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軟体動物化石コミュの質問・議論スレッド

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転載です.以後こちらにて.
一旦向こうからは削除します.

--
2006年01月18日
16:46
13: 職人
西村屋様はじめまして.
今後宜しくお願い致します.
SFは私も大好きです.
ご本人はSFとは違うと仰っていましたが,川端裕人さんの
「竜とわれらの時代」は非常に面白かったですね.
他には,マンガですが岡崎二郎さんの「国立博物館物語」も.

ご質問の件ですが,
骨格や殻の無い動物や軟組織は,コハクや氷漬け等の
特殊条件以外でも,条件が合えば保存される事はあります.
そういった化石の見つかる場所は
化石鉱脈(ラーゲルシュタッテン)と呼ばれたりもします.

その多くは印象やシルエットのみですね.
しかし,極まれに軟体部までその形態が残される場合があります.
これは,埋没後の急速な置換作用が働いた場合で,
細胞や胚が燐酸塩に置換され,化学的クリーニングによって
立体的な細胞や胚が取り出される例などがあります.

1999年に神奈川県立生命の星・地球博物館の特別展,
「のぞいてみよう!5億年前の海〜三葉虫が見た世界〜」
のパンフレットには,そのような例として
ドイツ・ブンデンバッハの黄鉄鉱に置換された化石の
軟X線写真が掲載されており,ヒトデや三葉虫のほかに
クラゲの化石まで掲載されています.

硬組織が化石になり,軟組織が化石に残らないというのも,
結局は程度の問題で,コハクや氷に急激に埋没したり,
埋没後の化学作用が強く働けば化石として保存され得ます.

陸上の動物もまた似たような話で,単に陸上は
死骸が分解されず,保存されるコンディションがほとんど無い,
ということが化石になることを困難にしているだけです.
例外的なものとしてはコハク,氷漬け,タールピットの化石群が
挙げられると思います.

化石というものは,基本的に例外的な存在で,自然界における
物質循環から偶然外れたものだけが化石になるわけです.
陸上では風化作用,生物作用が水中に比べ強力で,
さらに埋没よりも侵食が強い場所なので化石になることは
ほとんどありませんね.例外もあるかと思いますが,
ぱっと出てきません.

--

2006年01月18日
23:18
14: 西村屋
職人さん
丁寧な説明ありがとうございます。奇跡的にしか化石にならないということですね。とはいえクラゲの化石もあるとは。胸のつかえが取れました。
カンブリアの大爆発というのは骨格を持ち始めたことによって化石として残る生物がどんと増えたということであって、それ以前も軟体動物による多様で豊かな(大型)生物たちがいたかもしれないということですね。

--

2006年01月18日
23:37
15: 職人
西村屋様
そうなんです.
有名なところではオーストラリアのエディアカラ生物群が
そのようなカンブリア大爆発前の軟体生物群の好例として
挙げられるかと思います.

ただ,カンブリア紀以前の地球環境が化石の残るような
環境が少なかったために,原始的な多細胞生物化石が
見つかり難いと言う話もあります.
そういえばこの時代,約8〜6億年前と言えば
最近業界で流行りの「スノーボール・アース」の時代ですね.

--

2006年01月19日
22:54
16: 西村屋
>職人さん
質問ついでに
 大陸がまだ海上に(あまり)出ていない時代は、化石ができにくいですよね。大陸があってそれが侵食されて河川敷とか海とかに堆積するから埋没して化石になる。
 陸の侵食がない場合の海底での堆積というのは遅すぎて、埋没する前に死体が溶けちゃうと思うのですよ。大規模な湧昇流があってプランクトンが大増殖する海域でも。

 大陸というのは最初は伊豆・小笠原・マリアナ島弧のようなのが最初に誕生して、それが寄り集まって徐々に面積を拡大し、やがて海水がマントルに還流するようになって一挙に面積を増やし・・・というように理解しています。

 こんな質問をするのは、40億年前に生命が誕生してから、大型生物の誕生がカンブリアの大爆発まで30億年以上も待たなければいけない理由はなく、それ以前は骨格がなくて化石が残らず、しかも雪球地球で絶滅してしまったのでは。

 雪球地球は酸欠海洋で、とても大型生物が生息できたとは思えないのです。陸地面積が急に拡大したこと、雪球地球となり、それが溶けたことからなぜか骨格を持つ生物ができやすい環境になってカンブリアの大爆発になったと考えると、嫌気性の微生物から2〜3億年で大型生物が誕生したことになる。つまりは30億年まえから大型軟体動物が海洋を遊泳していたんじゃないかと。

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2006年01月20日
08:28
17: 職人
>西村屋さん
そうですね.ですが,酸欠でもやっていける場所,ありません?
熱水鉱床や冷湧水の化学合成群集.

不確かな生物起源物質の最古記録が約38億年前,
原核様生物記録が約35億年前,
最初の真核生物化石(グリパニア)が21億年前,
最初の多細胞藻類化石が約14億年前ですね.
この数字,出展良く覚えていませんが……

もともと記録に乏しい時代ですので
何時頃真核生物の大型生物が登場したのかはわかりません.

--

2006年01月20日
10:44
18: 西村屋
●嫌気性大型生物
熱水噴出孔のハオリムシやシロウリガイも化学合成を利用している一方で溶存酸素も呼吸しています。嫌気性環境に適応した大型生物はいないのではないか。黒海の海底に大型生物が棲息していれば面白いのですが。

エウロパに熱水性化学合成生物群はあって、溶存酸素が不十分でハオリムシはいそうにないのでは。

●陸地と化石
38〜35億年前の化石は熱水噴出孔からの硫化物等の沈殿で埋没したこともありうると思います。ストロマトライト化石は浅瀬ですから、20億年前までには海面から頭を出した陸地が存在したんでしょう。

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2006年01月21日
00:20
19: 職人
>西村屋さん
ハオリムシやシロウリガイは二次的に適応した連中ですからね.
うーん,溶存酸素については不勉強でした.

そうですね,諸説あるところですが,
古い超大陸として“ウルUr”が30〜27億年前,
“ロディニアRodinia”が14〜10億年前ですね.

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2006年01月22日
09:41
20: 西村屋
>職人さん
 私もずっとハオリムシとシロウリガイだけは酸素不要と思っていました。赤血球が硫化水素も酸素も運べる優れものらしいですね。エウロパに行っても大型生物には出会えないかと思うと、がっくり。
 全球凍結が本当にあったのか、地軸が大きく傾いていて赤道付近だけ凍結していたのか(それじゃいつ23度になったか)、これが非常に気になるし、まさにSFですね。

--

2006年01月23日
14:30
21: 職人
>西村屋さん

なんか二人で議論って感じになっちゃってますね(汗
や,ぜひとも,って感じなんですがw

ハオリムシやシロウリガイは共生細菌が酸素作ってくれてたと
思いこんでましたが……エネルギーの方ですよね(汗
ヘモグロビンを沢山持っているのは少ない酸素を効率的に使うため?

SFというか,思いっきりサイエンスですねw
証拠の見つかり難い分野を巧く扱うというのは
サイエンスフィクションに求めたい領域です.
例えば大型生物の初期進化とか.
ドーキンスが「遺伝子の川」(だったかな?)で述べた憶測たっぷりの生命誕生のストーリィなんかも好きです.

--

2006年01月23日
17:45
22: 西村屋
>職人さん
 こんなところでこんな会話ができるとは幸せですね。でも「自己紹介トピ」でこんなことしてると他の人が書き込みにくくなっちゃいますね。適宜、別トピにカット&ペーストしていただければ。

 ついでなんですが、微生物から大型生物に進化を促した環境というと、そこって大陸の分裂後あるいは衝突前の海峡・浅瀬なんですかね。有機物とかリン酸塩とかが濃縮するとすると。

 最初の生命誕生も、有機物自体はいろんなことで合成されそうですが、それが濃縮して、かつ、重合する場所って、40億年前でどこが考えられるのか、陸地はなかったはずなのに、それが不思議で。

コメント(31)

お言葉に甘えて転載したところで議論の続きをば(汗

基本的に大きな進化の起こる場所や,
新しいタイプの生物の出現する場所と言えば,
一日の環境変動の大きな,エネルギーレベルの高い,
その上で栄養も豊富な環境ですね.
特に氾濫原,浅瀬,河口のような水と陸の境界.
逆に安定して栄養の乏しい環境にはほとんど進化は
進行しないように思います.
深海にも多様な生物がいる事が近年明らかになっていますが,
深海に適応したものが移入する,という形式に見えます.

40億年前に陸地がなかったかといえば,
まったくゼロではなかったと思います.
イスアの片麻岩,源岩は砂岩だったと記憶しています.
砕屑物の堆積岩があるということ,それは風化を受けた場所,
すなわち陸地の存在の証明に他なりません.

私は未読ですが,最近脚光を集めつつある“地下生物圏”も
初期進化における重要なポイントかもしれません.

参考(になりそうな)サイト
http://www.ne.jp/asahi/mc/minatomachi/deep-biosphere.htm
http://www.gsj.go.jp/~marumo/fs/index2.html

参考(になりそうな)文献
未知なる地底高熱生物圏
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4272440284/249-2555460-2539530
生命誕生に陸地が必要だったか、干潟濃縮説が解答だとすると、陸地のないエウロパではいくら熱水活動域が海底に存在しようと、生命は誕生していないことになります。これはSF的には大変困るわけです。

熱水活動域より下の地殻内でそんな濃縮域が存在し得るだろうか?
たとえ濃縮したとしても単なる熱水だと加水分解するだけ。

SF的に推理すると、沈み込み帯の方が濃縮しやすそうな気がする。それから超臨界水域と熱水域と適度な暖水域との境界、それが潮汐効果によって地殻内で移動を繰り返すと濃縮なんてのもありうるのでは。

つまり陸地の存在に頼らず、マントル対流と潮汐力さえあれば生命が誕生するなら、例えば巨大ガス惑星の氷衛星なんかは生命が誕生することになる。

地殻内微生物の研究ではよく拡大軸が掘削対象となってようだけど、完全独立栄養微生物圏を見つけるには好都合かもしれないけど、最初の生命は従属栄養であるはずだから、沈み込み帯でH2とCO2とメタンが豊富な場所だと思うんですが、なんだか賛同してくれる研究者がいません。
>西村屋さん

そうすると,冷湧水帯が思いっきりピンポイントの環境になるのでしょうか?
問題は,そのような冷湧水帯が無機的に生成されるかどうか,ですね.

>キッカンさん
自己紹介のスレへのレスを.

北米東岸……五大湖などのある地域ですか?
何らかの種分岐を誘引する環境変動でもあったのでしょうか…….

琵琶湖ほど広ければ,その中の環境の幅も大きそうですからね.

生物地理は結構興味深いものがあります.
友人の卒論で知りましたが淡水魚,オイカワの仲間は東アジア固有だとか.
また,キセルガイ,マイマイなど陸貝の類は一つの川,一つの尾根で種類や遺伝子頻度が変化するとか.生息域の分断による種分化の材料として注目されています.
オーストラリアには,有袋類だけではなく,白亜紀までは世界中に分布していた三角貝(トリゴニア)という,イシガイ目に近縁な海生二枚貝のグループが現在まで生き延びているという事例もあります.

あ,五大湖,昔は大きな一つの湖だったはずですよね.
それが複数の湖に別れた事で種分化が引き起こされた……?
>西村屋さん
引き続きまして……

研究者の人だと,あまり不確かな事は口にしないかも,です(汗

生命誕生については多くを仮説でカバーし無ければ物語を紡げない問題ですので,むしろ外国の研究者の方が面白い事を言っているかもしれません.
>キッカンさん
>北米東岸
氷河期の氷床とその融解が思い浮かびますが……
生物地理の場合,地誌と近縁種の分布域,分子時計によって生物の種分化の時期を調べるればある程度の目星はつきそうな気がします.

実は私,留年確定でして(汗
忙しさは同回の皆さんほどではないので一応余裕はあります…….
現在の研究は白亜紀後期,コニアシアンという時代の
浅海二枚貝の群集古生態……どのような種がどのような環境にすんでいたのか,という研究を,福島県の双葉層群で行っています.
貝そのものよりも,むしろ地層と化石の産出の様態を観察することがメインですね.
キッカンさんの研究,非常に興味があります.
現生種の場合,絶滅の原因はやはり環境の変化よりも人為作用が中心になるのでしょうか?

学芸員は……やはりなかなか……
>職人さん
「研究者の人だと,あまり不確かな事は口にしないかも」
まさにそのとおりです。こんなにいろいろ話せたのはめったにありません。
企画で予算や長期計画をやっていた時は研究者も一生懸命話してくれたんですが、今考えると、「そんなことしても見込みありませんよ」という話はあまり聞けなかったと気付くことがあります。当然ですね(笑)。

活断層を通って来る冷湧水ではどうやら何も出ていそうにないです。プレート沈み込みと一緒に地殻内に侵入する海水がマントルウェッジと反応して、そのうち比較的低温の領域が蛇紋岩化しているあたりを掘削するのが狙い目かと思うのですが。

軟体動物とはすっかり関係なくなってしまいましたね(汗)。
>西村屋さん
とはいえ,徐々に日本の研究者も変わりつつあるようで…….
つい今しがた読了した本には結構科学者自身の手での
将来予測なんかも書かれていて興味深かったです.

平朝彦・徐垣・末廣潔・木下肇
「地球の内部で何が起こっているのか?」(光文社新書)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033148/

「ちきゅう」とIODPのことが書かれた昨年夏に出た本です.
ご存知でしたらすみません.

>キッカンさん
どうもありがとうございます.

えっと,文献としては淡水魚を扱った本お役に立つかもしれません.
多紀保彦「魚が語る地球の歴史」(技報堂出版)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4765502244/

化石から判ることはその保存状態がかなり響きますが,
殻の形態,産出状態,産出する地層の形成された環境や原因から,
貝の生息環境,生息姿勢や食性などの“生活型”,
更にはローカルな当時の環境とその変遷などが一般的な調査項目ですね.

そういえばYaadiaという三角貝目の二枚貝も良く殻頂の侵食がありますがこちらは浅海種ですね.ひょっとすると何か白亜紀後期の浅海環境の特色を反映している?

温暖な環境ではK戦略寄りになるというのは面白いですね.
現在の海では別種が住み分けるような多岐にわたる環境を一種の淡水貝種がカバーしているということでしょうか.

生理的には厳しい環境に逃げこんだ種が生残するというのは
海生種の深海側への逃避という一般的な進化パタンと似ているようにも思います.

ふと思ったのですが,高緯度の種よりも低緯度の種の方が生涯での産卵数は多いということは無いのでしょうか?
生理活性が高いのでしたらそういったこともありえるのでないか,と.

修論の方はようやく基盤知識が追いつきつつあるので,さらに一歩踏み込んだ研究を,と考えています.
近い環境にありながら溶解度が違う種があるというのは……
殻頂の溶解については殻の構造が関わっているかもしれませんね.

イシガイ類の外殻はアラレ石の稜柱状構造ですよね.
シジミはちょっと資料ありませんが.
アサリではなくハマグリだと(恐らく同じだと思いますが),
おなじアラレ石でも交差板構造になっているようです.

ヤーディアの溶解の割合から生息環境の塩分を産出できたら面白いですね.
ちょっとこれは先生に相談してみます.

以前研究室で話題になったことでは,汽水の貝類は純海生の貝類よりも種内の形態や生態の変異幅が広いと聞きました.
イシガイの場合でも,遺伝子を見ると,高緯度個体群も低緯度個体群もそんなに大きな差異はないのではないでしょうか?
……というか,季節型があるということはそういうことですよね.
「地球の内部で何が起こっているのか?」(光文社新書)

JAMSTECの受付でも売っていますが、どこか4人の著者の部屋に行けば貰えそうで、なかなか買う決心が付きません(汗)。
あ,いいですね>貰えそう

こうなったら2冊!(笑)
やむを得ず買いました(汗)。850円が750円でした。読後にまた。
ちょっと私のほうもバタバタしてまして……すみません。

殻の開口は貝にとっては死活問題でしょうね。
窒息死、非常にありえそうな話です。

種構成と環境を殻構造レベルで見るには現生種では
ノイズが多すぎるので、むしろ化石で多様な環境、
多くの事例で調査した方が良いかもしれませんね。

種概念まで関わってくると厄介ですねぇ。
結構ウルサイ人の多いところですし(汗
化石では殻しかないので結構その辺はルーズなところですが……。

現在の海生種は一つの地域に一属一種ですが、
地質時代、特に大きな変動のあった後の時期の地層には
同じ層準から同じ属の種が複数産出する事例が
 ex)Pterotrigonia属(白亜紀前期)
   Tetoria属(同上)
など、多く見られます。
環境の安定した時期が短く、広いニッチが開いていた
為ではないかという話を聞きました。
こういった例は適応放散のメカニズムを知るには良い材料になる
ように思います。
現世でも、汽水・淡水域の貝類なら見れるかもしれない、
と思った次第です。
「地球の内部で何が起こっているのか?」(光文社新書)
を読みましたが・・・・
これを買うぐらいなら、私が藤崎慎吾さん、松浦晋也さんと書く本(6月中に出版予定)を請うご期待(汗)。

長らく中断していましたが、私が軟体動物化石コミュを見つけて飛びついた理由というのが、7億年前の全球凍結とその後のカンブリア紀の大爆発の間がわずか1億年ぐらいしかないという点です。

全球凍結中は熱水噴出孔周りで生命が存続したと言われますが、嫌気性環境では大型生物の生存は無理だと思います。嫌気性微生物までリセットされた状態から1億年でカンブリアの大爆発というのは無理ではないか、というのが私の疑問です。

だから実はその時全球凍結していたのではなく、赤道だけに氷床が発達していたのではないか? 地軸が大きく傾いていれば、そのような状態がありうるという。地球に火星サイズの惑星が衝突して月ができる際のシミュレーションを行うと、地軸が23度ではなく大きく傾いてしまう確率の方がずっと高いという。

そういう地球で赤道凍結時も大型軟体動物が謳歌していて、その後、海中のリン酸塩濃度が増える何かが起きてカンブリア紀の大爆発に繋がったのではないか。

その場合、大きく傾いていた地軸はどうなったんだという点では、ペルム紀末期に小天体が衝突して今の23度になったのはではないか、そういう推理、というよりSFストーリーです。

もちろん、リン酸塩濃度の増大に全球凍結が不可欠というようなこととか、あるいは全球凍結でも大型生物が生き延びれる酸素のある場所が海氷下にあればいいのですが。全球凍結時もけっこう太陽光が海氷を透過して光合成に依存したアイスアルジーが発達していた可能性はあると思います。

そこで、質問。7億年前を境にして軟体動物の化石に大きな断絶はあったかなかったか?
本のご出版をなされるのですか?
6月になったら探して買います!

軟体動物進化の7億年前の断絶に関しては……ありません.
そもそも記録がないこと,本格的な適応放散はカンブリア紀初期に見られ,共通祖先と目されている単板綱の化石もまた,カンブリア紀初期から見られます.

逆に記録がありませんから,部分凍結の中で繁栄していたという説の否定材料にもなりません.
“化石が残るはずの堆積相で見られないことを証明”というのは結構困難ですし.

多細胞の真核生物から軟体動物の基本的デザインが形成されるのに“僅か”1億年……長いと見るか短いと見るか.
私は十分に長いと思います.今から一億年前といえば白亜紀の前期ですし.

近年HOX遺伝子とカンブリア大爆発の関連が取り沙汰されていますが,
例)「形づくりと進化の不思議」羊土社
急激な進化自体は歴史上何度も起きていることが化石記録から確認されつつあります.
現在の地球上で見られる進化とはまったく違う様相の進化が起きていたことは,環境がまったく違うことから疑うべくもありません.

全球凍結に対する猜疑は,判断する材料(フィールド)が日本にないことから,保留しています.
>一度でいいからまったく人の手の入っていない、
>本来の生きざまがみたいなと思っています。

あ,そういったお悩みもあるんですね,現生だと.
特に淡水域は攪乱激しいでしょうし…….
最近,化石を扱うメリットの一つに,未知の生物を知ることだけでなく,現生種に近い生物についても,観察し難い場所(深海など)に行くことなく調査できる点があることに気付きましたが,そういったメリットもあるのですね.


>現在の海生種は一つの地域に一属一種

これは,実は聞きかじりなんですが……
同一環境に同属の2種が混在しない,とお考えください.

ただ,化石の事例も食性や微地形などで棲み分けしていたことが十分考えられますし,実際そのような研究例もありますが.
現生の純海生種で幼生が海流に乗るタイプ,アサリなどでは同属同士の分布域の重複は無かったと記憶しています.
個体群同士の隔離が弱いからですよね,大した問題ではないのかもしれません.


発表,遠方より応援致しております.

追伸:
生物地理の話については最近良い本が出ていました.
京都大学総合博物館・編
「日本の動物はいつどこからきたのか」(岩波書店)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000074490/
哺乳類から昆虫,陸生貝まで,多岐にわたる分類群について,
多くの専門分野の研究者が個別に記述しています.
淡水の貝については実は良く知りません…….
海の場合は基本的に,水温や水深などの他,
独立したパラメータとしては
底質の粒度,侵食と堆積の割合などもあるようですが.
最近は古環境自体の指標として大型生物を使うことはほとんどなくなってきています.
使うとすれば有孔虫などの微化石,同位体などですね.
あるいは堆積構造など地層からの情報を使いますね.
特に古水温は安定炭素同位対比を使うのが現在のオーソドックスな手法です.
水深についても,瑞浪の中新統では二枚貝から推定した研究がありますが,最近は用いられません.水深を数値で出すことはあまり聞きません.大雑把な環境(下部外浜,外側陸棚など)で扱うことがほとんどで,こちらは堆積構造やそのセットで認定します.
底質,侵食と堆積については仰る通りです.

信濃川水系のお話は面白そうですね.
ただ,河川の流路だけを根拠に仮説を立てるのはちょっと早い気がします.せめて侵食の程度が上流と下流でどの程度違うのか,古い流路が存在するかどうか,信濃川河口沖の海底掘削記録のデータ,くらいは欲しいかなぁ,と.
根拠としての化石,特に大型化石記録は補強のデータにしかならないと思いますね.河川の化石は海の化石に比べて更に残り難いものですし.そもそも化石が出来るということ自体が稀な現象なので.

んー,やっぱむずかしそうですが,見こみさえあればやってみる価値はありそうですねぇ.
>長い間存続しており、広範に分布していた(している)
>小型の生物を用いて、生息密度や成長の変化を調べらたら面白
>そうですね。こういう特長を持った化石には、有孔虫や
>放散虫が含まれるのでしょうか?

有孔虫や放散虫の場合,あまり化石から生態的な考察をする研究ま見ませんね.密度となると堆積過程(堆積物供給量と遺骸供給量の比率)が関わりますし,成長の変化は……先日の京都古生物学会で有孔虫の成長変化の研究はありましたが…….
目的の違いでしょうか?

化石の入門書ですか,文字通りの“古生物学入門”というタイトルの本があります.
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254162367/
ハードカバーでちょっとお高い本ですが.

分野広いこともあり,中々1冊で満足できるような入門書は寡聞にして存じません…….
二枚貝の化石ですと,化学的な環境の関係で貝殻が完全に溶解してしまう場合もありますし,嵐で集積したものか,生き埋めになったものか,などの化石化の過程で個体群密度についての情報は失われてしまう事がほとんどです.
Margaritifera属というと,カワシンジュガイですね.
化石は結構出ていたと記憶しています.
属自体は“Treatise on Invertebrate Paleontology”のPart.N(1of3)の414ページにありますが,白亜紀後期から続く属であるそうです.転じて日本の記録を見ると,少なくとも田代正之先生の「化石図鑑」には載っておらず,新生代以降の記録しか無いようです.
一方,地質標本データベース(http://www.aist.go.jp/RIODB/dform/FossilType/)で検索をかけると,北海道から3種が記載されているようです.長野からも現生種の報告があるようです.

形態に絞って検討する場合,それぞれの種が果たして同じような環境に適応したものかという疑念もありますが,系統関係などが判明すると面白そうです.そういえば前掲書での分布域はヨーロッパ,北米,アジアとなっており,これを見る限りベーリング経由にも見えます.
古生物学の概論について追記です.
朝倉書店の「古生物の科学」のシリーズは,やや分野に特化した内容ですが,カバーしている範囲が広く,図書館でのご一読をお薦めいたします.
1.古生物の総説・分類
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254166419/
2.古生物の形態と解析
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254166427/
3.古生物の生活史
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254166435/
4.古生物の進化
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254166443/
5.地球環境と生命史
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4254166451/

トピックごとに別れているのでご興味のあられる分野からどうぞ.
1冊一万円以上します(汗
あ,やっぱりベーリング経由でしたか.
文献のご紹介ありがとうございます.

Margaritinopsis亜属については東南アジア・現生のみというのが前掲書(Treatise)での記述でした.北海道の化石種がどちらに属するかを考察するのも面白そうですね.
もし,これが両亜属の中間型であれば非常に面白いですし,違うとなればMargaritinopsis亜属はごく新しい時代に東南アジアで分化したということになると思います.
氷期-間氷期のサイクルの間くらいの短い時間で分化するというのはちょっと納得しにくい気もいたしますが…….

※Treatiseの方では亜属扱いだったので記述はそれに準拠しております

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