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千載和歌集コミュの俊頼の歌  その42  真木の戸

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俊頼の歌  その42  真木の戸


田上(たなかみ)の山里に住みける頃、風激しかりける夜
   真木の戸をみ山おろしに叩かれて
     とふにつけても濡るゝ袖かな  (1090 源俊頼朝臣)

「檜戸を叩いて深山颪が音なうにつけ、寂しくなって袖が涙に濡れる」(久保田淳)


 真木とは立派な木のことで、檜、杉、松などの良材のことである。田上山は滋賀県大津市の南部にある山系で、主峰は標高600mの太神山(たなかみやま)。 昔は檜の古木におおわれ、藤原京や石山寺の造営材木としてかなり伐採され、江戸時代にはすっかりハゲ山となっている。俊頼の居た頃はまだ檜の木が多く残っていたのだろうと推測され、この真木は檜の戸であろうと推測される。この歌の「真木」という言葉はこの意味で立派な家の建築に使われる良材という意味ではなくて、田上山だから檜ということなのだろう。歌全体の調べが寂しさ、閑居を連想させ、むしろ真木が不似合いな感じさえある。

 俊頼が実際に田上の山里に住いしたかどうか不明だが、この歌には何かそれを実感させるものがあり、そうした時期があったのかもしれない。 310の彼の歌に田上の山里にて鹿の鳴くを聞くとあることも参考になろう。

 真木の戸は人が訪問してくると、叩くものなのだろうか。それが人ではなくて、山颪の激しい風がガタガタと音をさせる。人が訪問することはないと思っているように見え、もしかして人が来たのではないかという気持ちさえ見えない。それ故に、風が真木の戸を叩くと余計に悲しくなり、涙が袖を濡らすのだろう。

 参考:
田上の山里にて鹿の鳴くを聞きてよみ侍りける

   さを鹿の鳴く音は野べに聞こゆれど
     涙は床のものにぞありける  (秋歌下 310 源俊頼朝臣)

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