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日記コレクションコミュの3.よしだくん

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作者:うちこ
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=9751333


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開店から2年半働いた南浦和の小さなBAR。

そこで私は大勢のお客様と出会いました。




年齢も御職業も十人十色のお客様方と

私みたいなケツの青い若輩者が

膨大な時間を共有させて頂けたということは

とても有り難いことです。




私の人生において本当に貴重で

かけがえのない2年半となりました。




そんなバーテンダー(もどき)時代に出会った

吉田くんというお客様がいらっしゃいます。

今回はその吉田くんのお話です。




吉田くんは自称24歳。

ジーンズにポロシャツをぴっちりイン。

そのハイウエストぶりは尋常じゃなく。

ぱっくりセンター分けの前髪をさらりと揺らす様は

もう時代が時代なら光GENJIにドラフト1位。

変声機を通したような声にまるで早送りな話し方。

会話中の目の泳ぎっぷりといったら

さながら目泳界のイアンソープ。




そんな月に1回だけいらっしゃる不思議なお客様でした。






「僕こう見えても結構ガラス張りとか好きなんですよ」






吉田くんがうちのお店に初めて来て、

初めて口にした言葉です。




衝 撃 的




しょっぱなから激しいボディブローです。

まず第一に ガラス張り の定義がよくわかりません。

仮に ガラス張りの店 とかだとして


「わあ!あの人ガラス張り好きそう!」

「ほんとだ!絶対ガラス張り好きだよね!」


とか


「ねえねえ、あの人ガラス張り好きなんだって!」

「えー!見えなーい!」


とか

そんな会話ってありますか、いえ、ありません。

ガラス張りが好きか否かは

人を判断する基準にはなりえません。

「こう見えて」からの繋がりは一切ナイです。




次に吉田くんが来た時の第一声は






「僕こう見えても水とか結構飲むんですよ」






再 び 衝 撃 的




私も飲みます。

猫も飲みます。

犬も飲みます。




なんの驚きもありませんでした。

感想を絞り出すとすれば、

私もですよ奇遇ですね!くらいです。





またある時は

私がお作りしたオリジナルカクテルに口を付けながら




「これを飲むと、僕の好きなカクテルを思い出すなあ」



と仰ったので

「ありがとうございます。なんていうカクテルですか?」

と伺ったところ

斜め45°の角度で私にキラリーンと視線を送り


「うーん、内田さんにカクテルの名前言っても、わかるかなぁ」


ススンと鼻を鳴らしながら一言。








確かに私は青二才。

シェイカーを振ればお客様に苦笑され

唯一褒められたことと言えばグラス洗いのスピードくらい。

自慢出来るほどの知識は持ち合わせていません。

が、しかし

なんだかやたらカチンときた私は


「分かるかもしれません。教えてください」


と申し出ました。

すると今度は上目遣いでジィッと私を見やり、

口元に笑みを浮かべながら一言・・・










「カシスウーロン、ていうカクテル。知ってるかな?」






















あまりの不意打ちカシスウーロンに返す言葉が見つからず

私が呆気に取られていると




「赤い色をしていて、綺麗なカクテルなんだけど、わからなかったかな?」






カシスウーロン・・・。

(※カクテルとは二種類以上の材料をミックスした飲料のことを言います。原則ストレート以外は全てカクテルの括りになります。オンザロックもカクテルです。)



・・・確かにカクテル、カクテル だ け ど も !




ちなみに私がお作りしたカクテルには

カシスリキュールも烏龍茶も入っていませんでした。

なんなら色は青系でした。





また、クリスマス直後のある時は


「内田さん、クリスマスはどこかいきましたか?」


珍しく私に話を振ってこられました。


「どこも混んでるので、家でお鍋してましたよー。

吉田さんはどこか行かれたんですか?」


逡巡したものの礼儀上訪ね返してみると・・・


「僕は舞浜にあるイクスピアリというところに行きましたよ。」






イ ク ス ピ ア リ !






クリスマスのイクスピアリといえば、もはやカップルの聖地。

クリスマスのイクスピアリといえば、もはやデートスポットの代名詞。





吉田くんに大して完っ全に

独り身であろうと思い込んでいた私は、

本当に無礼者だと自分を責めつつ


「イクスピアリですか!いいですね〜彼女さんも幸せ者ですね。」


とニコニコ話を合わせました。

すると吉田くんはキョトンとして

不思議そうに小首を傾げながら言いました。







「いや、僕は1人で行ったんですよ?

毎年クリスマスにはイクスピアリに行くんです。

僕が自分でそう決めたんです。

それで、花火を見て

ああ、今年もきれいだなぁ

って思うわけですよ。」









ツワモノ!

右を見ても左を見ても




カップル カップル カップル

カップル  吉田  カップル

カップル カップル カップル




という四面楚歌な状況で

ディズニーランドから打ち上げられる花火を1人見つめる!

きれいだなぁと思う!

しかも毎年!




マゾヒスト究めたり。




・・・と、書き出せば逸話はいくらでも出てくる訳ですが、

長くなってしまいましたので

この辺で打ち止めにします。





この後、吉田くんが来ていた日曜日が

お店の定休日になってしまい

吉田くんと会うことはなくなりました。




一風変わったお客様でしたが、

私自身二風も三風も変わっているので

実はすっごく話しやすくて

お会いできなくなってしまったことは

今更ながらに割と寂しいのです。




毎度毎度店に顔を出す度に

「内田さん、僕と会えなくて寂しかったですか?」

と聞いてくるあたりには虫唾が走り

「いえ、ほんと全然。」

と答えていたことも良い思い出です。

コメント(6)

カ シ ス ウ ー ロ ン !

衝 撃 的 ! !


照葉樹林は作ったことあるけどカシスウーロンはそういやないなぁと振り返ってみたり。

南浦和は近いのでちょっと観てみたいお客様ですね〜。
はっ、そっか! お返事できるんですね! ガッテンガッテン!

お二方初めましてありがとうございます! 救われましたありがとうございます!

うへへ。

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