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東日本大震災記録コミュの264.意外な反応を見せたエネルギー市場震災とリビア空爆で分かった世界的情勢の変化

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 今回発生した東日本大震災後に対してエネルギー市場は、かなり意外な反応をした。仔細に見てみると、ここ10年くらいの世界的エネルギー事情の変化を象徴するような反応だった。

 今から3年9カ月前の2007年7月、中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原発が7基全部停止したとき、代替の火力発電所用燃料として東京電力が血眼になって液化天然ガス(LNG)の買付に乗り出した。

 当時、同社に調達を依頼されたある大手総合商社は、スペインのイベルドローラやユニオン・フェノサ(電力会社)、ガス・ド・フランス、BG(旧ブリティッシュ・ガス)の米国拠点といった大口ユーザーや、アルジェリアのソナトラック(国営炭化水素公社)等のサプライヤーに軒並み打診し、玉をかき集めた。その結果、日本向けLNGのスポット価格が(百万BTU当り)10ドルから一挙に20ドル超に暴騰した。ガスの液化設備に莫大な投資を必要とするLNGは、20年程度の長期契約が伝統的な販売方法である(それが融資の担保になる)。そのためスポットで取引される量は極めて少なく、容易に暴騰する。

今回もLNG価格は暴騰すると思っていたが…

 今回、東京電力は、福島第一原発などの代替発電所として、計画停止や定期点検中だった横須賀火力3、4号機(石油焚き)、品川火力1号系列第1軸、横浜火力7号系列第2軸(以上ガス焚き)などの運転を再開する。したがって筆者は、LNG市場でもてっきり以前と同じことが起きると思っていた。

 ところが、LNG価格は震災前の10ドル前後から11ドル台と、わずかな上昇にとどまった。その理由は2つある。(1)2007年に比べて、供給が潤沢で、スポット市場といえど買い手市場になっていることと、(2)サプライヤーやメジャー(国際石油資本)が日本支援という観点から、従来のように足元を見て値段を吊り上げるようなことをしなかったことである。

 (1)については、昨年12月に、世界最大のLNG出荷国であるカタールが、すべてのLNGプロジェクトを完成し、年間生産能力7,700万トン体制(世界シェア30%)に入ったことが大きい。そのほか、2000年代に入って技術の進歩やエネルギー価格の高騰で、北米のシェールガス(頁岩層から採掘される天然ガス)の生産が飛躍的に増加した「シェールガス革命」や、2008年のリーマン・ショックや昨今のユーロ危機による世界景気後退の影響もある。

 (2)については、多くのLNGサプライヤーが、日本救援という観点からいたずらに価格を高騰させない立場をとり、欧米メジャーもコーポレート・レピュテーションの観点から、これに追随した。こうしたことは過去になく、非常に予想外だった。これはサプライヤーに「新セブンシスターズ」(ペトロナスやガスプロム等)と呼ばれる国営石油会社等国家を代表する企業が多く、政治的判断で行動できたのが一因である。

 中越沖地震で停止したのは東京電力の柏崎刈羽原発だけだったが、今回は東京電力や東北電力の東日本太平洋側が火力も原子力も軒並み壊滅的な打撃を受けた。そして、ほぼすべての電力会社が燃料確保に乗り出し、とりわけ東電は24時間体制を組んで調達したため、総合商社の燃料部門は真夜中でもメールが飛んできて、その対応に追われた。しかし現在は、船舶運送費の便乗的な値上げや、放射能を恐れて日本に寄港したがらない船舶があるといった問題はあるものの、状況はかなり落ち着いてきている。東京電力は4、5月のLNGについては、主として日本の他の電力会社や韓国からの融通で確保した模様である。

2011年4月5日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110401/219277/?rt=nocnt

 一方、原油市場は、元々スポット取引が中心で、流動性が高く、大きな市場であるため、日本の電力会社の調達によって価格が暴騰するということはない。今回の震災に対する市場の反応は、震災によって合計で日量145万バレル程度の製油所が運転を停止し、日本経済がダメージを受けて原油需要が後退するのではないかとの思惑から、直前に107ドル近くを付けていたWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は101ドル台まで急落した。

高品質の原油は値上がりが顕著

 その約10日後、多国籍軍によるリビア空爆がWTIを再び106ドル台まで押し上げた。

 リビアは日量170万バレルというアフリカ第3位の有力産油国であり、生産に支障が出れば、当然のことながら価格押し上げ要因になる。また、リビア産原油は軽質低硫黄の高品質原油であるため、類似の北海原油(ブレント)などは他の油種に比べ、値上がりが顕著となった。原油市場は2000年頃から年金資金をはじめとする投資・投機資金が流入し、値動きが激しくなっている。

 今後、リビア情勢がどう展開していくかは、予断を許さない。フランスが中心になって急遽安保理決議をまとめたのは、リビアが混乱すると地中海を渡って難民が押し寄せてくると恐れたためと言われる。それ以外の理由としては、石油利権(2005年からリビアが行った鉱区の入札では条件が厳しく、外国企業に旨味がなかった。また、英国はメキシコ湾原油流出事故で青息吐息のBPを助けたいという動機がある)や、エジプトに代わるイスラエル防衛のための橋頭堡の確保ではないかと推測される。

 今後、多国籍軍によってカダフィが追い出されたとしても、中東・北アフリカ諸国の中でも特に部族色が強いリビアが一つにまとまっていけるのか、下手をすると内戦状態に陥るのではないかという懸念が残る。また、反政府勢力の中にアルカイダ関係者がいるとの情報があり、欧米は支援に及び腰になってきている。

 ただし、リビア1国の石油生産(世界シェアの約2%)が停止するくらいであれば、サウジアラビアの増産で代替は可能である。エネルギー市場が本当に恐れているのは、チュニジアに始まり、エジプト、イエメン、バーレーン、リビアなどに飛び火した民主化革命の流れがOPECの盟主サウジアラビアに達することだ。

 アサド父子二代が強権政治で国を支配し、48年間にわたって戒厳令下にあるシリアで反政府運動が起きるのはある程度想定の範囲内だったが、穏健なスルタン・カーブースの統治下で、安定した秩序を誇っていたオマーンでも民主化を求めるデモが複数回発生したことは、中東関係者の間でちょっとした驚きをもって迎えられた。今回取材した、日本の外務省幹部、中東のメディア関係者、中東在住者なども、サウジまで飛び火する可能性を指摘し、楽観論はあまり聞かれなかった。一説によると、今後1年以内か、今のアブドラ国王が死去する頃が危ないとも言う。

 上記のとおり、今後のエネルギー価格の行方は、上昇要因としての中東情勢の先行きに、ポルトガルをはじめとする欧州景気の不透明感やエネルギー価格が上昇した場合の景気失速懸念などが下落要因として絡み合っていく展開となろう。

 現在、WTIは104〜108ドル前後で小康状態を保っているが、市場は次の展開に備え、息をひそめている。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110401/219277/?P=2

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