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千載和歌集コミュの道因法師の歌  その4

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道因法師の歌  その4


夜泊鹿といへる心をよめる
   みなと川夜舟漕ぎいづる追風に
     鹿の声さへ瀬戸わたるなり  (秋歌下 315 道因法師) 

「湊川を漕ぎ出て行く、その折の追風に乗って、夜舟ばかりか鹿の声さえ海峡を渡ることだよ」(松野・片野)

 「みなと川」とあるから、川なのだが、「瀬戸」とあるから、海峡を示唆もさせる。 鹿は山の生き物であり、方向としては、川を下る方向だろう。 ただ、ここでの川の意味はないのではないか、湊川という地名であり、そこに泊まりがあった。そこに泊まり、瀬戸を漕ぎだすのだろう。あくまで海を背景とした歌であり、鹿の声が山の方から届き、追いかけてくるように響く趣を詠んだのだろう。
この意味で、ある程度のスケール感をよびだす歌なのである。

 「鹿の声さへ」の「さへ」は、侘びしげな小さな鹿の声さへという意味だろう。ということは追い風がよほど強かったことを示唆する。

 この「追風」は和歌の世界で使用される詩句である。

「後撰集」の兼覧王の歌に、
あひしりて侍りける人のまうでこずなりてのち、心にもあらずこゑをのみきくばかりにて、又おともせず侍りければ、つかはしける

   かりがねのくもゐはるかにきこえしは
     今は限のこゑにそありける      (読人不知)
返し
   今はとて行きかへりぬるこゑならば
     おひ風にてもきこえましやは     (兼覧王)

 追い風は声を伝えるものとして歌にも詠まれていたのだろう。


参考歌1:
   おひ風のふきぬるときはこぐ舟の
     ほに出でてこそうれしかりけれ  (『古今六帖』三・紀貫之)


参考歌2:
夜泊鹿
   よをこめてあかしのせとをこき出れは
     はるかに送る棹鹿のこゑ       (歌林苑)

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