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村上春樹∽短編小説コミュのシェエラザード

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羽原と一度性行するたびに、彼女はひとつ興味深い、不思議な話を聞かせてくれた。『千夜一夜物語』の王妃シェエラザードと同じように。もちろんお話とは違って、夜が明けたら彼女の首をはねようというようなつもりは羽原には毛頭ない(だいたい彼女が朝まで彼の隣にいたことは一度もなかった)。彼女はただ自分がそうしたいから゛羽原のために話をしてくれたのだ。ずっと一人で家にこもっていなくてはならない羽原を慰めるつもりもあったのだろう。しかしそれだけではなく、というかおそらくはそれ以上に、ベッドの中で男性と親密に話をする行為そのものが彼女は好きだったのだろう――とりわけ性行為を終えたあとの二人きりの気怠い時間に――と羽原は推測した。
(本文より)


■初出
「MONKEY」vol.2. SPRING2014

■収録
2014年4月 女のいない男たち

コメント(7)

スマホの調子が悪くてなかなかトピ立てに来られませんでした(>_<)
明日からはこちらもよろしくお願いします!
やっぱ長文書き込むとなるとガラケー最高ですね。スマホの調子が良くなってまた使ってたけど長文がなかなか書き進められない(>_<)
文明の利器に翻弄されてます。

で、今回のシェエラザードですが、羽原の元に通ってくるシェエラザード(仮)がセックスの後に何かしらの話をしてくれるという不思議なストーリー。
今までも、登場人物が昔話をするタイプの、いわゆる入れ子構造?というのかな?二重の物語形式になっている短編はよくありましたね。
有名なのだと「沈黙」「十七番目の男」など。蟹とかハンティングナイフもそうだし、いっぱいあります。
ただ、ある程度共通しているのが、聞き手が村上春樹を思わせる小説家というパターン。小説家である僕に誰かが語ってくれた不思議な話、というのが多かったですね。
今回の場合は羽原とシェエラザードという、何やら込み入った状況の二人の間で語られる話。
また二人の関係も曖昧で謎が謎を呼びます。

まずこの二人ですが、やはりイメージするのは過激な宗教組織。
羽原は実行犯で、指名手配されている。シェエラザードは信者の一人で、羽原を匿う手助けをしている。
羽原は恐らく人の命に関わる罪を犯して逃亡中…
オウムを連想した人も多いのでは?

その背景で語られる、シェエラザードの前世の話と、アンモラルな恋物語。
特に家宅侵入の話は、女の私でもちょっと引くくらいのヤバヤバな内容(^_^;)
でも語り口が上手いからなのか、若い頃の盲目的な恋って暴走しちゃうよね〜と、なんか共感出来てしまう不思議。
うん、まぁわからんでもない……よな……。

宗教団体という背景で読むと、鱒のお腹にくっついて皮膚を破って内蔵をちゅうちゅう吸う話とか、犯罪が大事になる前に引き返せてよかったみたいな話とか、含みがあって怖いです。

何よりその話の続き!
羽原じゃないけど、そんな焦らして終わりなんて酷い!続き気になるじゃないか(-o-;)
読みたいわぁ…
あと以前もどこかで書きましたが、今回も電話が象徴的な役割を果たしていますね。
その電話がある線引きになっている感じがします。
どこで・誰が掛けてきているのかわからない…
だだ、どこかで・誰かが、メッセージを送ろうとしているのは確かです。

現実的な話をするなら、シェエラザードの空き巣が大事にならなくて良かった〜じゃなく、大事にならなかったことが問題だったのかな。
つまりシェエラザードは、一度空き巣がバレて酷い目に会うべきだったのではないかと。
それでスパッと懲りたりまともになったりはしないでしょうが、なんとなくお咎め無しで終わってしまったことで、歪んでしまったのかも。
だって彼女の今してることって、多分、大っぴらに出来ないことですよ…。
不貞は確実だし、ひょっとしたら指名手配犯を匿っている?ことも罪だし。

そしてやっぱり気になる話の続き。
村上さん書いてくれないかなぁぁぁ(>_<)
ずいぶん久しぶりなので2回目読みました。
若い頃は男でも女でもそういうことを妄想することはあるんでしょうね。
ただ実際に実行する人はそんなにいない。
シェエラザードは一線を越えてしまった人ですね。
それが今の彼女の境遇の原因になっているように思います。

シェエラザードの続きのお話。
ちょっと想像してみたけど、割と陳腐な話っぽい気がしますね。
患者になった彼と会って、見舞いに来た母親とも会って、けっこう親密に話をする仲になって、
「そう言えば昔・・・」なんて母親がTシャツが無くなった話をして、その結末がシェエラザードにとってはあり得ないことだった。
カギを変えてもなくなり続けた・・・
みたいな。

羽原にとっては話の続きよりも、女を失うことの心配が大きいのでしょうね。
普通に生活していれば、彼女とつきあったり、結婚したりして女を失う心配は特にしないで生きていけるのでしょうが、羽原の境遇だとそこは常に不安定なまま。
「現実の中に組み込まれていながら、それでいて現実を無効化してくれる特殊な時間。」
女性と親密な時間を共有する事。
なんとなく納得できます。
別に性行為のみではなくて、女友達とカフェでお茶しながらおしゃべりする時間、アマチュアカメラマンとして公園や水族館で女の子の写真を撮らせてもらう時間・・・・・
なるほど確かに現実を無効化してくれてるわ。
こうしてmixiの掲示板でじゃがいもうさぎ。さんと感想をやりとりしている時間もそういう時間ですね。
女たちは確かに大切なものを提供してくれているようです。(^_^
>>[4]
怒濤のお盆も終わりですね。遅くなってすみません。
女のいない男たちをテーマに編まれたアンソロジーですが、どうしてもシェエラザードの「愛の盗賊物語」にピントが合ってしまいます。
シェエラザードを失うことが彼にとってどんな意味を持つのでしょうか?
シェエラザードを失い、物語の結末も失う。
永遠に語られないことになるかもしれない物語を思って妄想が膨らむ日々。
単純に性欲の相手を失うだけでない、もっと別の喪失があります。

INOさんの書き込みで考えたのですが、やはり「女のいない男」と「男のいない女」では喪失の色合いが大分違いますね。
男にとっての女のいる世界とはどんなものなのでしょうか。
今までの短編からすると、男は女を自分の世界の一部に住まわせているイメージです。
対して女は自分の世界の外に男がいて、そこに入っていくイメージ。
自分の世界は自分だけのまま。
男は自分の世界という一つの大きなフィールドを持つのに対して、女は世界を複数に分割して、状況に合わせてそれを行き来している感じがします。
あくまでイメージですが(^_^;)
じゃがいもうさぎ。さんの書き込みを見て考えてみました。
男には多分、「現実の世界」と「女のいる世界」の2つの世界があるのだと思います。
現実でどれだけ嫌な目にあってもみじめな思いをしても、女に時間を与えられている間はそれがすべて無効になる。
男にとってとても大切な時間だと思います。
男は自分では「現実」という1つの世界しか持っていないから、女の持っている複数の世界の1つを与えてもらっているのかもしれません。
「女のいない男」はつらいでしょうね。
現実しかないから。
羽原はシェエラザードの話しの内容よりも、自分のために話してくれているということ自体が大切であったと思います。
シェエラザードがふんだんに無尽蔵に与えてくれた「女といる時間」。それを失うかもしれないことが哀しいのでしょう。

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