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映画「BEYOND SIGHT」コミュの1 雲南省に入る 〜 「空飛ぶ眼科病院」との旅

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「空飛ぶ眼科病院」との旅 
 〜 雲南省に入る 〜 その2
2004年10月。私はニューヨークのアパートで荷造りをしていた。撮影許可が出るのに半年以上かけて「空飛ぶ眼科病院」を所有するNGOと交渉し、やっとオッケーが出た先は、中国雲南省。私は首都昆明で上海から飛んでくる「空飛ぶ眼科病院」を迎えるため先乗りする事になった。一人でしかも初めての中国。機材を山ほどもって期待と不安に胸を躍らせて出発した。ニューヨークから成田経由で、乗り継ぎもあわせて約25時間後に香港へたどり着いた時、既に現地の夜11時半を回っていた。時差ぼけと長旅でヘロヘロだった私は、そこで近場のホテルがびっくりする程高いのを知って、仰天し、ケチってそのまま香港国際空港で夜を明かす事にした。次のフライトは、11時間後。大きな荷物を持って1時間車に乗って中心街の安ホテルに行くよりは、自分の体力をはるかにセーブできるし、見た感じ香港空港はニューヨークに比べると安全そのものだった。幸いロビーはとても奇麗で居心地の良いカウチと、温かい食べ物にもありつけたし、テレビもずっと放送されていたので、そんなに不服はなかった。長時間座っていると、周りには私と同じ考えを持った外国人がワンサカいて、さながら電気がコウコウとついた広いリビングと言った感じでちょっと面白かった。一概には言えないが、私はその国の様子はその国の玄関にあたる空港に現れると思う。私が思うに、これまでに行った先進国の国際空港でダントツ・ワースト・ワンはニューヨークのJFKだ。今ちょうど建設中といえども、もう随分長いこと改修工事をしていて一向に良くならない。こういうさびれた感じが逆にニューヨークっぽくて良いのかもしれないが、到着ロビーなんか、到底外国人を温かくお迎えするような感じはしない。長年ニューヨークに慣れた私でも到着してホッとするというより、気が引き締まるぐらいの空港で、むしろ今のアメリカしかり、外国人を拒んででもいるようだ。とにかくー、香港の空港は、私を温かく向かえてくれた。

次の日、疲れて果ててはいたものの、昆明の空港で私は、かわいい中国人の大学生が二人、笑顔で私の名前入りのプラカードを持っているのを見てホッとした。この二人は雲南大学の外国語学部英語学科の4年生で、NGOが私の為に派遣してくれたクラスでもトップの二人だった。これまで二人とも中国を一度も出た事がなかったが、彼女らの英語力は日本人が2〜3年アメリカに留学した後ぐらいの語彙と表現力を持っていたので、とても驚いた。しかもさすが6声をほこる北京語。その発音はとても美しかった。私にとっては初めての生粋の中国人で、彼女らにとっても私は初めて接する(怪しい)日本人だった。

「空飛ぶ眼科病院」が到着する空港は雲南省の省都にある昆明空港。雲南省は多くの美しい自然や歴史的建造物、そして全省一多い、25種類の少数民族が息づく場所として、中国でも有数の観光地だ。特に最近ではチャン・イー・モウ監督の映画「単騎千里を走る」で舞台になった麗江も雲南省にあり、映画公開以来、益々観光地化が進んでいるように思う。街を歩いてみると、中国が勢いづいているのが見てとれるし、多くの外国人に来てもらおうとする姿勢も感じる。例えば最近の中国の建設ブームである。北京オリンピックのせいもあり、昆明でも街は変わりつつある。私は過去1年半の間に3回昆明を訪れて、訪れる度に街がどんどん美しく様変わりしていく様子に毎度驚いた。道路は整備され、新しいビルが建ち並び、デパートや商店街は人々であふれていた。以前は排気ガスなどで空気が汚染され、ノドをすぐやられていたが、それも気のせいか減ったように思えた。昆明には、香港で乗り換えると2時間半のフライトで到着。関空からだら直行便もあるらしい。しかも日本からだと時差も1時間なのでとても身近に感じる。ここで雲南省の基礎知識を言うと、中国の南に位置し、貴州省、四川省、そして隣国のミャンマー、ラオス、ベトナムに囲まれている。気候は年中温暖で1年中春っぽく過ごしやすいため、「春城」とも呼ばれる。また、海抜が低い所と高い所の差が激しく、昆明で海抜1891メートルの高地に位置するため、湿気がなくカラッとしていて、こころなしか日差しが強く感じる。

空港では地元の病院で働くおよそ30人ほどの白衣の天使達が滑走路脇に規律正しくずらりと並んで、花束と垂幕を持ち、「空飛ぶ眼科病院」の着陸を今か今かと待っていた。楽団こそなかったものの、そこには地元のメディアも駆けつけ、小雨が降り始めていたにも関わらず華々しい到着の準備が整っていた。私たちは辛抱強く待っていたが、民間機のようにちゃんとしたスケージュールがないため、飛行スケジュールの情報が錯綜して、誰も正確な到着時刻を知らないまま、多分このぐらいの時間に到着するはずという、なんともいい加減な設定のもと、他の地元メディアと一緒に空港にたたずんだ。途中私はそわそわと、待ちわびる人々を撮影しながら待った。突然、一人が「あっ」と左手上空を指差した。振り向くと、DC−10と呼ばれるジャンボジェットの機体が厚く折り重なったかなり低い雲の隙間からスポンと現れた。と思ったら、あっと言う間にタッチダウンしてしまった。え〜っ!予想外の展開に突然周りの人々もアタフタと走りまわり、私は空港職員に注意されながらも滑走路の中をかけずり回り「空飛ぶ眼科病院」の到着を追っかけた。う〜ん間近でみると大きい。確かに大きい。大きさからいうと、成田ムNY間を飛ぶボーイング777機ぐらいだろうか。まだ飛行機が動いている最中の滑走路に、こうしてわずか10メートルも離れていない場所から撮影していると、再び「こんな大きな鉄のかたまりが飛ぶなんて」という妄想が飛び込んでくる。何を隠そう、私は飛行機があまり得意ではない。というか、苦手だ。できることなら乗りたくない代物だ。しかしこれをドキュメントすると決めたからには、これから数えきれないほど飛行機に乗らなければならない、覚悟をきめなければと自分に言い聞かせながら、雨で美しく光る真っ白な機体を撮影し続けた。

・・・つづく



コメント(2)

発見!早速参加〜!
完成したものを見る専門の私からは想像も及ばないような、色んな気持ちで造ってるんだね。
そんなジャム子さんのこれまでの気持ちを考えると胸が痛い。

応援してます!
いたさ〜ん。参加してくれてありがとう。
これを励みに続けて書けるようにがんばるで〜。

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