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Web Based Listeningコミュの日本人のおもてなし

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ある晩、筆者は滞在していたパーク・ハイアット東京の最上階にあるニューヨーク・バーに寝る前の一杯を飲みに行った。ラストオーダーの時間がとっくに過ぎた閉店間際だったにもかかわらず、そこのスタッフは筆者を受け入れてくれた。その日が筆者の誕生日だったからである。彼らはどうしてそれを知っていたのか。その日、筆者の部屋には母親が手配したケーキが届いていた。この情報がホテルのスタッフ全員に共有されていたようだ。たっぷりと注がれたシングルモルトウィスキー「山崎」を手に、東京のスカイラインに点滅する赤いライトを眺めながら、これがロンドンやパリの同クラスのホテルだったらどうなっていただろうかと考えてみた。筆者は丁重な言葉できっぱりと入店を断られていたに違いない。ロビーか自分の部屋で飲むグラスシャンパンぐらいはもらえたかもしれない。だが、14ドルにしかならない最後の一杯のためにホテルの看板バーの閉店時間を遅らせてくれることはあり得ない。


 ホワイト氏によると、筆者がパーク・ハイアット東京で経験したことは「思いやり」の一例だという。「それは他人に対する積極的な気配りを意味する」と彼女は教えてくれた。「他の人々のニーズや要望を予期することだが、大まかなものではなく細かに調整されている」。思いやりは子供たちに教えられ、学校でも褒め称えられるとホワイト氏は説明する。あのバーのスタッフが筆者のために閉店を遅らせてくれたのは、筆者が映画『ロスト・イン・トランスレーション』のワンシーンを演じたがっているということに気付いたからなのだろう。


 こうした思いやりは国民性だけで説明できるものではない。プリンストン大学で東アジアについて研究しているエイミー・ボロボイ氏は「サービスがすごく良いのには、本当の制度的な理由がある」と指摘する。「社会学者たちはそれをステイクホルダー資本主義と株主資本主義の対決と呼ぶ」という。「米国にあるのは株主資本主義で、株主は短期的な利益を企業に求める。一方、日本やドイツにはあるのは、ステイクホルダー資本主義で、企業はより高度な訓練を受け、忠誠心が高く、知識が豊富な社員に投資することができる」。


 忠誠心と知識が旺盛な従業員は最も質素な場所でさえ見つけることができる。東京を拠点に活躍する書籍編集者、菅付雅信氏は「マクドナルドのサービスが世界で最もいいのは日本だ」と話す。「スターバックスも同様だ。仕事中にため息を吐くスタッフはいないし、従業員同士の長々としたおしゃべりもない」。


 筆者は1日85セントで自転車を貸し出している地方自治体でもおもてなしを発見した。階段を下りて歩道の下に位置する窓のない倉庫のような場所に行くと、年配の男性があいさつした。その男性は筆者を歓迎し、契約書に入念に目を通し、歩道に出て自転車を引き渡す前に、自らタイヤ、ギア、ブレーキ、ハンドル、サドルのチェックをした。その係員は媚びへつらうわけでも、外国人に貸し出すことを特に心配するわけでもなかった。心から誠意を込めたお辞儀をし、筆者を温かい言葉で送り出す彼は本物のプロフェッショナルだった。

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