人が一生で「名」を残す回数コミュのアーサー・ローズ投手が登板する度にマウンドの土にJR

ローズはメジャー19年目の今季、69試合にリリーフ登板。シーズン前半でメジャー1位タイの33試合連続無失点を記録するなど、4勝4敗、防御率2.29と安定したピッチングを披露し、レッズのナ・リーグ中地区優勝に大きく貢献した。

ローズ自身、一時は引退を考えたことがあるだけに感激はひとしおだったが、引退を思いとどまった理由は2008年12月に５歳になる息子ジョーダン君を亡くしたことだったという。夭折してしまったジョーダン君の願いをかなえるために、その後も投球を続けてきたのである。

ローズは、ジョーダン君の死について、ずっとメディアには語らずに来た。すべてを自分の胸の内に納めてきたのであるが、初めて息子の死について語ったのは、6月29日、連続無失点記録が33試合で途絶えた際のインタビューで、記者から質問されたことがきっかけだった。「登板する度にマウンドの土にJRと書いているが、あれは何の意味か？」と聞かれ、「亡くなった息子のイニシャル」と答えたのである。

オールスター戦はMLB選手にとって最大のお祭り。子供にユニフォームを着せてダグアウトに連れてくる選手も珍しくないが、ローズにとって、ジョーダン君をオールスター戦のダグアウトに連れてくることはできない。

しかし、「いつもマウンドに立つ度に息子は投球プレートの後ろから見守ってくれる」と信じるローズとすれば、他の選手が連れて行くことができない場所にジョーダン君を連れて行くことができるのである。