかって仕方ないな、お前は。」
大滝は、唯一の友だちに、そう声をかけながら、「ゆる読相関図」の分析に取りかかった。
大滝は、「ゆる読」、「関係」というキーワードから、「読書」と「人が集まるところ」というイメージを想定した。そして、そこから連想されるのは、数年前から流行っている読書会だと考えた。
彼は即座に、Googleの検索窓に、「JONY」、「読書会」というキーワードを打ち込み、個人のブログやSNS、Twitterの集合体であるネットから情報を拾い集めたところ、半蔵門のあるバーで開かれている読書会に辿り着いた。どうやら、JONYは、ここのマスターのようであった。
「へー、酒を飲みながら、読書会をするのか。意識が高いのか、そうでないのか分かんないな。」
大滝の言葉に反応して、鍛冶康も首を傾げる。一体どういう人たちが集まっているのだろうか。しかも、開催日は平日の晩が多い。自分のように、自由な仕事をしている人が集っているのだろうか。それはそれで興味はあるが、かなり濃そうな空間である。まとまりが無くなりそうだが、JONYはそれをまとめているのだろうか?
大滝は、そこで、ふと思った。そもそも、信用第一のバーのマスターが、果たして、お客全員と関係を持つだろうか。というより、女性の数は百人単位なのだから、その数には、おそらくドン・ファンも、カサノヴァも、光源氏もびっくりだし、何より、全員を相手するには人生に時間がいくらあっても足りないだろう。
大滝は、ここでやっと、これがダミーだと悟った。そして、偽物を見て興奮した自分を恥じた。偽物を掴まされた上、それに興奮してしまったのは、彼の職業上の矜持に反していた。
しかし、一方で、本物の「ゆる読相関図」には何が書かれているのだろうかと、心の底から興味をもってしまった。その相関図に対して、人を脅して奪うほどの価値を見いだしている人間がいる。しかし、ただの人間の相関図にどれだけの価値があるというのだろうか? もしかすると、フライデーされるような有名人、もしくはもう少し格式のある週刊誌などで記事にされてしまうような高貴な人間が、その中に入っているのだろうか? 
大滝の頭から、その疑問が離れなくなり、彼は、満腹かつ疲労困憊であるはずなのに、どうしても眠れなかった。
しかし、よく考えると、このバーのマスターも迷惑なことをしてくれたものだ、と大滝は、周囲に本が積上ったベッドの中で思った。
もし、グラサンたちが、入手したデータが偽物だと知ったら、その貧しいオツムをフル回転させて、大滝がデータを弄ったのだというストーリーを描き、復讐して来るかもしれないのだ。彼らみたいな獰猛な人間は、とにかく暴れる口実さえあれば何でもするだろう。
大滝は焦った。どうするか。傷めつけられるのは御免である。
そこで思いついたのは、JONYと接触を図ることだった。そうすれば、何か情報が得られるかもしれないし、最悪、彼と一緒にいれば、必然的に刃は彼の方に向くだろう。
次の手を決めた大滝は、深夜3時にベッドから抜け出し、久々にmixiを開いた。マイページに書かれたハンドルネームを見て、昔を思い出して嫌な気分になったので、彼はハンドルネームを、鍛冶康の名前から拝借して、“カジヤス”という名前に変更した。これなら、グラサンたちにも、参加表明していることはバレないだろう。
まあ、飼い犬の名前で呼ばれると、複雑な気持ちになるだろうと大滝は思ったが、他に名前が思いつかないので仕方が無かった。

さて、問題は、どの回に行くかである。
目にとまったのは、J・P・ホーガンの『星を継ぐもの』であった。これなら昔読んだことがあるし、大滝は物理学科の修士号を持っていて、学者への道を諦めてしまった今でも、その興味は衰えていなかった。
だが、残念なことに、その回は満員であった。それでも、大滝は、こんなにもSF、しかもハードSFに分類されるJ・P・ホーガンの作品を愛している人がいることに心躍った。
他にも、映画や文学など、興味がある回は、いくつか見つかったが、少し日が遠い気がした。
イベントの時系列予定表とにらめっこをしながら、大滝は、どうすべきかを考えた。そして、よく見ると、今晩、文芸部なるものが開催されることに気付いた。
これは読書会と、どう違うのだろう? 大滝が、そのイベントの説明を読む限り、作品を書きたい人がテーマに沿った作品を提出し、それをたたき台にして、感想を話し合うようであった。
これはいい。
大滝は、一人で小躍りをしながら、学生時代に研究室の同期たちと書いて、愛機に保存したままになっていた自作のSF作品を引っ張り出して、それを規定の文字数である1万文字に調整し始めたのだった。
せっかくなので、少々倫理観に欠けるキャラを描きました。
仲間を売り渡したり、裏切ったりするようなキャラだと思います(笑)
とりあえず現状のまとめです。

登場人物
JONY
バーのマスター
グラサンと坊主頭の襲撃を受け、『ゆる読相関図』を奪われる。

もえ
30歳。リョウジの彼女。

リョウジ
30歳。もえの彼氏。KIYONO襲撃を知っている男
IT企業勤務でサイバー対策の仕事をしている。

MASA
40歳。元弁護士の現政治家の政策担当秘書。
30歳くらいの女性(もえ?)に初恋をしている。

高橋 真琴:戸籍は男性・心は女の子。 (20代の初参加の女性?)
ゲームの制作会社でゲームライター・キャラクターデザインを手掛けている。
26歳。
リョウジとはコスプレ部のイベントで知り合う。もえとリョウジが帰るのを目撃した人物?

大滝一博
パソコンハッカー。パグの鍛冶康を飼っている。
グラサンと坊主頭が持ってきたUSBを解読し、JONYの『ゆる読相関図』のパスワードを解くが、中身が偽物と知る。本物に書かれたデータを知りたくなり、その日に行われる文芸部に潜入するため、過去に書いた自作SF小説を書く。
出来事
1回
JONYが襲撃され、『ゆる読相関図』をグラサンと坊主頭に奪われる
目撃者は20代の初参加の女性だけ
   ↓
2回
リョウジが何やら襲撃について不穏なことを書いているのを、もえが発見する。
心配して駆けつけると、停電発生
   ↓
3回
MASA登場。初恋の相手がいるKIYONOに向かう
   ↓
4回
リョウジ到着。停電は特に問題なし。
もえ、リョウジ、MASAは帰宅。
   ↓
5回
高橋真琴登場。
リョウジに気がある。家に帰る。
   ↓
6回
大滝一博
偽のゆる読相関図のパスワードを解く。
本物に書かれた情報に興味を持ち、過去に書いたSF小説を仕上げる。
大体こんな関係だと思います。
現状で文芸部の方の参加が多いですが、文芸部に参加したことのない方の書き込みも歓迎します。
みなさま好きに書いてください。
次は私の友人が書いてくれるようなので、半蔵門には来たことがないですが、その方に書いてもらいます。
ストーリーラインを考えるのが苦手らしいので、一部私が考えます。
締め切りは30日の21時とします。
  大滝がドアを開けると店の中には三人の人がいました。
 口ひげをはやした50歳くらいのおじさんがカウンターの中にいて、何かお酒を作っていました。カウンター席には20代半ばくらいの姫ギャルがぼーっと机に寝ながらスマホをいじっていました。
(あんな髪を盛った女の子もいるんだ……)
「ここが文芸部ですか?」
 大滝が言うと、おじさんが答えます。
「そうですよ。あなたは?」
「今日初めて来た大滝です。あなたがマスターですか?」
「いや、今日はマスターがお休みでね、私は代理なんですよ」
 おじさんは席を指さし、そこに座るように言いました。
「初めまして、この会の部長をしているヤマネコです」
 ヤマネコは胸を張って言いました。
「あ、大滝です、よろしく」
 そう言って二人で握手をしました。
 そして女の子の方に目を向けます。
「彼女がこの会の副部長の、ユウリちゃんです」
 ユウリはだるそうに手を挙げてこたえます。
(こんな女の子も来てるんだ)
 丸メガネにボロボロのシャツを着たやせっぽちの人がたくさんいると思っていたので、どうやらそこまでやる気がある会ではなさそうです。気合いを入れてきたのに大滝は肩透かしをくらいました。
 顔を見ていたユウリはほっぺたを膨らませながら言いました。
「こんなのが文芸部にいるのがおかしいっていうんでしょ」
「そんなことはないですよ」
「嘘つき。ギャルは書けないって偏見だよねー金原ひとみとかいるのに」
 ユウリは顔を背けました。
 ヤマネコは大滝に耳打ちしました。
「こう見えてもユウリちゃんはけっこうな純文学書くからね」
(純文学とはすごい)
 大滝は思いました。
 座った大滝はスマホに入った解析したあのデータをさりげなく見て、ヤマネコとユウリについて調べます。
『ヤマネコ 50代半ばの男性、家族を大切にしていて、浮気したこともないつまらない堅物』
『ユウリ 25歳の女の子。誘ったこともあるが、年下のかわいい男の子にしか興味がないらしい』
 そのあとに以下にしてユウリと仲良くなったかという話がありましたが、大滝は無視しました。
 もうひとり座っている人に挨拶をします。
「こんにちは。もえです」
 ユウリより少しだけ歳上の女性に見えます。
「大滝です」
「今日はあと何人か参加するけれど、ちょっと待っててよ」
 ヤマネコは言いました。
 大滝は周りを見ますが、少し見ただけだと本物のゆる読相関図がどこにあるかわかりません。マスターがいないというのは少し残念でしたが、仕方ありません。ちょっと立ち上がって机の周りなども見てみましたが、それらしいものはなかったです。
 カランコロンという音がして、また新しい人が入ってきました。
初めまして、まゆです☆
ゆうさんに暇なら書いてと言われて書いてみました。文章を書くのは学生時代以来なのでへたっぴでごめんなさい^^;
お話を考えるのが苦手なのでゆうさんに考えてもらいました……これで良かったのかな~_~;
久々に文章が書けて楽しかったです!!!

次回、挑戦させてください。よろしくおねがいします。
幾分、登場人物が多い作品を読み書きするのが苦手なため、人間関係がごっちゃになってしまいましたらごめんなさい。
>>[38]
次回の第八回はたかーきさんです。
締め切りは1月1日、17時になります。
明けまして、おめでとうございます。
申し訳ありません、今書いているところですが、用事で立て込んでしまいまして、投稿は一日遅れそうです。m(_ _)m
入ってきたのは、高橋 真琴だった。
「こんばんは、真琴です。みなさん、もうお揃いなのね」
真琴の服装は、その細く白い脚を見せつけるようなミニスカート。すでに寒くなっているのに、なんとも露出の多い格好である。
大滝は、その姿を視界にとらえると、その服装や立ち振る舞いに、唖然とした表情を浮かべた。
「…あら?」
真琴の、深紅の口紅が塗られたその口が、ゆっくり開く。その声は、真琴の恋敵、もえに対して向けられていた。
「…お隣、よろしいかしら?」
「え?はい、どうぞ」
もえは、真琴という人物に見覚えがない。よそよそしさを醸し出しながらも、その隣の、席を引いた。もえは今、先日の件が頭から離れずにまだ落ち着いていない状態であった。
「まあ、ご親切に。失礼しますわ」
真琴は静かに語りかける。まるで自分の方がいい女だと言わんばかりに。
「もえさんって仰いました?私、真琴と申します。私ね、今回初参加なの。今日は読み手専門として、参加させていただきますわ」
真琴はその長い髪を、右手でふわりと払う。
この女性は何なのだろう?ともえは思った。さっきから話していても不思議なものを感じる。普通の女性にない何かを持っている気がしたし、そもそも何故、急にあんな冷たい表情を浮かべながら、自分に話しかけてきたのかというのがわからない。

その二人の様子を、大滝は少し離れた席から眺めていた。
「なんなんだ?この会は。」
すっかりまじめな会と思っていたから、大滝は拍子抜けである。
副管理人のゆうりのファッションも、文芸サークルのイメージとは離れたものであったが、それでも「どんな場所であれこのくらいの子ならいるだろう」という程度ではあった。
だが真琴の服装や、そのキャラクターは、大滝の予想をはるかに上回っていた。
あれは素なのか?わざわざあんな服で来るなんて。
だが、その美しい透き通るような肌は、大滝をドキドキさせた。
大滝は真琴を見て、彼にとっての「女性」のイメージに、ここまで合致した女性を見たことがないと思った。
言葉の節々からも伝わってくる、魅力のようなものを感じる。

JONYがいないことから「さっさと帰ってやろうか」とも思っていた大滝だったが、今やそうは思えなくなっていた。
ゆる読相関図の情報がつかめるかどうかはわからないけれど、純粋に、このような人物がたくさん集まってくるこの会に対して興味を持っていた。
なにより、あの真琴という女性に、話をしてみたいという感情もあった。

そのようなことを考えて、大滝は、
「ああ、ダメだ」
と自分に言い聞かせる。可愛い女の子にうつつを抜かして、仕事をおろそかにすることは己の哲学に反している。俺はこの道で生きていこうと決めたのだから。
そう、今の俺は、いわばスパイなんだ。
そう考えなおした大滝は、ゆる読相関図に関する情報を得るために何をするべきか、頭を巡らせる。
(おそらく、今この場にゆる読相関図があるかはわからない。あったとしても、ここにいる人々がそれについて何かを知っているとも限らない。
俺がやるべきことがあるとすれば、ここにいる人々がいなくなった時を見計らって、どこかに怪しいもの、例えばUSBメモリとか、紙に手書きで書いた、本人にしかわからない暗号書きのような物が、隠されていないか探すことだ。そのためには皆が帰った後にすべきだろう。
だが、当然俺だけ一人でここを物色したら怪しまれるから、管理人のヤマネコ氏に親しくなっておくべきだ。
『このバーいいですよねー、このお酒とか触ってもいいですか?』などと言いながら、あの棚に隠している物がないかを調べようか。
ん?だが、ダメだな。だってあくまでもこのバーはJONY氏の物だ。ヤマネコ氏には勝手に触ることを許すだけの権利はないはずだ。本日、JONY氏はなぜかは知らないが、席を外している。
まあ、とはいえヤマネコ氏も、管理人というだけあるからこの会は長いのだろう。親しくなっておく事に損はないか。
また、あのゆうりという女性も、副管理人と言っていたな。彼女とも話をしておくべきだ。
うーん、それにしても、何故JONY氏は今日に限って、席を外しているのだろうか?
誰かと、会っているのではないだろうか?
しかし誰と?)

その時、扉が開く。
「こんばんはー。」
その声と共に、一人の男が入ってきた。
大滝は、その顔を見て、ビクッと体が反応した。
入ってきた男は、サングラスをかけていたのである。
大滝には、そのサングラスが、大滝にとって最も関わりたくないあのグラサンとそっくりに見えたのだ。

…しかし、大滝はその恐怖がただの思い込みだとわかった。
「遅れましてすみません。MASAです」
彼はサングラスを外す。その素顔も、声も、あのグラサンとは別人とわかった。
「はーっ、びっくりした」
大滝は一人、荒くなった呼吸を収めようと必死である。
その声を聞いたヤマネコは、彼に心配の言葉をかけた。
それどころか、ヤマネコ以外のメンバー(ゆうり、もえ、真琴、そしてMASA本人)もまた彼の様子を見ている。
特に、真琴の目線が大滝にくぎ付けになっていることには大滝はかなりドキドキしてしまった。
「あの、どうしました?大丈夫ですか?」ヤマネコは大滝を心配する。
「や、いや、すみません。大丈夫です。ちょっと体調悪くて」
「そうですか。もし体調が芳しくなければ、今日は無理せず…」
大滝は、焦った。ここで帰ることになってしまっては、せっかくのチャンスを逃してしまうではないか、と思った。そう思いかけて、その「チャンス」という言葉が、ゆる読相関図の情報をつかむチャンスのことなのか、それとも、真琴という女性に話しかけるチャンスのことなのか、自分でもわからなくなっていたが。
「いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。私はこの会は前から、本当に楽しみにしていましたからね。」
大滝が苦しい言い訳を終えて、その場が落ち着くと、MASAは、もえに話しかけた。
「あ、もえさんですね。フフフ、このサングラス、いいでしょ?あ、そういえば、あなたの作品読みました。素晴らしかったですよ!私の作品はいかがでした?…おや、右隣のお席、空いてますね。よろしいでしょうか?」
MASAは、一方的に話をすると、もえの右隣に座った。
もえは、左隣には冷たい威圧感を放つ真琴、右隣には自分があまり好かれたいと思っていないMASAに挟まれ、非常に居心地の悪い思いだった。

「ところで、先日の件ですけど…。あの後は、リョウジさんと一緒に?」
MASAは、小さい声でもえに言った。
「もちろんです。MASAさんは逆方向でしたよね。それにしても、先日は本当にびっくりしましたよね」
「そうですね。ただ、私思うんですけどね。疑うわけじゃないんですが、何か不穏なものを感じたんですよね。なんかリョウジさんって、前から思ってたんですけど、ちょっと信用が置けないっていうか…」
MASAがもえに向かって言う言葉には、恋敵であるリョウジに対しての敵対心があった。
あの日(襲撃があって、KIYONOが謎の停電に見舞われた日)、リョウジの態度には、MASAだけでなくもえもまた「何かあるのでは」と感じさせられた。それは確かであった。
しかし、ただでさえリョウジの恋敵であるMASAの言葉遣いには、いかにもリョウジという人物を貶めようという感情が表れてしまうのだった。

そして、まさにその言葉は、少し離れた席に座っている、大滝の耳にも届いていた。
職業上、そのような言葉を聞き逃すはずはない。
(先日の件?不穏なもの?何かがこのKIYONOで起きているという事だ。
あのグラサンと坊主頭が、このバーに来た事を言っているのか?
それとも、その後に、さらに別の何かがあったのか?)
その、彼らの言う『リョウジ』という人物について、(大滝には、それが名前か、役職名なのか、ただのネット上のハンドルネームなのかわからなかったが)、MASA氏は非常に警戒心を抱いているようだ。
すると、そこに口をはさんだのは、もえの右隣にいる真琴だった。
「ねえ、MASAさん。リョウジさんに、何があったんですか?不穏って、おっしゃいましたね。ちょっとその言い方、おかしいんじゃないかしら?」
大滝は、その真琴の声色から、怒りのようなものを感じずにはいられなかった。
そして、大滝には、やはり真琴のその態度が(いや、一挙手一投足すべてが、と言うべきか)実に凛とした、強い女性を感じさせるもので、大変魅力的なものに映った。
(MASA氏は、何らかの理由でもえ氏をたぶらかし、リョウジ氏を敵に回そうとしているのではないだろうか?
それに対して、真琴はリョウジ氏の陣営であり、魔の手からもえ氏が奪われようとしているのを、必死に食い止めようとしているのではないのか?
今、このKIYONOは2大勢力に分かれて、なにやら複雑な戦いが繰り広げられているのか?)
それが、大滝の仮説であった。
ここは、彼らが一体何を話しているのか、直接聞いた方がいいかもしれない。
しかし、どちらの陣営に付くべきだろうか?

そう考えた時、大滝には、どうしても真琴のあの凛とした態度に、強く惹かれるものを感じるのであった。
それに対して、MASAという男。彼こそ、何かを企んでいそうな眼付きに大滝には映った。

「さあさあ、そろそろ時間ですね、今日の部会を始めましょうか」
喧嘩のようになっているMASA、もえ、真琴の三人に水を差すように、ヤマネコが発言した。
しまった、と大滝は思った。色々と考えるだけで、結局誰とも有意義な話を聞き出せないまま、会が始まってしまったことを悔やんだのだ。こうなったら、部会が終了した後になるべく接触を図るしかないか…。
「そうね。もう19時半周ったから。みなさんお食事はいただいてますー?じゃ、そろそろいきましょ!」
と、副管理人のゆうりは、スマホをしまって言った。一見サバサバしているようで、とても慣れた手つきの進行。
「みなさん揃ってます?今来てるのは、私ゆうりと、ヤマネコさん、もえさん、真琴さん、MASAさん、そしてKIYONO初参加の、カジヤスさんこと大滝さん。時間なので、そろそろ始めましょう!」
ヤマネコとゆうりの2人は、会を早く始めたがっているようだった。
それは、ヤマネコとゆうりが、MASA、もえ、そして真琴の3人の雰囲気が悪くなったのを察知して機転を利かせたことが原因なだけだったが、大滝には、その様子が、ヤマネコとゆうりが何かを隠しているようにも見えた。
(なんだ?ヤマネコ氏とゆうり氏は、この先日の件について隠ぺい工作を図ろうとしているのか?なぜ、話を無理に途切れさせようとする?まさか、俺に見せてはならない何かがあるのか?)
勿論それは、大滝の一人合点に過ぎなかったのだが、浮ついている彼には、自分の思考回路が間違っていることに気づけなかった。
(うーん、状況を整理しよう。
あくまで、これは俺の仮説だ。
現在、リョウジ氏という人物の陣営に、真琴氏ともえ氏がいる。
そこに、MASA氏の陣営が何かを企んで揺さぶりをかけようとしている。
MASA氏の狙いはもえ氏だ。つまり、彼女は何か重大な秘密を握っているという事か?
そして、その2者の対立構造において、中立であるのが、ヤマネコ氏とゆうり氏だ。この2人は会の進行もとても慣れているようだし、実はいろいろな情報を知っているのかもしれない。
そして、肝心のJONY氏だが…、どういうわけか今日は席を外している。
と、そんなところだな。
一体、なんということだ。「ゆる読相関図」の情報を探しに、どうせただの読書会だ、と思って来ただけなのに、こんな複雑な抗争の渦中に放り込まれている自分がいる。
…しかし、俺はここで引いてはならない気がする。いずれかの陣営から、話を聞き出さなければならない。俺は遊びに来たわけじゃないのだ。
普通に考えれば、最も情報を知っていそうなのはヤマネコ氏とユウリ氏だろうが…。
うーん…。
よし、真琴さんの陣営に付こう。いや、俺は別に変な気があるわけじゃない。あくまでも、そうすることが最善だと冷静に判断してそうするだけだ)

こうして、その日の部会は幕を開けた。
改めて、皆様あけましておめでとうございます。

書きました。
なんか無理やり話を進めた感がありますが、個性的なキャラクターがたくさんいるので、私は楽しんで使わせていただくことができました。
内容は、大滝を主人公にしました。大滝はいろんな意味で勘違いをしています。

新規の登場人物はいません。

部会は6人(ヤマネコ、ゆうり、もえ、真琴、MASA、大滝)で始まりました。
今まで登場した人物で、ここにいないのは、JONY、リョウジ、それに前回の読書会で初めて来た女の子です。
部会は、「はい、これで全員揃いましたね」という言葉を敢えて入れなかったので、この6人で話を進めてもいいし、「遅刻してきた」とか「飛び入り」とかいう形で新たな登場人物を追加してもいいと思います。

後はよろしくお願いしますー。
↑すいません、「今まで登場した人物で、ここにいない」人の中に、
グラサンと坊主頭も抜けてましたね。

(あと、人物ではないですが、大滝の飼い犬の鍛冶康。あと、八郎丸もかな?)
 エレベーターで見知らぬ人と二人きりになったとき、その人と入れ替わったような奇妙な感覚に襲われることはないだろうか。
 俺にはよくあった。
 何の話をしているかって?
 この物語の終わりの話しだ。
 唐突だが、この物語は終わった。ゆる読相関図もシカイ文書の謎も、もう世に出ることはない。
 俺は八郎丸だ。そして、この物語は、俺一人で書いていた。
 どういうことかって?
 おれはジョニーや執筆したメンバーたちと、あのKIYONOの細く薄暗いdoorwayですれ違う時に、彼らと入れ替わり、いろいろなメンバーの中で連作小説を書いてきた。だから連作小説の書き手は俺一人だ。
 そんな風に今年の1月までは思っていた。
 しかし、入れ替わってはいなかったのだ。
 俺が一方的に憑依していただけだったんだ。
 自分が既に死んでいることに気がついたのは、年が明けてからだ。
 俺は去年「ゆる読相関図」が暴露されることを恐れた彼女に殺されていた。しかし、鈍い俺は自分が彼女に殺されたことに気がつかず、生きている自分がいろんな人に入れ替わっていると思って、読書会のメンバーに憑依していたんだ。
 そのことに彼女は気がつき、これ以上、物語を書き進めさせないため、彼女は俺の霊を呼び出して、俺が死んでいることを告げたんだ(その経緯は詳しくは書けないが、要は彼女がエクソシストを雇ったんだよ)。
 自分が死んでいることを知ると他人に憑依する力が急激に失われていった。
 ただ、連作小説の形で俺が書き始めたこの小説が、このまま中途半端に終わることは不本意なので、最後の力でロイヤーに憑依して、連作小説を読んでくれた皆さんにこうしてメッセージを送っている。
 ロイヤーのPCには直近で彼が司会をした本の言葉が残っていた。「ソクラテスの弁明」の最終章だ。それはちょうど今の俺にふさわしい言葉だ。最後に引用して皆さんの前から消える。
そしてこの連作小説も終わる。

The hour of departure has arrived, and we go our ways―I to die, and you to live. Which is better God only knows.
書こうと思ったが、すでに物語が終わっているようだ。。。
肉様および、将来の書き手の皆様へ
4月1日を過ぎても中途半端に終わったままで何のコメントも無いので、そのまま自然消滅させてしまうのが嫌で、ジョニーさんにエピローグを書いていいですかと確認した上で、終わらせてしまいましたが、一方で「終了の期限は未定に変更させていただきます」とエピローグ?の書き込み後に、新たな条件変更があり、なおかつ、書き手が現れたのであれば、そもそも八郎丸の独白は最初から、管理者に事前に名乗りを上げて書く本論扱いではなく、あくまで外野のコメントの立ち位置ですので、上記の書き込みは、また外野の変なコメントという扱いで、そのまま、ルールどおり、管理者に申告して、次回の物語をそのまま書き進めることも形式上は何ら問題ないかと存じます。管理者の皆様とジョニーさんにご相談下さい。
6月30日まで執筆を延長します。
いつでも、誰でも、一行から書いてOKです。
48も有効です。少しだけ軌道修正します
誰かが八郎丸を名乗って偽文書をそれらしくあげているようだ。それほどゆる読相関図は世に出したくないものらしい。
だが、私が断言しよう。
ゆる読相関図は存在する。
そして偽書のもまた、存在する。

君たちは、惑わされずに真実にたどり着けるかな?

……私が誰かって?
それはおいおいわかることさ。

さあ、物語を続けよう。
こんな連作物語があったんですね~~~今日まで知りませんでした!
“ゆる読相関図”、本物はどこに隠してあるんだろう!?気になります!
「じゃあ、ヤマネコ部長から行きますかね? 簡単な自己紹介とプレゼンを……」
ユウリがハキハキとした口調で切り出した。その時、テーブル席に座った大滝が、ガタンと大きな音を立てて唐突に立ち上がった。その場の全員がハッとした顔つきで、大滝に視線を注ぐ。しかし、彼はそれにも気づかず呆然とした顔で立ち尽くしていた。
「大滝さん……?」
ただならぬ様子にユウリが心配そうな顔をして声をかけたが、
「八郎丸……?」
つぶやいた大滝の顔がぐにゃりと歪んだように見えた。ぽかんと開いた大滝の口がわなわなと震える。我を忘れた表情に、次第にただならぬ恐怖の色が滲んでいくのがわかった。まるで悪夢を振り払うかのように、頭を抱えながら激しく左右に体を振った。
「は、八郎丸? ああ、ああ、八郎丸……ああ……」
しまいに硬い床の上に膝をついてうずくまってしまった。ユウリが彼に駆け寄った。
「大丈夫ですか? きゅ、救急車……」
誰もが不測の事態に慌てる中で、カウンターの中の初老の男だけが冷静だった。JONYの代理でありこの会の部長だと名乗った、ヤマネコだ。ヤマネコはカウンターを出てユウリを制するように腕をすっと差し出し、
「救急車はいいよ」
そう言ってポケットからスマホを取り出しどこかへ電話をかけた。一言何か話し、素早くスマホをしまって倒れた大滝を起こした。後ろから抱えるようにして、大滝の額に手を当てる。そして耳元で何か小さくつぶやいていた。
バー KIYONOは静まり返り、まるで時が止まったかのようだった。しかし実際にはごく短い時間だったのだ。入り口のセンサーが反応して響いた電子音に、大滝とヤマネコ以外の誰もがビクッと体を震わせた。ドアを開けたのはJONYだった。
ヤマネコはJONYの方を振り向き、無言で頷いた。そして二人で協力して倒れた大滝を椅子に座らせる。大滝は魂が抜けたような顔をしていたが、ある程度落ち着いているようだった。
「やあ、みんな」
JONYがいつもの席に座り微笑んだが、誰も答えられなかった。JONYが顔を硬くし、
「八郎丸だね」
考え込むように呟くと、ヤマネコがまた無言で頷く。
「なんなんです?」
ユウリが怪訝そうな顔をした。しかし、JONYは「うん……」と言ったきりそれには答えず、目の前に呆然としながら座った大滝を見つめた。皆がまた大滝に視線を注いだが、大滝は口も目もだらしなく開き、うつむいて動かない。全身を脱力させて、今にもずり落ちそうな体勢で椅子に座っているだけだ。息をしているようだが意識があるのかもよくわからない。皆が気味悪そうな顔をして見守っていた。
「大滝くんよ!」
JONYが叫ぶと、大滝の体がビクッと動いた。そしてJONYは彼の頬を両手で挟み、額を擦り付けるようにして、彼に囁く。
「大滝くん、君は恋を知らないね」
「知りません……」
大滝がまるで、寝言のようにつぶやいた。起きているはずなのに、まるで夢の向こうから声をかけてくるかのようだ。
「八郎丸の声を聞いたのかい?」
八郎丸と言う言葉を聞いて、また大滝が小刻みに震え始める。涙が目に浮かんだ。JONYはさらに、大滝の頬に添えた手に力を込める。
「惑わされちゃダメだ。八郎丸なんていない。いないんだ」
「いない? 八郎丸、いない……?」
涙を流しながらも、大滝の目に光が戻ってきた。潤んだ瞳でJONYの目を見つめる。
「そうだ、いないよ。怖がらないで。大滝くん、恋を知る前に死ねないだろ?」
「……」
「しっかりしてよ。戻ってきて、コイバナしようよ。僕はコイバナが好きなんだよ」
誰もが息を飲んで二人を見守っていたが、カウンターの奥に座った真琴だけ溢れた笑いを抑えきれず、「グフッ」と変な息を漏らした。「声低っ!」ともえは内心思ったが、言える雰囲気ではなかった。
大滝がハッとした顔で肩を震わせた。そしてJONYから顔を離し、左右を見渡す。その様子で、大滝がどこかしらから「戻ってきた」と皆が思った。大滝が意識を取り戻し、ふうとため息をついた。
「もう、本当に何なの? ビックリしちゃいましたよ」
ユウリが快活な声で言い、その場の緊張が一気に解けた。
「ごめん、ごめん」
「JONYさんは遅れてくるし!大滝さん大丈夫ですか?」
「すみません、なんか、記憶が飛んだんですけど、僕大丈夫でした?」
大滝はハンカチで脂汗を拭う。
「いや、もうなんかただならぬ様子でしたよ」
MASAの声が妙にのんきに響いた。
JONYがMASAの顔をじっと見て言う。
「MASA、他人ごとみたいに言うけど、君だって危なかったんだぜ」
「えっ!何がです?」
「だって君はつい最近まで恋を知らなかっただろ。まぁ恋は知らなくても女は知ってるから、八郎丸に憑依されずに済んだんだろうけどね」
「全然話が見えないんですが……」
MASAが怪訝そうな顔をした時、その隣のカウンター席に座ったもえが突然声を荒げた。
「もう、なんなんですか? 意味がわかりません!最近みんななんか変!リョウジも変だし。MASAさんだってさっき何が言いたかったんです?前も言ったかもしれないけど、私リョウジと付き合ってるんで、人の彼氏のこと悪く言うのやめてください! 真琴さんも!さっきからなんか初めて会うのに敵意を感じるんですよね!私何か悪いことしました? あとね、大滝さん、申し訳ないんですけど、スーツに猫?犬の毛がすごいですよ!私動物アレルギーなんです。なんか獣くさいし、そういう配慮してほしいんですよね!」
息継ぎもロクにせず、一気にまくしたてたもえに、また皆が唖然とした。もえは比較的温厚な女性ではあるが、その一方で神経がか細くすぐに動転してしまうところがあった。事態が理解の許容量を超えてしまい、緊張状態が解けた瞬間その動揺がなぜか怒りに転じてしまったようだ。
またその場が静まり返ったが、「犬の毛だらけで獣くさい」と言われた大滝だけが、また涙目になって黙り込んでしまった。JONYが背後の戸棚から粘着テープのハンディクリーナーを取り出し、大滝のスーツをコロコロと掃除してやった。「すみません……」と大滝が消え入りそうな声で呟く。
JONYの言う通り、恋も女も知らない大滝は、パグの鍛冶康だけが心を許せる唯一の友達だった。確かにパグは見かけの割に毛が抜けやすいのが難点だ。臭いもきつい。だけど、俺の大事なパートナーなんだ、と大滝は心の中で思う。「ゆる読相関図とはなんだ?」という疑問を確かめるためだけに、久々に外の世界に出てきた。だけど、いきなり具合が悪くなった上に見知らぬ女に鍛冶康のことまで罵られた。可愛い女だな、と思いかけたが、口を開けばこんなものだ。真琴とかいう女だって、美人だがなんだか得体が知れない。こんなことなら外に出てこなけりゃよかった。恋なんて一生知らなくていいんだ、鍛冶康さえそばにいてくれれば。家に帰ったら、これからも静かに鍛冶康と生きていこう。大滝はそう決心し、今日ここにきたことを後悔し始めた。
「もう、こうなったら全部説明したほういいんじゃないですか? JONYさん」
ヤマネコがカウンター奥のシンクに寄りかかりながら言った。
以上です。無責任につなげてみました。
部会が始まろうとしていたところで、ゆる読相関図を探るために参加していた大滝が、八郎丸(もう死んでる?)に憑依されてしまいました。大滝のピンチに我らがJONYさんがついに登場です。一体バーKIYONOになにが起きているのか、いまいち把握できていない参加者たちに(ヤマネコは何か知っている様子ですが)、JONYさんの口からついに真実が語られるのか!?いや、語られなくてもいいんですが。キーワードは「君は恋を知っているか?」です!相関図ですからね。。いや、全然別の方向性でもいいんですが。つなげづらかったら適当に直してください。
とにかく次の方、お願いいたします。
JONYが口を開こうとしたその時、店の扉が開き、髪の長い細面の美しい娘が入って来た。娘は、「こちらはまだいいですか?」小さな声で訪ねながらカウンターの椅子に腰かけると、傍にいた大滝をじいっと見つめた。そして、「あなたに会ったのはこれで2度目ね。」そう言うと、大滝の肩に腕を回した。
驚いた大滝は少し咳き込んだが、まんざらでも無さそうにJONYに言った。
「知らない。」

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