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東日本大震災記録コミュの394, 社説:震災後 津波の教訓 「逃げる」ために備えたい

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 マグニチュード(M)9.0を記録した東日本大震災は、高さ10メートルを超える津波が約250キロもの海岸線を襲い、多大の被害を生んだ。
 2万8000人を超える死者・行方不明者は、約2万2000人が犠牲になった明治三陸地震(1896年)による津波被害を上回り、国内最悪の規模である。
 被災地では、大きな余震が続く。津波再来も厳重に警戒してほしい。
 プレートの跳ね返りが海面を一気に持ち上げる津波は「ジェット機並みのスピードで近づき、新幹線並みのスピードで打ち寄せる」と言われる。島国で地震国でもある日本は、過去幾度も大津波に襲われた。
 ◇全国で対策を見直せ
 22万人以上が亡くなった04年のインド洋大津波を受け、国土交通省の有識者会議が05年、国内で初めて総合的な津波対策の提言をとりまとめた。現状の不十分さを指摘し、「海岸防波堤などのハード整備と、地域における社会組織の防災力などソフト対策を合わせて展開し、被害の最小化を目指す」とうたった。
 東北地方の太平洋側も津波多発地域だったはずだ。提言の内容は生かされたのか。甚大な被害を生んだ原因は何か。地震や津波の専門家による分析と検証が急がれる。
 駿河湾から四国沖の海底を震源とする東海、東南海、南海地震は、今世紀前半に高い確度で起きると予想され、より可能性が高い東海地震に他の二つが連動するとも指摘される。今回の巨大地震の影響はないと専門家は見るが、東海地震が発生すれば房総半島から紀伊半島の広域を津波が襲う恐れがある。数千〜1万人を超える被害予測も出ている。
 もちろん、日本海側でも過去に大きな津波被害がある。全国規模で早急に津波対策を見直すべきである。
 やはり住居は高台に置くのが基本だ。そして発生時、海の近くにいたら高台や高所に一刻も早く避難すること。それこそが、今回の津波被害が示す最大の教訓だろう。
 被災地には世界有数の防波堤があったが、相次ぎ破壊された。世界最深としてギネス記録に認定されていた岩手県・釜石湾の全長約1.7キロの防波堤も虫食い状態だ。被災地の護岸約300キロのうち190キロで堤防が全半壊した。津波対策をハード整備に任せきれないのは明らかだ。
 一方で、岩手県普代村では、高さ15メートルの防潮堤が住民の命を守った。津波被害は入り江の形状など地理的条件にも左右される。まずは、想定される津波の大きさを地域ごとに見直し、防護上の弱点があれば早く補強すべきである。
 また、国土地理院が作製した浸水地図によると、三陸の広い地域で海岸から最遠約5キロの地点まで水が達した。各自治体が作っていた津波のハザードマップ(被害予測地図)の浸水域を大幅に上回る。拠点避難所が津波にのまれた地域もある。
 ハザードマップを見直し、より高台での避難場所の確保が急がれる。数階建て以上の鉄筋コンクリート造りの津波避難ビルを何カ所か確保すべきだとの専門家の声も強い。既存のビルの活用も含め検討すべきだ。
 岩手県大船渡市内の小学校は、昨年完成したばかりの避難用スロープを使って児童たちが無事、高台に避難した。一分、一秒でも早い避難が生死を分ける。学校や高齢者施設では、避難路の確保が欠かせない。

 ◇防災意識の持続が大切
 今回、車での避難による渋滞が、被害を拡大したとの指摘が出ている。一方で、高台まで遠かったり、徒歩での避難が困難な高齢者にとって車は不可欠だろう。地域によって異なる道路事情も考慮し、対策をとるべきだ。もちろん、いざとなれば車を乗り捨てる覚悟が必要である。
 「津波てんでんこ(てんでんばらばらに逃げる)」が伝わる三陸地方だが、津波の教訓を長い年月継承する難しさも課題として残った。
 三陸沖は、チリ地震(1960年)で6メートルの津波が襲い約140人が亡くなった歴史がある。今回、津波警報後も避難せず道端で話し込む高齢者がいたとの証言がある。チリ地震の記憶から、津波はここまでこないとの判断があったのかもしれない。
 今回の津波被害を受けて、被災地以外で避難マニュアルを策定したり、自治会単位で避難訓練を実施する動きが出始めた。また、東海地震での津波が予想される三重県尾鷲市では、避難シミュレーションを作成し、アニメ化までしている。地域や自治体が工夫を凝らし、住民の防災意識を一層高めたい。
 昭和三陸地震(1933年)で三陸地方が再び大きな津波被害を受けた後、物理学者で文筆家の寺田寅彦は論文で、学校現場での防災教育の重要性を説いた。
 江戸時代に大津波から人々を救った実業家をモデルにした物語「稲むらの火」の一部を紹介する伝記が、今春、小学5年生の国語教科書(光村図書出版)に載った。この物語の教科書掲載は実に半世紀ぶりだ。災害から命を守る大切さを学びたい。
 世界では、津波や洪水で途上国を中心に毎年万人単位で人が亡くなる。原発も含め、国際社会の支援を受けた震災だ。津波の教訓や記録、今後の検証は世界と共有すべきだ。

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毎日新聞 2011年4月17日 2時30分


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