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東日本大震災記録コミュの673、「地震兵器」説の徹底分析と致命的欠陥、陰謀論の本当の危険

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現在、陰謀論ジャーナリストのベンジャミン・フルフォード氏やリチャード・コシミズ氏などが「東日本大震災は地震兵器によって起こされた」という説を唱えており、完全に心酔した元広島県議会議員がツイッターで強く主張するなどの状況となっている。

確かに、小規模であれば人工的に地震を起こせることは事実であるが、今回の大震災を地震兵器によるものと見なすことはできない。そのことはすでに山本弘氏の詳細な検証もあるが、ここで地震兵器説そのものの問題点を指摘しておきたい。

※この記事は合計で約4704字ありますので、個人差はありますが全部読むのに約9分20秒かかります。

「地震兵器」とされるものには多くの種類がある

一口に「地震兵器」と言われるが、陰謀論における地震兵器には多くの種類があり、原理の異なるものが一括して扱われている。ここにミスリードの原因の一つがある。

たとえば、1991年5月4日の読売新聞記事「巨大地震兵器 ソ連で開発間近!?」ではこのように報じられている。

 ソ連の週刊誌「メガロポリス・エクスプレス」は三日発行の最新号で、ソ連は、地球表面の地殻変動などを利用し、敵領土内に人工的に地震を発生させる「巨大地震兵器(地殻変動兵器)」の開発直前にある、と伝えた。
 研究に当たってきたイワン・アヌレイエフ陸軍小将が、同紙のインタビューに答えたもの。
 例えば、地殻を構成するプレート(板)の変動により、大きなひずみが生じた地点に小さな核爆発を起こすことで、大地震を誘発するというのがその仕組み。
 地殻の分布状況によって、核爆発を起こす地点(震源)と実際に大地震が発生する地点が、何千キロも離れていることも可能、というのが特徴。

つまり、核爆発を起こすことで遠隔地に地震を発生できるという仕組みである(いま、ここではその兵器が実用化されているか否かということはひとまず置いておく)。

一方、最新の東日本大震災地震兵器説はこれに似ているが、「震源地近くで地球深部探査船「ちきゅう」が工作を行なった」とされており、震源地に近いことが疑惑点とされている(この件の検証については山本弘のSF秘密基地BLOG:「ちきゅう」陰謀説のバカさ加減に詳しい)。

さらに、地震兵器陰謀説で有名なHAARP(高周波活性オーロラ調査プログラム)は今回の東日本大震災でも当初取りざたされていたが、その原理は上記二つのいずれとも異なり、アラスカにある施設からの高周波発生による地震兵器なのである。

一口に「地震兵器」といっても、その原理が根本的に異なるものがひとまとめにされていることがわかる。矢も投石機もライフルもミサイルもまとめて「飛び道具」というくらい乱暴なくくりなのだ。

地震兵器説の一覧

ここで従来唱えられてきた地震兵器説を一覧しておこう。

ニコラ・テスラの地震兵器説2(振動共鳴型):1896年、ニューヨークにてニコラ・テスラが行なったとされる機械振動子実験。この振動が別の機械を共鳴させることで振動が大きくなり、周辺地域にて窓ガラスやパイプが破損する被害をもたらした。テスラは振動装置を破壊することで止めたという。
ニコラ・テスラの地震兵器説2(高周波発生型):1898年、同じくニューヨークにて、ニコラ・テスラが新聞記者の前で2トンの鉄の塊を粉々に粉砕した実験。原理は機械振動子とは異なり、高周波を発生させることによる。この兵器の出力を上げれば「地球を二つに割ることもできる」と発言したという。以前は1型の説明がなされていたが、近年は1型の説明はなりを潜め、こちらの説明が主となっている。HAARPを地震兵器とみなすための操作であると思われる。
HAARP(高周波活性オーロラ調査プログラム)説:「大出力の高周波を電離層に照射してオーロラ等の調査をする」ための大規模施設がHAARPである。1993年、アラスカ州に建設された。これが、ニコラ・テスラのタイプ2と同じ原理の高周波発生による地震兵器とされる(米軍施設『HAARP』は「敵国全体を機能不全にする」兵器? | WIRED VISIONなど参照)。2000年前後からHAARPは地震兵器説の「花形」で、東日本大震災でも当初HAARP説が唱えられていた。
震源地から離れた場所での爆破地震兵器:上記読売記事にあるとおり、プレートのひずみのポイントで核爆発を起こすことで、遠隔地にも地震を起こすことが可能とされる。
震源地に強烈な刺激を与える地震兵器説:地震研究のために小規模な「人工地震」を発生させることは実際に行なわれているが、それを「兵器」として使っているという説。阪神大震災の場合は、震災直前にラドン濃度が急増・急減したことなどを根拠に、高周波・高電圧の電磁波を照射することで強力な刺激が震源地に与えられ、地震が発生したという説が唱えられた。また、震源地近くの明石海峡大橋で工事をしていたベクテル社が地中に何らかの工作を行なったものともされた。東日本大震災では、ベンジャミン・フルフォード氏が地球深部探査船「ちきゅう」犯行説、リチャード・コシミズ氏は「アメリカが核弾頭を搭載したバンカーバスターミサイルを海底に打ち込んだら起こせる」という説を唱えた(陰謀説内部でも説が分かれている)。
大まかに言えば、「震動共鳴」「電磁波」「核兵器・爆発物等」の3タイプに分けられる。これらの3タイプのどれが使われたかという検証もなしに、いきなり「今回の震災は地震兵器によるものに違いない。HAARPだってあるんだから。よく調べてみたら震源地に近いところにこんな怪しいものがあった。これが原因に違いない。反対するのは何らかの勢力による陰謀の隠蔽に違いない」という思考回路が働いているわけだが、そのこと自体が極めて「非科学的」である。

それに、HAARPがあるなら現地にて観測船「ちきゅう」で工作する必要などない。「ちきゅう」が工作しなければならないのなら、HAARPは地震兵器としては役に立たないということだ。それを「HAARPという兵器もある」「ちきゅうも現地近くにいた」と(証拠を強化したつもりで)並列して論じている時点で矛盾だということに気づいていないのも致命的だ。

もちろん、実際に「異常な電磁波が観測された」という事実からその原因と関連を探るという試みの結果として地震兵器説が捨てられないというのであれば、それは科学的思考と言ってもいいかもしれない。しかし、現在唱えられているすべての地震兵器説はそれと逆方向の思考、すなわち「地震兵器が使われたに違いない、それを否定するのは政府の陰謀」と決めつけた上で、あんな可能性もある、こんな可能性もある、ほら可能性はゼロではない、だから地震兵器が使われたのだ、と言っているだけなのだ。それは何の証明にもなっていない。

東日本大震災での「ちきゅう」犯行説については山本弘のSF秘密基地BLOG:「ちきゅう」陰謀説のバカさ加減で完全検証されているとおりだ。要点をまとめると「そもそも「ちきゅう」は八戸にいて震源に近くない」「「ちきゅう」にはそんな深さまで何かを仕込む能力はない」「震源地は確かに当初10キロの深さと報じられたが、その後訂正された数字を陰謀論者は認めない」「エアガンで起こされた小規模な「人工地震」のエネルギー量は東日本大震災のエネルギーとは到底比べものにならない」と否定されているわけだが、そうすると「じゃあ純粋水爆が使われていたら?」という反論が投稿されたという。ではその「純粋水爆」とやらを実際にどのように使用したのか、それはどういう証拠を残しているのかという検証は当然提出されていない。

もちろん、「東日本大震災が地震兵器によって起こされた」という可能性は極めて低いが、可能性が「ゼロ」と言い切ることは逆に非科学的であろう。ただ、「可能性」はゼロではないとしても、ほぼ却下してよいと考えられる。なぜなら、「こうすれば地震が起こせる」という意見は提出されているが、それが確実に使用されたと考えられる根拠は何一つ提示されておらず、むしろ人工地震である可能性を否定する要素が多いからだ。

私は「東日本大震災(および阪神大震災等)は地震兵器によって起こされたと考えるより、自然現象であると考える方が自然であり、無理のない推論である」と結論づける。

陰謀論に潜む「強烈な敵対心」

地震兵器陰謀論が害毒となるのは、それが強烈な敵対心を生み出すからである。

1995年の阪神大震災後、オウム真理教が地震兵器説を主張し、「日本を属国化しようとするアメリカ/世界統一政府から日本を守り、戦って本当の日本独立を果たそう」というプロパガンダの根拠として利用した。ベクテル社を名指ししたのもオウム真理教だった。

2006年の『ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説』ならびに2008年の『ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説2』では、このオウム真理教の主張を踏襲する内容となっている。地震兵器説は1冊目で紹介されている一方、2では「戦って反米・日本独立を勝ち取ろう」というプロパガンダ的アジテーションがオウムの主張とシンクロしているのである(→参照)。

そして、現在の地震兵器説主唱者、ベンジャミン・フルフォード氏やリチャード・コシミズ氏なども同様の視点に立っている。リチャード・コシミズ氏は3月15日のブログで「米国の支配権力は、日本を人工地震攻撃することで疲弊・混乱させ、朝鮮半島に戦乱を起こして中国を巻き込み、極東に大戦争を引き起こそうとしています。彼らの最終目標は、世界最終戦争です。首領は、デービッド・ロックフェラーです。」という文面をツイッターで拡散するよう呼びかけている。また、人工地震説を支持するブログでは「日本が悪辣な米国金融ユダヤ人の属国から離脱して自主独立」することが目的である等と明記されているものもある。

「反米・独立」という主義主張の是非そのものには触れないが、そのプロパガンダのために根拠薄弱な地震兵器陰謀説が利用されていることは決して見逃してはならないと思う。陰謀論は、人々の憎悪をかきたて、「敵」に向かわせるために使われてきたのである。

陰謀論では、「敵」だけでなく「敵」に与すると見られた者や、「敵」と親しいだけの者、さらには「敵」と何らかの接点があるという者をすべて結びつけ、それらの敵グループが結託して示し合わせた上で行動していると妄想する傾向がある。場合によっては、まったくの別人物を同一人物もしくは関係者としたり、過去の所属から転向したにもかかわらず過去の所属団体の思想を流布しようと工作しているかのように主張する陰謀論者もいる。その結果、事実とはかけ離れた「相関図」を生み出し、それを鵜呑みにした人たちがまた陰謀論を広めていく。

このように「敵」を「拡大」し始めることは非常に危険な徴候なのだ。だが、陰謀論ではそのような心理が働いている。そして、あらゆる事象を、自分の信じる陰謀に都合のよい解釈で見ていくようになる。つまり、世界が通常とは異なって見えていってしまうのだ。

わたしたちは陰謀論に接したとき、その情報の真偽を見極めるだけでなく、その情報発信者が敵対視しているものは何なのかを見極めていく必要もあるだろう。そして、その「敵」が仮にどれほど悪辣であったとしても、そのような陰謀論デマを利用することが果たして妥当なのか(手段を選ばないことが正しいことなのか)と、一歩踏みとどまって考える必要があるだろう。

2011年4月27日
http://www.kotono8.com/2011/04/27jishinheiki.html

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