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千載和歌集コミュの俊頼の歌  その35  うかりける

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俊頼の歌  その35  うかりける

権中納言俊忠家に恋十首の歌よみ侍りける時、祈れども逢はざる恋といへる心をよめる
   うかりける人を初瀬の山おろしよ
     はげしかれとは祈らぬものを  (恋歌二 708 源俊頼朝臣)

「恋の成就を(長谷寺に)祈るけれども、つれない人が初瀬の山おろしのようにつらく烈しく当ってくれとは祈っていないのに」(イベリコ)

 藤原定家の「詠歌大概」にもこの歌は秀歌として取り上げられている。「祈れども逢はざる恋」という心で詠めとなっているが、歌では「とは祈らぬものを」となっている。Aを詠むかと思うと、非Aで詠むというものであり、人の意表を突く。
 人のことは「うかりける」とだけ形容するが、その人が辛くあたってくるとは言わず、「初瀬の山おろし」の事としている点も巧みである。「山おろし」という表現は、彼以前に次の例がある。

   小笹原玉ぬく露を見るをりは
     しばしな吹きそ山おろしの風  (「丹後守公基朝臣歌合」)

ところで「うかりける」は形容詞「憂し」(ク活用:から・かり・し・かる・けれ・かれ)の連用形に過去の助動詞「けり」の連体形がついたもの。意味は「つれなかった」という意味である。 この詞には浮くという言葉も連想され、それと山おろしの下への動きと見事に対照的に扱われている。上の句に上下の動きがあり、下の句でそれが激しい性格のものであったことが分かり興味ある詠いぶりになっている。

 僕のカルタ取りでの記憶では「山おろしよ」ではなく「山おろし」であったはずだ。上の表記は岩波文庫の「千載和歌集」によっている。「詠歌大概」にも「よ」が入っている。ただ、「百人一首一夕話」には「よ」は落ちている。千載和歌集の伝本は数多いが、多くは「山おろしよ」となっているようである。

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