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東日本大震災記録コミュの134.震災被災地、やむにやまれぬ略奪が増加

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 【仙台】海岸近くに位置するキリンビールの仙台工場では、巨大地震に伴う津波に襲われ、巨大なビールの貯蔵タンクがなぎ倒されたほか、瓶ビールや樽など無数の飲料品が流されて港一帯に散乱した。そして今、それら商品が再び襲われている。今度は津波ではなく、急増する飲み物に飢えた住民たちによってだ。

 複数の目撃者によると、津波が引くとともにキリンの巨大倉庫から流れ出てきたビールやコーヒー、ジュースなどの飲料を数百人の住民が運び去っていった。

 工場の向かい側にあるガソリンスタンドの経営者は、あらゆる人がやって来ては何かを持ち去って行き、持ち去る物がなくなるまで人が絶えなかったと話す。さらに、工場の敷地内に入ろうとする人さえいたが、警備員に止められていたという。

 仙台市が巨大地震と津波に見舞われてから10日以上たつが、ほとんどの被災者は並外れた自制心でこの危機に対処している。食料品や水、医薬品、石油が不足しているにもかかわらず、最も甚大な被害に見舞われた地域で文句を言う被災者はほとんどおらず、略奪行為の兆しもほとんどみられなかった。

 だが、被災地域の苦闘や生存競争の様子が少しずつ伝わってくるにつれ、あまりにも混とんとした事態によって、ごく一部の人が犯罪の衝動に駆られていることを示す証拠が一部出てきている。略奪事件の大半は、耐久財ではなく、食料品や石油といった震災後に供給がひっ迫している生活必需品をターゲットとしたもののようだ。

 石巻市の少なくとも2カ所のコンビニでは、津波で自動車が窓を突き破って店内に流れ込み、商品が流された状態だったため、店内に設置されていた現金自動預払機(ATM)がこじ開けられ、現金が持ち去られてしまった。津波を辛うじて免れたその他の一部コンビニでも、食料品と水を必死で求める人によって入り口のドアが破られる事件が発生している。

 仙台市のセルフサービス式の飲食店の一つでも、やはり食券用自動販売機がこじ開けられ、中の現金が持ち去られた。その近くに横転した自動車のガソリンタンクには穴が開けられていた。恐らくガソリンスタンドの再開を待ちきれない人たちによるものだろう。

 警察庁は、一部で略奪行為が発生していることは認めたが、その現象がどの程度拡大しているのかについては、まだ具体的なデータがないと話す。犯罪抑止対策室の加藤伸宏室長は、「そんなに多くはない。100件もないと思う。何十件といったとこだ」としたが、通報されていないものも含めると、もっとあるはずだと述べた。

 さらに加藤室長は、このような窮状では略奪行為を止める気にならず、見逃している人もいるのではないかとした。警視庁や一部の県警では被災地に巡視要員を増派し、問題の悪化を食い止めることを検討しているという。そのような行為を見逃し続ければ、被災地は無法地帯と化してしまう、と加藤室長は述べた。

 災害の後に略奪が発生するのは珍しいことではない。2005年に超大型ハリケーン「カトリーナ」が米ルイジアナ州を襲ったときは、ニューオーリンズの街はほぼ無政府状態に陥った。04年のスマトラ島沖大地震でも、被災地での窃盗事件がときおり報じられ、中にはトラックに冷蔵庫や家具、洗濯機を満載した村人がスリランカで逮捕される事件もあった。日本では、1995年の阪神・淡路大震災後に略奪事件がわずかに報じられた程度だった。

 だが、日本ではまだ今のところ深刻な犯罪問題にまでは発展していないとはいえ、違法行為に関する報道の増加は、当局にとって救援活動の一段の迅速化が急務であることを意味する。被災地では、約31万8000人の人々が依然避難所生活を強いられており、厳しい寒さが悲惨さに追い打ちをかけている。震災による死者・行方不明者数は、24日午前9時現在で2万5590人に上り、そのうち9523人は死亡が確認されている。

 道路のがれき撤去作業が進んだおかげで、救援物資の供給はここ数日は以前より迅速化してきている。だが、救援当局は、支援がすべての人に行き届いていないことを依然懸念している。特に、自宅にとどまることができている人たちは、それゆえに避難所に配送される供給物資を手に入れることができずにいる。

 略奪とみられた事件が、実はそうではないケースもある。一部の避難所では、強盗団が家屋や自動車に侵入しているとの噂が広まっている。だが、宮城県警によると、通報を受けて200件以上の盗難事件を捜査したが、そのほとんどが侵入しようとしているのは家屋や自動車の実の持ち主であった。

 宮城県警の警察官によると、問題を起こした人を何人か逮捕したのは確かだが、略奪は問題化しておらず、最優先事項にもなっていない。宮城県警の広報担当者は、震災以降の逮捕者数については公表できないと述べた。また、県警ではキリン工場付近で問題が発生しているとの通報は受けていないが、飲料品を持ち去る行為は法律違反に当たるとし、遺失物を見つけたら最寄りの交番に届ける必要がある、と述べた。

 キリンは、仙台工場職員は操業再開に向けた準備に忙殺されているため、工場付近での出来事についてはコメントできないとした。仙台工場は同社のビールの全生産能力の約8%を占めている。同工場ではその他の飲料も生産しており、倉庫にはそれらの商品が積み上げられていた。

 キリンの東京の広報担当者は、通りから盗まれた商品があるかどうかはまだ調査中だと述べた。

 仙台工場では22日の時点では、まだ正門付近の片付けさえ開始されていなかった。工場周辺の通りにはビール臭が漂い、ビールやその他飲料の空瓶や空缶が線路や木の上、川の中など至る所に散乱している。

 仙台工場の巡回を行っている警備員の一人は、この近くで車を止めている人を見つけたら制止するようにしているが、敷地の外にいる人に対しては、ほとんど何もできないと述べた。

 キリン仙台工場や仙台の港が津波に襲われるのを目撃した人によると、ビールやミニ樽、パレットなどのほか、ホップや麦の入った巨大な袋に至るまで、大量のキリンの資産が内陸に押し流された。

 目撃者によると、津波発生から約1日がたち、波が引くと、人々が現れ始めた。男性も女性も、子供さえも皆こぞって瓶や缶、箱などを車や徒歩、自転車で運び去ったという。

 22日の時点で、中身の入った瓶や缶はほとんど残されていなかったが、いまだに数人が、工場周辺に散らばった空き容器や積み重なった瓶の周りをうろうろしていた。ビールの6缶パックを抱えて立ち去る男性もいた。

 だが、そうした行為は気にならないと述べる近隣住民もいる。工場のそばの倉庫から津波や略奪を目撃した男性は、いずれにしろもう販売できる商品ではないのだからキリンも気にしていないのではないかとし、キリンにとってはむしろ、みんなのおかげですべてきれいに片付いたのではないかと述べた。

ウォール・ストリート・ジャーナル 3月25日(金)10時18分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110325-00000005-wsj-bus_all

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