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公開前の映画情報コミュの4ヶ月、3週と2日

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「4ヶ月、3週と2日」 4Luni, 3 Saptamani Si 2 Zile
  08年3月1日、銀座テアトルシネマほか公開
  07年ルーマニア  コムストック・グループ+ツイン配給
  上映時間:113分  日本語字幕:?
  監督:クリスティアン・ムンジウ
  出演:アナマリア・マリンカ、ローラ・ヴァシリウ、ヴラド・イヴァノフ
  http://www.432film.jp/


1987年、チャウシェスク独裁政権末期のルーマニア。女子大学生のオティリアは、ルームメイトのガビツァの荷物を詰める手伝いをしていた。ガビツァが望まない妊娠をしてしまい、中絶をするというので、その準備を手伝っていたのだ。人口確保のために3人の出産を義務付けられていたルーマニアでは、人工中絶は犯罪。ガビツァは闇医者に頼んで、ホテルの一室で中絶手術をしようとしていたのだ。ホテルを予約し、大学に出かけたオティリアは、恋人のアディから母親の誕生パーティーに来て欲しいと誘われる。しかし、手術の手伝いをする約束をしていたため、オティリアはやむなく断ってしまう。ホテルに着くと、今度は従業員から「予約は入っていない」と冷たくあしらわれ、仕方なく別のホテル確保に奔走する。体調が優れないというガビツァに代わり、闇医者のベベとの待ち合わせ場所に行くと、無愛想な男が立っていた。不安に駆られるオティリア。しかし、予想もできない出来事はこの先も待っていた−−。

ルーマニア映画では初めて第60回カンヌ映画祭でパルムドール(最優秀賞)を受賞した作品です。ルームメイトの中絶手術に翻弄される主人公の、たった1日で起きた出来事を綴っています。

とにかく「沈黙」が印象的な映画でした。ムダなセリフを極力排除し、瞳を伏せたり唇を噛む表情でその心境を表現している。

特に心に残ったのが、手術がひと段落してオティリアが彼氏の母親のパーティーに駆けつけ、輪に加わったシーン。ペチャクチャしゃべりまくるパーティー出席者の輪の中で、その前にある出来事があり、塞いだ表情でほとんどしゃべらずにいるオティリア。3、4分の長回しでそれを見せるのですが、何もしゃべっていないオティリアの表情が最も雄弁に彼女の心境を物語っていました。「沈黙こそ雄弁」という演出をまざまざと見せ付けられた気分です。

闇中絶なのをいいことに2人に無礼に接するベベに対し、自分のことを他人事であるかのように振舞うガビツァ、逆に他人事なのにまるですべて自分のせいであるかのように翻弄された1日を過ごすオティリア。どこまで彼女に感情移入できるかが、観後感の違いに現れそう。私は同情よりもイライラというか歯痒さを強く感じてしまいました。

幕切れはあまりにあっけない。そのときのオティリアの表情が印象的でした。

電力不足のため暗闇が待っている夜の街、配給制?のためバスに乗る切符がなく他の乗客に切符を譲ってもらうシーン、ベベがオティリアに中絶後のことを忠告するセリフなどなど、当時のルーマニアの状況を伝えるリアリティーさも満点。

それにしても、公式サイトの「作品の背景」のところに書かれている当時のルーマニア事情には、全くの驚きです(詳しくはサイトをお読みください)。そこまで徹底した出産管理を行ったからこそ、リスクを犯してでも中絶する悲しさがあり、「チャウシェスクの子供たち」と呼ばれるストリート・チルドレンが溢れたのでしょう。こうした女性、子供たちが不幸になるような社会は二度と来てほしくありません。


私的採点:3.5点(5点満点)


                 2月5日 京橋テアトル試写室

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