参加国 [編集] 2007年末時点で参加している国は、アメリカ合衆国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドであり、英米同盟(UKUSA、ウクサ。United Kingdom & United States of America)とも呼ばれるアングロサクソン諸国とされる。UKUSAは、1948年にアメリカとイギリスとの間で締結された通信情報に関する秘密協定であるUKUSA協定が結ばれたことに始まり、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドは2次メンバーとして後に参加した。米国以外はイギリス連邦国家である。
折しも、米国防総省の信号諜報機関であるNSA(国家安全保障局)が、アップルを含む米国の大手ネット企業9社の中央サーバーに勝手に入り込み、スマートフォンなどのユーザーが9社のサーバーに蓄積した画像やメールなどの情報の中から、ほしいものをほしいだけ持っていける仕組みができていることが、NSAの要員によって暴露されている。 (U.S. Internet Spying Draws Anger, and Envy)
アイフォンをふつうに使うと、撮影した写真の画像ファイルは、アップルのサーバーに蓄積される。彭麗媛がアイフォンをふつうに使っているとしたら、彼女が撮った写真はアップルのサーバーに蓄積され、NSAが見放題だ。メキシコで撮った写真ばかりでなく、中国の自宅で撮った写真も、その場でアップルのサーバーに送られるので、NSAに見られてしまう。米国の法律では、外国人が米国のサーバーに蓄積した情報をNSAが勝手に見ても合法だ。中国当局は彭麗媛のアイフォンを特別な仕様にして、米国側に何も見られないようにしている可能性が高い。だが、彭麗媛のような重要人物でない、一般の中国人や、日本人など世界中の人々が持っているアイフォンに入っている情報は、すべて合法的にNSAに見られている。 (America and China entwined in a web of warfare)
翌日からの米カリフォルニア州での米中首脳会談の論点の一つは、中国当局のハッカが米国のサーバーに侵入していると米政府が主張している件だった。中国が米国の政府や企業の情報を勝手に見ていると米側は主張している。中国側は強く否定し、逆に、米国勢が勝手に中国側の情報を見ていると言い返している。NSAののぞき見が暴露されたことは、中国の主張の方が正しいことを示し、中国を有利にしてしまっている。 (China claims `mountains of data' on cyber attacks by US)
NSAが広範なネットのぞき見をしていることは、エドワード・スノーデンというNSAで働く29歳のネット技術者が、正義感から英国ガーディアン紙のグレン・グリーンワールド記者(Glenn Greenwald)にNSAの内部文書を大量に提供して明らかになった。ネット企業に対するのぞき見を明らかにしている文書は、NSAがのぞき見をする要員の養成用に作成した41枚のスライドから成るパワーポイントのファイルだ。 (NSA taps in to internet giants' systems to mine user data, secret files reveal)
それによると、のぞき見するには、プリズム(PRISM)というコンピュータのツールを使って9社のサーバーに入り込み、サーバー内にユーザーが蓄積した情報(メール、検索履歴、通信記録、画像、動画、その他のファイル)を検索して選び出し、結果を取り出す。対象となる9社はグーグル、アップル、マイクロソフト、ヤフー、フェイスブック、スカイプ、ユーチューブ、AOL、パルトーク(ビデオチャット)で、07年から順次拡大されており、今後ドロップボックスも対象となる予定という。 (What is the NSA's PRISM program? (FAQ))
スノーデンがNSAののぞき見を暴露したことで、のぞき見などしていないと言い続けてきた米当局のウソが露呈した。これは、これまで比較的良好だったオバマ政権のイメージと、ネット分野での米国の国際的な信頼性を大きく悪化させる可能性がある。その意味で、今回の暴露は、ベトナム戦争について米政府がウソを重ねていたことを認める機密文書「ペンタゴンペーパーズ」の1971年の露呈に匹敵すると指摘されている。 (Edward Snowden's explosive NSA leaks have US in damage control mode)
スノーデンはガーディアン記者に対し、NSAののぞき見のほか、NSAがFISAの秘密法廷を通じ、大手電話会社のベライゾンに、今年4月から7月までの米国内のすべての携帯と固定の電話の通話の双方の番号、通話した地点、日時と通話時間など、通話内容以外の概要情報を提出させたことを示す文書も渡した。ベライゾンは、米国の電話回線の約1割を占める大手だ。通話内容自体が含まれていないとはいえ、NSAがこのような無制限の全量データを提供させたことは前代未聞だ。 (NSA collecting phone records of millions of Verizon customers daily)
米国の政府や有力議員は、この手の電話情報の収集を何年も前からやっているので、目新しくなく、騒ぐべきことでないと弁明している。こうした弁明は、政府や議員に対する不信感を増しているように見える。 (Anger swells after NSA phone records court order revelations)
スノーデンはガーディアンのグリーンワールドにNSAの情報を数千件渡し、このうち数十件がニュースにする価値があるという。今後もまだ米政府の信用を失墜させるNSAの情報が出てくるかもしれない(だから米議員がグリーンワールドを罰せよと言っている)。この事件は、以前の「ウィキリークス」と似ている。 (Cryptic Overtures and a Clandestine Meeting Gave Birth to a Blockbuster Story)
NSAは、中国のサーバーに侵入したりサイバー攻撃する「タオ」(Office of Tailored Access Operations)と呼ばれる部隊を持ち、15年前から中国のサーバーに入り込んでいるという。 (The NSA Has A Secret Group Called `TAO' That's Been Hacking China For 15 Years)
先日、ロンドン郊外で開かれた国際会議「ビルダーバーグ」に、米国からペトラウス元CIA長官が出席し、ネット上にある個人情報の大量取得と活用方法、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアを使った民主革命(政権転覆)のやり方などについて話した。ネットの個人情報を見ることによって、人々の行動内容を完全に把握することができるようになる点が強調された。ペトラウスがこの話をするのは、とても皮肉的だった。ペトラウスは昨年、長年の愛人とのメールのやり取りを暴露され、CIA長官を辞めたからだ。 (Former CIA director David Petraeus at Bilderberg to create global spy grid)