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佐藤ラギコミュの『蜥蜴』

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 『人形(ギニョル)』の作者・佐藤ラギは、同時にもうひとつの長編小説『蜥蜴』を完成させ、角川書店の日本ホラー小説大賞に応募し、最終候補に選ばれました。
 選評では高橋克彦、林真理子という、厳しい評価を下すことで知られるベテラン2名が高く評価。しかしながらこの年(2003年)は大賞『姉飼』(遠藤徹)をはじめとした力作が揃った激戦の年であり、『蜥蜴』は惜しくも受賞を逃しました。
 『蜥蜴』の結果が出る直前に、佐藤ラギ氏は『人形(ギニョル)』で新潮社のホラーサスペンス大賞を受賞してデビューしたので、普通ならば受賞後第1作として『蜥蜴』を加筆修正して新潮社から出すのが順当だったはず。なのに、なぜか『蜥蜴』は出版されないまま、15年の歳月が過ぎてしまいました。

コメント(4)

高橋克彦氏の選評より

「惜しくも落選したが『蜥蜴』は面白かった。拷問される者の痛みが生々しく伝わってくる。設定があまりに都合がよすぎるという点で外されたものの、文章の切れ味といい、キャラクター作りのセンスの良さといい、書ける人であるのは間違いない。」

文章の切れ味とキャラクター作りのセンスの良さ、という高橋氏が指摘した『蜥蜴』の美点は、そのまま『人形(ギニョル)』にも当てはまります。やはり完成度は高いのでしょう。読んでみたい…。
林真理子氏の選評より

「あついすいか(遠藤徹)さん(の『姉飼』)とは正反対に、文章で「嫌な感じ」を表現しているのがネコ・ヤマモト(佐藤ラギ)さんの『蜥蜴』である。
 拷問から受ける肉体的苦痛を、細部にいたるまで執拗に描写している。本を投げ出したくなるほど「嫌な感じ」だが、ここまで書けるのは並たいていの才能ではないだろう。けれども、どうしても古くさい印象を逃れない。ここからもうひとつ飛んではもらえないだろうか。」

直木賞などでの手厳しい選評で知られ、アンチも多い(笑)林真理子氏が、ラギ氏の筆力をかなり高く評価しています。
そして『蜥蜴』では拷問される被害者の苦痛を重点的に描写している作品らしい。これを読むと『蜥蜴』は、拷問する加害者の視点から描いた『人形(ギニョル)』とは対になった「姉妹作」のような作品ではないかという印象を受け、ますます興味がつのります。
選考委員はもうひとり、荒俣宏氏がいるのですが、残念ながら氏は選評において『蜥蜴』への個別の言及はなし。

荒俣宏氏の選評より

「今回の候補作は、ある意味で過剰なエネルギーを爆発させた濃厚な力作ぞろいであった。ただし、連続殺人だのマニアックな加虐趣味だのに揃って関心が行きすぎている点が、時代の気分もあるのだろうけれど、すこし気になった。」

思えばこの年の大賞はまさに「マニアックな加虐趣味」が炸裂した傑作『姉飼』であり、ある意味、佐藤ラギ作品と被る要素もある作品だったことが、『蜥蜴』が受賞を逃した一因だったのかもしれません。
『蜥蜴』を読む方法はありませんが、なにしろ高橋克彦氏が「面白かった」と評価し、林真理子氏が筆力を評価するくらいだから、じゅうぶん出版するに足る水準の作品であることは間違いないでしょう。
新潮社では絶版のまま文庫化もしてくれない『人形(ギニョル)』と一緒に『蜥蜴』を文庫化してくれる、優しい出版社があらわれてくれるのを望みます。角川ホラー文庫あたりでひろってくれないでしょうかね。

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