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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『ひみつのアッコちゃん』 [2012年9月1日公開]

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●Introduction
 「テクマクマヤコン〜」「ラミパスラミパス〜」の呪文(じゅもん)でおなじみ、赤塚不二夫の国民的人気コミック「ひみつのアッコちゃん」を実写映画化。魔法のコンパクトで小学生から22歳の大学生に変身してしまったアッコちゃんが、ひとめぼれした青年が勤める化粧品会社を立て直すため奮闘する。アッコちゃんに綾瀬はるか、彼女の初恋の相手には『プリンセス トヨトミ』で共演している岡田将生。フィギュアスケーター、客室乗務員、バイクレーサーなど次々に変身する綾瀬の七変化に心躍る。

 鏡の精(香川照之)から魔法のコンパクトをもらい、10歳の小学生から22歳の大学生に変身をとげた加賀美あつ子(綾瀬はるか)。 大好きなメイクやおしゃれを楽しみ浮かれる中、遊園地で出会った化粧品会社に勤める早瀬尚人(岡田将生)にひとめぼれする。その翌日、再会を機に、アイデアを次々と披露するあつ子を気に入った尚人は、自分の会社に彼女をアルバイトとして招き入れることを決める。個性的なメンバーの中で、失敗しつつも楽しみながら毎日を過ごしていたあつ子だったが……。
[2012年9月1日公開]

コメント(2)

 ギャグ漫画が原作だといって、それだけで見ないと決め込んでいる映画ファンも多いことでしょう。実は小地蔵もそのひとりでした。
 ところが、テクマクマヤコン〜♪テクマクマヤコン〜♪アカデミー受賞作品にな〜れ!と劇中の魔法の鏡に魔法をかけられた気持ちになってしまいました。それくらい大手化粧品会社を舞台にした企業ドラマとして大人が感動してしまう作品に仕上がっていたのです。それと劇中の10歳と大人のアッコちゃんが、見た目はもちろんのこと、中身もピッタリとマッチングしていていて、子役の吉田里琴と綾瀬はるかが同一人物に見えたのには驚かされました。他にも大杉漣の中村元社長や谷原章介の熱海専務、果ては総理夫人やペットのネコちゃんにまで変身するのですが、全てキャラが統一されているのですね。特に大杉漣がアッコちゃんに成りきってしまうところは、可笑しかったです。
 大人が子供を演じようと思うと、どうしても“作った”感じになりがち。川村監督はどうしたかというと、撮影の最初の1週間は子役の里琴ちゃんに現場に来てもらい、綾瀬はるかの出演シーンを本人の前で演じてもらったそううんです。
 子供って、動きに無駄が多くて、軽やかタッチなものですよね。どうでもいいところでジャンプしたり。そういう子供ならではの動きを、綾瀬はるかに見せて、消化しながら演じてもらったそうなんです。

 そんな監督が漫画の実写化で一番大切にしているのが、「キャラクターを壊さないこと」だというのです。確かに原作の1960年代の少女まんがのタッチを大切に、明るいホンワカした色彩と夢みるようなかたりくちで、見る者の童心をよびさまそうとします。コミカルでスピーディな赤塚漫画のテンポも上手く再現していました。
 そういう点で原作ファンにも大人の映画ファンにも満足する傑作。ラストには思わずホロリとさせられるところもあって、川村監督が仕掛けた映像の魔法にたっぷり酔うことができました。

 さて、主人公のアッコは小学六年生。ママにもらった大切なコンパクトをわってしまい、悲しんでいると、鏡の精があらわれて、魔法のコンパクトをくれる。ごぞんじの呪文をとなえれば、なりたいものになれる鏡でした。
 大人に憧れるアッコが好きなことはお化粧でした。大人になったアッコが目指したのがデパートの化粧品サロン。アッコの素朴で熱心な製品へのコメントに感激した大手化粧品メーカーの商品開発担当早瀬にスカウトされて、製品モニターとして本社にバイトとして勤務することに。このブランドはアッコのおかあさんも愛用していて、アッコが特に好きだった製品だったのです。その名はなんと「AKATSUKA」!
 しかし、老舗にあぐらをかいたためかAKATSUKAは、経営が悪化し、内部にものっとりの策謀が渦まいていたのです。そうしたなかで、唯一のヒット商品を手かげたこともある早瀬は、起死回生となる画期的新商品をアッコのアドバイスから思いつくも、経営陣に財務上開発費が出せないという通告に、希望をなくしていたのでした。
 そんな早瀬をビンタしたアッコは、お母さんから聞かされてきたAKATSUKAというブランドが、いかに品質のいいものを提供したきたのか、それを守って欲しいと請い願うのです。奮起した早瀬は、アッコとともに株主総会へ向けて、外資の乗っ取りに協力する経営陣の刷新を目指し安定株主の多数派工作を始めます。この辺の伏線は、「釣りバカ」よりもリアルな企業ドラマになっていました。
 資本のことをシフォンケーキと間違えるくらい、株式会社の仕組みに無知だったアッコだったけれど、紛糾する株主総会にいたたまれなくなり、思わず壇上に上がって、『人が発言しているときは途中で切らないで、最後まで聞いてから自分の意見を言いましょう』と大人たちを叱り飛ばします。
 この台詞を川村監督に言わせれば「大人が子供に教わることはたくさんあるんですよ。」ということ。「大人になると忘れて、『自分が、自分が』になっていたり…。大人がこの映画を見た時に、もう一度大切なことを思い出していただけると、うれしいですね」ということを伝えたかったそうです。
 それを受けて、早瀬が女性にとっての化粧品というものの意味への深い理解と愛着に満ちた発言をします。男の彼がなんでそこまで化粧品にとらわれたのか、ちゃんと理由があったのです。
 早瀬やアッコが語る、化粧品会社のあるべき姿とは、倒産寸前に追い詰められている電機メーカーにも言えることではないかと思いました。財務に終われるばかりに、原点となっている顧客のニーズを忘れて、部門の切り売りや外資との合弁で活路を見いだそうとする。それで生きながらえても、企業が培ってきた技術や顧客マインドを放出してしまっては、企業の存続自体の目的がなくなってしまいます。
 苦境に至っても、もういちど創業時の原点に返り、顧客の求める製品作りを諦めないで欲しいものです。企業とは誰のためにあるのか、割とストレートに呼びかける作品でもありました。

 このあとのことは、終盤のネタバレに関わるので、要点だけご紹介します。アッコと早瀬はやがてお互いを意識しあう関係に。でも残された冬休みの時間は僅か。アッコはこのま大人のまま残るか、子供に戻るか思い悩みます。
 その中で、発覚した工場爆破の企み。察知したアッコは、工場を守るため、早瀬やみんなの前で、「秘密」を暴露しなくては乗り越えられない事態に。
 そして魔法を失ってしまったアッコに唯一与えられた最後の一回のチャンス。最後のファイナルアンサーとしてアッコが選んだ本当になりたかったものは?
 君はもう立派な大人だよとアッコに語る鏡の精。最後のシーンは、きっと感動されることでしょう。
 そして、10年後にAKATSUKAの就職面接会場で、早瀬が加賀美あつ子と再会するシーンもよかったです。
 10歳の内面を完璧に演じきった綾瀬はるかは、まさに適役!それを引き立てのは天才開発者の早瀬を演じた岡田将生もよかったです。寝ても覚めても製品開発のことばかり考えている開発オタクぶりと、開発費の枯渇でお飾りにされてしまった失望感による一歩引いた芝居で、楽天的なアッコをより輝かせたのです。同じ失意の頼朝役とは、大違いですね。

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