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くらげ型の幻覚コミュの当たり前のこと

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手首を切ったら血があふれた。当たり前のことだ。

痛かった。どんどん赤があふれてくる。

強く切りすぎたな‥ なんてぼんやり考えているとぼくの右手は勝手に止血作業に入る。

何枚も何枚もティッシュを使って、その赤いのを食い止めていく。



はやりのアニメを観たときのことだ。

死にたい、と思ったのだ。理由は明確でないので誰にも言わない。

そして同様に、はやりの小説を読んだときのことだ。

死にたい、とやはり思ったのだ。

ぼくにはなんとなく判るその理由が、他人に判るとは考えがたい。



でも決して死にたくて手首を切ったわけではない。

血が出るのも当たり前のことで止血するのも当たり前のことだった。

死にたくなるのも当たり前のことでぼくがいつか死ぬのも当たり前のことだ。



いつか死ぬ。それが支えだった。

ヴァンパイアじゃなくてよかった、と元恋人に言ったとき、その人は失笑してぼくに別れを告げたんだったっけな。

いつもいつもそんな変なことばっかり言って、と呆れ気味にその人は、ぼくの止血に使った赤いティッシュをゴミ箱に捨てて立ち去った。



いつから、いつまで、この行為を続けるのだろう。続けてきたのだろう。

赤いティッシュはゴミ箱に溜まっているのに、どうして新しいのが欲しくなるのだろう。



「助けてくれ!」



叫んだところで誰も周りに居ない。

そもそもつらいわけでもなかったじゃないか。

ぼくは手首を切って赤い血が出ること、その当たり前のことにただ理由を見つけようとしていた。

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