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政治の動きコミュの209、「TPPに乗り遅れれば二度とチャンスは来ない」 第4回 浦田秀次郎・早稲田大学大学院教授

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日本のFTA(自由貿易協定)戦略の遅れに警鐘を鳴らし続けてきた早稲田大学大学院の浦田秀次郎教授。日本がTPP(環太平洋経済連携協定)参加を決断できなければ、「アジア太平洋地域の活力を取り込みつつ、この地域のキーマンとして振る舞うことができるという絶好のチャンスは二度と巡ってこない」と訴える。
――TPP参加を巡る議論はちょうど1年前にも沸騰した。

浦田:菅直人・前首相が昨年10月の所信表明演説でTPP参加を打ち上げ、「第3の開国を実現する」と意気込んだが、東日本大震災の発生もあり、今年6月としていた交渉参加の判断時期を先送りした。

 それ以降、政府の対応がストップしたままだったのに、またAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が近づいたからと、大慌てで議論を進めようとし、産業界や農業界などを巻き込んで大騒動になっている。

 震災対応や首相交代など内政面に注力せざるを得ない面もあったのは確かだろう。が、それにしても、もっと計画的に調整作業や対策を進めることはできなかったのだろうか。失望を禁じ得ない。

――いまだに、TPP参加のメリット、デメリットを巡る論争が続いている。

浦田:経済規模からみて、実質的に日米FTAのようなもの、という指摘はある意味で正しい。従来のFTAで重視してきた関税撤廃・削減という観点からは、米国の関税率は既に低いため、日本からの輸出増という利益は少ないことが予想される。

 しかし、TPPはモノの貿易だけでなく、投資や人の移動など幅広い分野を含む協定になる。世界貿易機関(WTO)で定めたルールよりハイレベルな制度構築を進め、それがアジア太平洋地域の自由貿易圏構想であるFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)、そして、より広い世界的な経済制度の構築につなげていくという視点が重要だ。

 世界のビジネス環境をより好ましいものにしていくプロセスであり、自由貿易の恩恵を最も享受してきた日本がその作業に積極的に加わり、応分の責任を果たしていくのは当然だろう。

 また、米国がTPPを推進している大きな目的の1つが、中国対策だ。アジア太平洋地域での主導権争いという意味合いももちろんあるが、ビジネス面に関して言えば、将来の中国のTPP参加や、FTAAPへのプロセスをにらみ、このアジア太平洋地域に透明で公正な市場を作り上げ、中国企業にそれに適合した行動を取るよう求めるという狙いがある。これは当然、日本企業にとっても大きなメリットとなる。

 目先の損得勘定だけでなく、こうした大きな絵を、日本政府が打ち出していくべきなのだが…。

2011年11月10日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111108/223699/?mlh1&rt=nocnt

日本に求められる応分の責任

――農業問題がTPP、FTA交渉の障害という構図が続いている。

浦田:まず、TPP締結ですべての農産物が即時関税撤廃といった、ありえない話が公然と語られているのは議論を歪曲する思惑があるとしか思えない。

 例えば、米国は豪州とのFTAで関税撤廃の例外とした砂糖などの例外扱いを引き続き求めている。日本も交渉の結果、コメなど一部の品目の例外化を勝ち取ることも可能だと思う。それができない場合は、交渉から離脱する選択肢があってもいい。交渉なのだから、柔軟に対応すべきだ。

 そもそも、自由化で農業は本当に壊滅するのだろうか。過去の牛肉やオレンジの自由化をみても、品種改良やブランド化などで差別化を図り、生き残っているではないか。海外との競争を経て生産性が向上するというのは、産業界だけでなく、農業の世界にも当てはまることだ。その経験をせずに、守るだけの農業に未来があるとも思えない。

 バラマキの戸別所得補償制度の見直しなどは欠かせないが、農業問題の議論が進まない背景には、タブー視してきた点が幾つもあることも大きい。例えば、農家の平均年齢は約66歳だが、これは、年金受給世代が多いということになる。

 本来なら社会保障で対応していくのが筋なのに、農業という括りになった途端、どうして特別な保護、支援が必要になるのだろうか。

 農地などの優遇税制も今のままでいいのだろうか。耕作放棄地なのに、転用期待から保持している状況が横行しているのを放置していていいのだろうか。こうした論点に正面から向き合い、農業改革を議論していかないことには、TPPだけでなく、ほかの農業大国とのFTAやEPA(経済連携協定)交渉も進まない恐れがある。

中国、EUも日本との経済連携に関心

――TPP交渉に消極的な日本は、多くのものを失いつつあるのでは。

浦田:少子高齢化や財政難から、日本の低成長が続くのは必至。日本が経済を維持しようとするなら、成長率が高いアジアとの関係を深めるしかないのだが、市場開放に消極的な日本に対し、アジア諸国では失望感も高まっている。

 日本国内では、内向きの議論に終始しているが、日本が今、国際交渉の世界で有利な立ち位置にあるという認識を持つべきだろう。

 日本がTPP参加に前向きという空気が伝わった途端、中国は日中韓3カ国のFTA交渉の加速を求めてきた。欧州連合(EU)も日本とのFTAに前向きになってきた。そのことがあって、米国は一層TPPの推進を強めている。

 つまり、「日本がTPPに参加する」との観測が呼び水となり、中国、EUとのFTA協議入りの可能性が強まってきたのだ。アジア太平洋で、米国、中国、EUとの結節点として影響を持つことができる可能性があるのは、日本だけだ。こんなチャンスは二度と巡ってこないだろう。

 TPP交渉に参加し、中国、EUとのFTA交渉も進めるのが日本の生きる道だ。政治のリーダーシップが問われている。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111108/223699/?P=2

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