ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

政治の動きコミュの166.堀江貴文氏独占インタビュー「結局、世の中を変えるのは技術革新しかない」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
5月12日、都内某所。4月25日の最高裁による上告棄却判断を受け、およそ2年半の服役が決定した堀江氏。今回BLOGOS編集部では、収監まで残された僅かな時間を堀江氏に割いて頂き、緊急インタビューを行った。聞き手は、堀江氏についてもライブドア事件以前から積極的に発言を行なってきた池田信夫氏。

収監を間近に控えている堀江氏に会うのは、ライブドア社長時代を知る我々にとって複雑なものがある。雨の中、緊張感を持って現場に向かったが、堀江氏は意外なほどリラックスした表情で池田氏の質問に答え始めた。日本という国が抱える様々な閉塞感や不透明な未来像。そして、刑期終了後に氏が描く新たな“プラン”までもが飛び出した。【取材・構成:入江大輔、大谷広太(BLOGOS編集長)】

---
基本的に政策が行き当たりばったり

池田信夫(以下、池田):東京電力の救済案が間もなく閣議決定されます(5月11日現在)東電には株主が93万人もいて、社債を5兆円も発行していて、大変な影響が出るから救済すると。国民負担で国が資金を立て替えて支援する形になります。そして、全体の約半分の金額を他の電力会社から負担金として集めるそうです。

堀江(以下、堀江):つまり、国有化するという事ですよね。

池田:そうです。準国有化ですよね。多くの経済学者が「日本航空だって会社更生法を適用された訳だし、東電もそうすべきだ」と指摘しています。

堀江:それは、おかしいですよ。

池田:これはある意味、堀江さんの事件と裏表になっています。
東電のために、法律を作ってでも助けたい。でも、堀江さんのようにこれまでの秩序に反抗する人は、裁量の範囲内で最大限の罰を与える。浜岡原発の停止要請に関しても、同じような考え方でやっていますね。

堀江:基本的に政策が行き当たりばったりですよね。

2011年05月16日09時30分
http://news.livedoor.com/article/detail/5555535/

「みんなで貧しくなろうぜ」という”空気”

堀江:結局「みんなで苦しみを我慢しよう」って感じなんでしょう。「みんなで貧しくなろうぜ」みたいな。

保守系のおじいちゃん達って、だいたいそんな感じでしょう。「冷房も使うべきじゃないし、日本中は贅沢しすぎだ」、と。「家にテレビが4台もあるのはおかしい」、とか(笑)。

僕は反論しますけど、こういう意見に反論しづらい”空気”がありますよね。それは僕が「スーツを着ていない」と指摘された時と同じ”空気”です。でも、みんなでクールビズを叫んだら、スーツを着る必要がなくなるんですよ。周りと同じ事を言っていたり、周りに反論しなければ、それでよしとする。

Twitter上でも、おそらくそのような”空気”があって、それに反する人物は忌み嫌われてしまう。別に嫌う必要はないと思うんですよ、ただの意見なんだから。その人の人格まで否定する必要はない。突き抜けてしまえばどうって事ないんですけど、突き抜けられる人は滅多にいないから、意見が違ったとしても、黙ってそれに従っている。

例えば、小学校の運動会で、炎天下の中ずっと姿勢を正して30分も整列させられる。でも、「そんな行為に何の意味があるのか?」と言えば、先生から鉄拳制裁をくらう訳ですよ。おかしいと思いながらも、おかしいと言えない雰囲気があった。誰もそれに対して声を挙げない。

これが問題の本質で、小学校の時からそんな訓練を受けている。結果として、みんなで貧しくなることも我慢しちゃうと思いますよ。この国の人たちは。我慢できない人たちは、「これは流石に有り得ない」と思って逃げて行く。

結果として、我慢できる人だけが残ってしまう。一時的に所得の水準が下がって、相対的に貧しい生活にもなるでしょう。

日本人が貧しくなったと痛感

堀江:でも、日本にいると分からない。

海外に行くと、日本人って貧しくなったと痛感しますよね。だって、シンガポールに行ったら、メチャクチャ活気があるじゃないですか。

例えばセントーサ島に新しいカジノができたり、京都吉兆の料理長の徳岡邦夫さんプロデュースの『Kunio Tokuoka』というお店は、5万円のコース料理を普通に出している。
新しいホテルがバンバン立って、シンガポールの市街地ではF1グランプリが毎年開されています。中国系の人たちが遊んでいて活気もあるし、すごく豊かなんですよ。

でも、日本に帰ってきたら、カジノもないし、活気もない。しょぼくれている。みんな焼き肉に行って、200円のユッケを食ってる。終ってるよね、みたいな。

みんなこの状況に気づいていない。例えば200円台の食事なんて、当然怪しい食材を使っている訳ですよ。でも、若者は給料が上がっていないから、そんなジャンクフードを食べて満足している。デフレの正体がそれですよ。ジャンク化はアメリカの貧困層のように、日本でも進んでいるんでしょう。

アメリカと違うのは、あの国にはちゃんと富裕層もいるけれど、日本は富裕層を潰しにかかりますから。

文化を作っていくのは富裕層なんです。彼らには潤沢な金があるから、散財もする。生活費+αしかない人が散財はできないでしょ。

日本の地方もどんどん破壊されていて、国道沿いにはどこにでもあるコンビニであったり、ショッピングセンターばかり。みんなが一緒に貧しくなってるとでも言いますか。本質はその辺りにある。まさに『清貧』ですよ『清貧』。

日本が疲弊しようが、知った事っちゃない

池田:堀江さんの世代は、多少はバブルの残り香を知っていた訳でしょ?

今の若い人たちって、良かった時代を知らなかったと思うんですよ。だから、みんなこの状況に慣れていて、こんなものだと思っている。慎ましくジャンクフードを食べて、生きて行ける可能性が高い。節約だってできてしまう。

その代わり、日本経済の収縮も加速させるでしょう。残念ながらそれは避けられない気がします。

堀江:ただ、下がってきたら、次は上がると思う。株価と一緒ですから、どこかのタイミングで。

これは僕の中国で働いている友人から聞いた話なんですが、あと5年で北京市のホワイトカラーの平均年収が、青森県民の平均年収を抜くそうです。日本の地方と北京の年収が逆転する現象がやってくる。東京を逆転するのは時間がかかるでしょうが。
グローバル化というのは平準化ですから、当然勢いのある所は平均年収が上がっていく。

でも、これは昔に戻るということです。中国は歴史的に東アジアの覇者であって、日本は中国に富みに比べたら、ゴミみたいなものだった訳です。

20年前、中国の沿岸部、そして内陸部へ生産拠点が移って行った。コスト高くなったから、東南アジアへ。ベトナム、タイがどんどん開発されて、その後はカンボジアやミャンマーに移って、それが今度はバングラデシュへ。

当然、日本国内は産業がどんどん空洞化していって、その上に派遣社員も解雇できなくなってしまった。”工場を日本に作るのはバカバカしい”ってみんな思ってる。その上、東日本大震災が起こった。リスクは高いし給料も高い、社員をクビにもできない。企業も海外移転を進めるしかないですよ。

これまではサプライチェーンの問題もあって、複数の部品を統合して、ひとつの製品ができていました。全てを一緒に移転しないと同じクオリティの製品が作れませんでした。でも、これをきっかけに全てを移転するという動きは、おそらく出て来ると思います。

すると、ますます地方は疲弊して、年収も下がる。現在は最低賃金が設定されていますが、それをいつまで維持できるのか……。どんなシナリオで財政破綻するのか、誰も予測できない。でも破綻すれば、デフォルトした会社みたいなもので、コストが安くなるだろうし、また”日本って安いわりに、教育水準の高い労働力が使えるね。バングラデシュよりいいんじゃない”って話になるかもしれない。それが20年か、30年後か分からないけれど、また戻ってくるんじゃないかな。

その間、ポートフォリオをどこに組んで行くのか、経済人としての僕はそれを考えればいい訳で、正直日本が疲弊しようが、知った事っちゃないんですよ。


提言をした所で、考え方は変らない

池田:堀江さんがこのような境遇なったのも面白いタイミングです。おそらく今後2〜3年は日本経済は沈む一方でしょうし、中にいても外にいても、あまり変らない。

堀江:ははは(笑)。そりゃ、そうかもしれませんね。

池田:今後10年くらいは、このままゆっくり落ちつづけるんじゃないかな。

堀江:我慢するんですよ。我慢してしまうんですよ、みんな。

池田:日本人は、みんなでゆっくり辛抱するのは得意だからなぁ。誰かが抜け駆けすることもしないし。

堀江:日本では革命が起きないからなんですよ。革命は亡命知識人が起すものです。その国の状況に心底嫌気がさした知識人達が海外で知識や力をつけて、支援を受けて革命を起すわけじゃないですか。孫文だって日本にいた訳ですよね。日本には亡命知識人ってほとんどいない。やっぱり出て行きにくいんでしょうね。

日本は大化の改新以来、1,400年近く律令制というシステムを毎年アップデートし続けてきた。これまで革命のようなものもあったけれど、実際は市民革命ではなくて、官僚組織内での革命だった。

明治維新だって革命と言えないかもしれない。司法にしても、西洋から法体系や裁判所のシステムを導入したけれど、江戸時代の”お白州”の上に制度が乗っているだけ。体裁は変ったけれど実際は何も変わっていない。

司法の世界は明治維新も、戦後のGHQの占領政策すら乗り越えて今に至っている。それだけ長い歴史があると、歴史を守る事が凄く大事に思われて来るんです。天皇制が続く事を誇りに思ってみたり、とにかく長続きする会社が一番良い会社だと思い込んでいる。それって、なんか変だよねって。

そんな状況がこれからも続いていくんじゃないでしょうか。自由度が高い人たちは、そんな日本人の気質を理解しながら適度に海外で過ごすと。海外で事業を展開するとか、日本に本社を置かずにね。法人税が高いから。

提言をした所で、宗教みたいなもので、考え方は変らないと思うんですよ。「なぜこいつは分からないんだろう……」って向こうも思ってる。ヤメ検の人たちって、やっぱりそんな考え方なんです。

とにかく慎ましく生きようと、エアコン切ってみんなで頑張ろうと。なんとか頑張って技術革新していこうって、考え方にはならないんですよ。

みんなマゾなんじゃないかな

池田:堀江さんの事件を担当した、当時東京地検特捜部長の大鶴(基成)さんの有名な言葉があります。「額に汗して働く人、 リストラされ働けない人、違反すれば儲かると分かっていても法律を遵守している企業の人たちが憤慨するような事案を、万難を排しても摘発したい」と。

この言葉は多くの司法人の頭の中にあるのではないか。そのような価値観をずっと続けられるならばいいけれど、僕らは豊かになる事を前提としたシステムを作ってしまった。その中で役所の人だけが、みんなに辛抱しろと言ってもね……。

例えば70年代、いわゆる省エネブームがあって、日本の電力消費は歴史上初めて下がったんです。でもその後、電力消費量は上がってしまった。実際は日本人でさえ不可能なんです。今年の夏場は原発がさらに止まった場合、東京でも冷房が止まるとか、停電する可能性がありますね。

堀江:でも、我慢するでしょうね。

池田:70年代は石油危機の時も我慢しました。そんな生活を我々は選択するのか。みんなが馴染むならば、それもありのような気もするけれど。現代の若い世代は貧しい生活しか知らないから、馴染めるのかもしれないなぁ。

堀江:馴染めるんじゃないですか。窮屈な生活をしたいんじゃないですか? マゾなんじゃないかな。マゾである以外に説明がつかない。僕はこれまでずっと”満員電車になぜ乗るの?”って言い続けているけれど、全く解決しない。なぜだと思います?

池田:日本人は横並びで見ているから、周りが辛抱していたら仕方がないって思ってしまう。なんとなく縮小均衡していく気がしますね。

デフレ傾向も20年近く続いているけれど、デフレに慣れてしまう。そんな世界では、200円のユッケで満足できるんですよ。

隣に自分よりも豊かな人がいると不幸だけれど、みんな同水準で貧しいとそんなに不幸だとは思わない。民主党政権が目指しているのは、そんな生活なんでしょう。

堀江:そこに“未来”はないでしょう。

池田:大きなライフスタイルの選択を迫られていると思いますよ。


本当はみんな都会で豊かに暮らしたいんじゃない?

堀江:人間はこれまで技術革新という選択肢をとり続けてきた。豊かになりたいから。

例えば、昔は農作業が凄く大変だった。朝から晩まで働いてやっと米が取れるような生活から、耕耘機や田植機が出てきて農作業が相当ラクになった。ラクだから、みんな買ったけれど、逆に買わない選択肢もあるはずですよね。田植機みたいなものは、額に汗して働くことからしたら、忌むべきものじゃないですか。

池田:江戸時代を説明する面白い言葉があって、速水融さんの”勤勉革命(Industrious Revolution)”というもの。産業革命(Industrial Revolution)では資本が増えて結果、作業の合理化によって生産性を上げました。ところが、江戸時代では逆の事が起こっています。狭い土地に人間を集約化して、その狭い用地で生産量を上げて行った。それが明治以降の時代も続いている。なぜなのか?

ひとつは日本は土地が狭いことが挙げられます。土地は重要な資源で、しかも日本は平坦な土地が少ない。土地が非常に貴重な資源なので、そこに貴重な人材を集中して良い物を作るのが、日本独特のカルチャーを生み出したという説があります。日本の製造業も含めて、産業の在り方を”勤勉革命”という言葉が、かなり説明している気がする。

堀江:それがどうして、現代では便利な物へと流れてきたんでしょう?

池田:豊かな生活を一度経験すると、元に戻れないからでしょうね。それこそ18世紀のイギリスの産業革命以降の歴史もそれを説明しています。工業地が豊かだと、貧しい農地から農民が出て行く。その結果、人口は豊かな都市に移動する。

堀江:田舎から東京に出てきて、また帰る人もいますよね?

池田:戦後以降、地方から東京への移動は一般的でしたけれど、東京から地方への動きは1990年代以降にしか起こっていない。

堀江:身近な例なんですけれど、最近、小学校時代の同級生に会ったんですよ。彼はニュージーランドに移住していて、僕とふたりで、小学校時代の変わり者トップ2なんですけど。ある同級生について、『今どうしてるの?』って聞いたら、『何年か前に実家に帰った時に偶然会ったけれど、暗くてさ……。声をかけられなかったよ……』って。

その彼は明るくて、元気な小学生だったけれど、家族が保守的で地元から出ることを許さなかったらしい。地元で見合い結婚して、実家を継いで、農業をやっている。それに対して不満があったけれど、そこから出て行けない。勇気がない。本当はみんなやっぱり都会で豊かに暮らしたいんじゃないですかね。

池田:高度成長期はそうだったと思いますよ。高度成長とは、明らかに田舎から都市に人口が移動することだと、要因としてはっきりしている。90年代を境に移動が止まると、成長率も下がってきた。つまり、やっぱり都会の豊かな生活に憧れることが、日本の成長を支えていたと思う。

堀江:そうすると、人間の基本原理としては、豊かで贅沢したいと思っているという事ですよね。


ガラパゴス携帯みたいな国になるんじゃないか

池田:最近NHKや朝日新聞が、”田舎のコミュニティは素晴らしくて、それが壊れて行くのはけしからん”と報道しています。

僕から言わせると、田舎を捨てて、欝陶しい田舎から出て、自由な都会に出たいというエネルギーが、高度経済成長を支えていた。村に残った人から見ると、コミュニティが崩壊したと思うかもしれないけれど、都会に行かずに残っていたら、みんな食い詰めていたはずだしね。

堀江:ならば、なぜ誰もが定住するんでしょうね。昔は定住していなかった訳じゃないですか。定住は農耕が始まってからですよね。今、ほとんどの人は農業に従事していないし、本当は定住する必要はないって事では?

池田:人間の本能としては、狩猟行動に適していると言われています。ひとつの地域に密集して生きていくのは、生理的に合わない部分もあるでしょう。堀江さんみたいなタイプは、それに合わない(笑)。

堀江:今はその考え方の人が多いはずですよ。これまでの人間って、前よりも豊かになろうと技術革新をしてきた訳じゃないですか。だから、その考え方が勝つ気がするんですよ。

そういう生き物である以上、移動する思考様式になるようにできている。少なくとも僕はそうです。生活を豊かにする方法があるならば、『やればいいじゃない』って思う訳ですよ。

池田:もうひとつ、僕は別の見方を持っていて。
日本は残念ながらピークは過ぎてしまった。停滞する生活にどうやって順応するかも、ひとつの考え方です。イタリアってそうでしょう?

あの国はローマ帝国期がピークで、次がルネサンス時代。その頃から数えても500年くらい経っています。でもイタリア人ってそんなに不幸そうな生活してないじゃないですか。レストランに行けば楽しそうに喋ってるし、食べ物も美味い。電話もつながりにくいけれど問題にもせずに、みんな気楽に生きている。

それこそベルルスコーニ首相みたいな人物がトップになれる国です。お気楽な社会も、ひとつの解決策だと思うけれど、日本は”勤勉革命”の国だから、それが出来ないのかなぁ……。

堀江:そっちには行かないでしょうね。やっぱり勤勉になってしまう。ガラパゴス的に変な進化を遂げるんじゃないですか、携帯電話みたいに。「なんだかよく分からないけれど、凄いエコだよね。でも、その工夫って意味があるの……」って。そんな事をやっちゃう気がする。

池田:明治維新とか、終戦後のような強烈なインパクトがない限り、ゆっくり衰退していくしかない。

堀江:それでも受け入れるんじゃないかな。僕は受け入れたくないんで。そんなのイヤですけれど。あとはプライドの問題だけですからね。僕は経済人だから、日本にこだわる必要もない。変に頑張って、また検察に目を付けられてもイヤだし。

出所後はノマドになります

池田:出所後は、海外に移住するんですか。

堀江:移住と言うか、定住する意味を感じない。ノマドになります。

海外に定住するんじゃなくて、日本が良い季節には日本に住んで、海外が良い季節には海外にいて。たぶん寒い所にいると、脳血管障害で亡くなる確率が高まると思うんですよね。だから、冬場は暖かいところに行くんじゃないかな。

よく考えたら、自分はなぜこれまで定住してたんだろうって、最近よく思っています。これだけインターネットが発達した世の中で、なぜ日本にいるんだろうって。

池田:最近、就職戦線が酷い状況にあります。就職率も80%を切っている。
就職セミナーの講師の人が「日本にはロクな職がないし、海外行った方がいい。優秀な人はアメリカに行けばいいし、それほどでもない人はアジアに行けば」と言っていました。でも、日本から海外に行く人は、実際にはすごく少ない。

理由を聞くと、すごくつまらないんですよ。英語がものすごく下手だからなんです。これが障壁になっていて、本当に優秀な人ならば出て行けるけれど、少し優秀な人はおそらく出て行けない。出ても行けずに、みんなで沈没していくって事もあるのかな。

堀江:そうじゃない選択肢もあるんですよ。

検察庁に行く人は、”みんなで我慢”の人達なんですよ。そうでなければ、検察なんて行かないでしょう。何が楽しいのかと思いますもん。僕は彼らを見ながら、「本当にみんな楽しいのかな……?」って思って。

池田:日本人は”役所で局長”や”企業の部長”など、ポストに対する執着が強い。
検察の大鶴さんだって給料はたいしたことないと思うけれど、やっぱり”東京地検の特捜部長”という社会的なポストが、彼にとっては最も大切なんですよ。

堀江:そうでしょうね。

池田:それを目的にする人にとっては、ゆっくり衰退する社会も、そんなに違いはない。

堀江:なるほど。

池田:そこに国民全員が順応できるかが、けっこう大きな課題です。堀江さんが順応できないのは、確かだけれど(笑)。そして、僕は年齢的に逃げ切れるからいい(笑)。

100年前に戻るだけ。それでいいのでは

池田:でも若い人たちはに相当大変な人生が待っているよね。今の30代以下の人たちが、将来持ちこたえられるかが問題です。10〜20年後は収入のうち半分位を税金と社会保障費持ってかれる時代になりますよ。

堀江:なぜ懲罰的に高い税金を課すんでしょうかねぇ……。

池田:みんな知らないからですよ。知った時には遅い、よくできているシステムです(笑)。

どう計算しても、20年後には年金も財政も破綻して、生涯収入で5,000万円くらい税金を支払うことになる。もの凄い負担が現在の若い世代にかかってくる。それが実感として分からないから、「お金をばらまきましょ」となってしまう。結果、政府債務が900兆円になった。これがドカンと行くのが次の危機ですよね。

ただ、僕はね、そうなってもまだ日本人は気づかないような気がするな。震災が起こった時も、”これだけ酷い事が起こったんだから、仕組みを変えなければいけないな”って意見が出て来ると思ったら、全然逆ですよね。まったく今まで通りに東電を延命している。

堀江:僕はプライド的に耐えられなくなると思う。そうじゃないかな? だって、今凄いですよ、中国人が。

例えば新宿の風俗店に中国人がバスで繰り込んで、売春ツアーをやっている。それって昔、日本人が東南アジアでやっていたこと。例えば日本のAV女優に中国人や香港人からオファーがあって、実際に行っている人もいるらしい。それって、”からゆきさん”だよねって。当時の日本は豊かな国ではなかった。歴史の中で豊になったのはここ100年くらいのこと。それが元に戻るだけ。でも、それでいいのかなって。

日本人である誇りは持てなくなるかもしれない

池田:悲観的な話ばかりでもしかたないので(笑)、これ以上ない所まで追いつめられたら、人間はなんとかなるというのも、あるかもしれない。

80年代のアメリカが今の日本の状況によく似ていました。ニューヨークは犯罪だらけで、失業者が溢れかえっていた。ところが、アメリカはそこから立ち直ったでしょう。なぜ立ち直ったのかといえば、ひとつはシリコンバレーなどで新しいテクノロジーが出てきたから。

僕の見方は、新しい会社が次々と出てきた事が大きかったと思う。その点が日本は決定的に欠けていた。堀江さんの件を見ても、新しい存在を排除するシステムを作ってしまたんですね。

コメント(4)

堀江:なぜ、そうなってしまったんでしょう?

池田:”なってしまった”と言うよりも、昔からそうだったと思いますよ。
日本企業の寿命を見て見ると、経団連の上位企業で一番若いのがソニーとホンダなんです。彼らが誕生したのは50年前後。一番若い会社が創立60年も経ってるんですよ。

なぜ、ソニーやホンダが生まれたのかといえば、戦後のドサクサで当時の社会には業界秩序ができていなかった。でも、村の秩序を作るのが上手いから、50年以降は大きな会社が出て来なくなった。日本人はしっかりしているから、自分達の既得権をしっかり守っている。業界団体作って、まさに今回の東電みたいに「自分達だけ守って下さい」と。

政治には政権交代がありましたが、結局”線香花火”でおわってしまった。それだけ日本の秩序を守るDNAが変化を拒んでいる。

これは良くも悪くも日本人の優れている所なんですよ。今度の震災でも、被災地では誰もが秩序正しく行動していました。みんなが協力して、自分達の大事な物を守っていた。でも、これが変化を拒否する方向に働いてしまう。これを乗り越えるのは、容易なことじゃありません。堀江さんは諦めてる?

堀江:諦めてると言うよりも、さっきも言ったように、僕は日本にこだわる必要もないので。

池田:政治もそれに甘えてしまう。ヨーロッパのように隣の国に気軽に行けてしまうと、優秀な人材がドンドン流出してしまう。日本ではそれがない。だから、政治がいい加減でも続いてしまう。

堀江:このまま続くでしょうね。

池田:会社もそうですよね。一度入ったら、定年までいるしかない。上司からつまらないことを言われても、我慢する。イヤなことを言われても、くだらないことをやらされても、じっと我慢する。それを顔に出さないのが優秀なサラリーマン。そういった意味で日本人は衰退に強いと思う。

堀江:それはそれで良いと思う。日本人である誇りは持てなくなる未来が来るかもしれないけれど、致しかたないのかな。

最近海外に行くと、だいたい”コリアン?”って聞かれるんですよ。その次は”チャイニーズ?”。”自分はジャパニーズなんだ”って言うと、”へぇ〜”って。”そういえばいたね”って。バブルの頃は全く違っていたと思うけれど、10年前だって”ジャパニーズ?”って聞かれていたのに。

革新政党は全選挙区に立候補者を

池田:ちょっと真面目に、そんな状況をどう打破すればいいか考えてみましょう。

基本的に資本主義って、債務超過になったら、どんな大きくて社会的に名声のある会社でも、潰れるしかないんですよ。借金が払えなくなったら、会社は倒産して、経営者は去って、労働者は首になると。ある意味、機械的なルールで動く。それが資本主義のダイナミズムだった。

ところがルールを棚上げにして、東電を助けてしまった。あるいは堀江さんみたいに、けしからん奴を排除していく。するとルールがルールとして成り立たなくなる。ルールが成り立たない世界では、投資はリスクが大き過ぎる。

結果、リスクマネーが出て来なくなる。新しい投資も、新しい企業活動も起こらない。当然成長率も下がっていく。

堀江:単純な話ですね。

池田:日本の過去20年間がなぜ駄目になったのか、統計を見れば明らかです。日本の会社は投資をせずに、ひたすら貯蓄していました。会社が貯蓄している国は、成長する訳がない。

確かに資本主義って好まれないシステムですが、世界の歴史を見ると資本主義のルールに忠実に従っているアメリカは、しっかり立ち直っています。でも、資本主義じゃないことをやってる国は確実に駄目になっている。東京地検の人たちはイヤかもしれないけれど、日本が経済的に本当に立ち直りたいならば、もう一度しっかり資本主義のルールに則ってやるしかないと思う。
堀江:そのような政権になればいいんじゃないんですか。でも政治はなぁ……。可能性として、難しいですよね。

自民党から民主党に政権交代したと言われているけれど、僕はずっと民主党は自民党の二軍だと話してきました。

もちろん民主党にも革新的な勢力はいるけれど、今は左翼系の保守勢力にガッチリ押さえられている。そのような人たちが支配していて、ばらまき方が企業団体から、個人に変っただけ。何も変わっていません。

自民党にも革新的な勢力があって連携すればいいのに、なぜか別々の所にいる。だから国民も選べない。”どこに投票するんだ?”ってことになってしまう。

先日の参議院選挙でも、みんなの党が多少マシだと思ったけれど、自分の選挙区にはでていなかったって人が多いんじゃないかな。全ての選挙区に候補者を立てればいいのに、なぜ立てないんでしょうかね。

先日、大阪の橋下(徹)知事に会った時、「自分は友達が少ないから、紹介してくれ」って言われたんです。それでも大阪維新の会は人が集まって、選挙でも一定の成果を得られた。お金もほとんどなくて、手弁当らしいんですよ。資金がある人たちに出てもらっている状態でした。それを国政レベルに広げる流れがあるのかもしれない。

だから「是非、2年後は全選挙区に候補者を立てて下さい、僕も協力できることはやっていきますから」って言いました。と。

「民主党が自民党のこれまでの政治を打破する」と、50%くらいの人が思っていた訳でしょう? なぜみんな簡単に騙されてしまうんだろうって思うんですけれどね。騙されやすい国民ならば、逆にそれを利用して……。民主党も駄目だったし、”まったく新しいしがらみのない政治をやる”と宣言して戦ったら、第三の勢力が次の選挙で勝つと思うんですよ。

2年後の選挙で変わらないのであれば、駄目ってこと

池田:僕は最近Twitter中毒になっていて、何とかしなければいけないんですが(笑)、堀江さんは今フォロワーが何人くらいいますか?

堀江:70万人ですね。

池田:フォロワーが多い人を上から見ていると、『辛抱しましょう』って人はいないんです(笑)。一番上が孫(正義)さんでしょ。言わば、変った人です。今と違うことをしようとしている人が上にいる。

今の若者の中には、この状況がキツいと思っている人が少なくない。そのような人たちの力が政治の世界には届いていないんですね。好意的に捉えれば、年取った人がいなくなって、Twitterやっている人たちが社会を動かすようになれば……。

堀江:年寄りはいなくならないですよ。長生きするから。渡邉恒雄氏だってあと10年は居座ると思いますよ。日枝久氏なんて20年くらいはね。これって笑えないジョークです。悪い冗談だと思うけれど、本当にそうなると思う。だって、中曽根(康弘)大勲位だって、まだ頑張ってるじゃないですか。石原(慎太郎)さんだって、東京都知事になっちゃうし。

池田:いや、真面目な話(笑)、そんな人もいるけれど、20〜30年経ったら……。

堀江:30年経ったら、僕は何歳ですか? 68歳ですよ(笑)。僕が老害になってますよ(笑)。

池田:20年で変るでしょう。

堀江:20年でも、60歳近いですからね(笑)。

今すぐ変えられないんだったら、変える必要はないんじゃないかな。2年後の選挙で出来ないのであれば、駄目ってことだし。

世の中を変えるのは技術革新しかない

堀江:僕はもう少し違うアプローチを考えています。結局、世の中を変えるのは技術革新しかないと思っています。インターネットの登場が世の中を少しでも変えた訳じゃないですか。そして、それが大きなウェーブになりつつある。何か新しい技術を作れれば、もっと変るかもしれない。社会システムそのものだって変っていくかもしれない。

例えば宇宙ロケットを飛ばすだけでも、みんなの目が宇宙に向かうでしょう。地上の人間社会のゴタゴタを忘れて、空を見上げて未来に希望を持てる。そんな流れが出てくると思っています。

池田:僕も冗談抜きに、日本がいつまでもジリ貧だとは思わないんですよ。やっぱりなんだかんだ言っても教育程度が高いし、「こんな状況では駄目だ」って言う人も僕の周りではけっこう多い。
堀江:僕は技術開発研究をシステム化してみようと思っています。

今、Googleみたいな会社って日本にないんですよ。ソニーがプレイステーション・ネットワークで大規模流出事故を起したじゃないですか。でも、Googleはそんな事故を起さないでしょう。なぜ起こらないのか、そこに問題の本質があります。ソニーはシステムを外注しているはずです。ITゼネコンに丸投げしているんじゃないかな。

すくなくとも内製ではないはずです。ITゼネコンに発注すると、実際にプログラミングを担当するのって、末端のひ孫系の3人ぐらいでやっている会社だったりするんです。彼らはスキルが相当低い可能性もある。だからみずほ銀行のシステムも壊れてしまった。
手前味噌ですけれど、ライブドアではそんな事は起こらないんですよ。つまり、外注していないから。本当に特殊な分野では、天才的な奴も含めて優秀なエンジニアで回していた。

Googleもそうです。彼らは世界レベルで凄い奴らが集まってきている。彼らは会社を”キャンパス”と呼んでいます。研究機関として、大学のキャンパスのような環境を作り出している。Googleの敷地に行くとワクワクしませんか? “わ〜、いい会社だな。ここで働きたいな〜”って思ったほどです。
いきなりエントランスに、”Googleマーズ”と言って、火星の撮影された画像をデーターベース化して、現時点での火星の状況をマッピング化していました。でっかい火星が、でっかい液晶モニターの中でグルグルまわっていたんです。そんな会社って日本にないよね、つまんないよね、って感じなんですよ。

だから僕は技術者・科学者の楽園のような組織ができたらいいなと思っています。ライブドアもそのようにしたかった。

最初はIT技術だけだったけれど、色々な分野に広げたいと考えていた。Googleがなぜ出来たかと言えば、潤沢な広告利益があるから。僕自身もそれをやらないと出来ないと思っていたんです。

でも、最近違うのかなと考えが変ってきている。被災地への寄付をする『Just Giving Japan』というサイトがあって、僕も100万円のシードマネーを入れたんですが、結果的に7,000万円も集まった。それがNPOに送られました。今Twitterやソーシャルメディアを使えばそのようなことが出来るんです。。それくらいのパワーが出来ている。

最近、ファンドレイジング(Fundraising)サイトも流行ってきている。『Kickstarter』であるとか、それを真似たサイトもたくさん始まっています。
研究開発に特化した、戦前の理化学研究所みたいな組織を作りたいんです。シードでかなりのお金を集められれば、財団は研究開発の成果を企業化して、そのキャピタルゲインを財団の資金に繰り入れる。

就職活動の話もそうでしたけれど、ライブドアってずっと新卒採用をやっていなかったんですよ。最近始めているみたいですけれど……。そのアホらしさを感じていて。結局、大学は就職予備校化している訳でしょう?

日本の国立大学は、教授が一般教養の授業をしなければならない。大学一年生に対して、熱力学の基礎講義なんかをしている訳ですよ。そんなのアホらしい話で、助手や専門の講師にやらせればいい。

たとえば京都大学の山中(伸弥)教授みたいな人までもがそういう授業をやっている。それどころか試験監督や採点までもね。バカですよね、はっきり言って。そもそも、大学の教養課程なんて、誰も行っていなくて、ろくに勉強もしていない。

アメリカのスタンフォード大学は財団を作って、卒業生の成果に対して投資する。そこから莫大なキャピタルゲインが出て、それを再投資している訳です。

だから、アメリカの大学って、潤沢な研究予算がありますよね。日本では東大と慶応以外は悲惨じゃないですか。予算なんてないに等しい。なのに言葉の壁があるから、そこに我慢して留まっている訳です。

スタンフォードやMIT(マサチューセッツ工科大学)に行けば、いくらでも予算はあるんですよ。出来る奴や、英語を苦にしない奴は、サッサと行ってしまって、ノーベル賞の研究をする日本人って、最近はみんな海外にいますよね。
科学技術の研究機関を作りたい

堀江:以前、東大の総長に呼ばれて提言をしたんですが、まったく動きがない。東大の業績を企業化して投資すべきなんです。国立大学法人なった訳ですから、最終的には民営化するんですよね。民主党政権はやらないと思いますけれど……。独立採算でやってけるのか。

日本で一番マシにやったのは、慶応大学です。その慶応でも、基金の規模はスタンフォードの1/100くらいです。金がないから、優秀な人材がどんどん腐っていっている。

だから研究機関を作って、そこがブランドになれば、人は来ると思うんです。『高校なんて卒業しなくてもいいよ』と、16歳になったら誰でも受け入れる。成果を上げた人にドンドン投資して、予算をつける。その中で好きなだけ研究してくれと。Googleのように広告を集めなくても、みんなからの寄付で賄えるんじゃないか。そんな希望を持っている人ってけっこういると思うんですよ。

池田:今の大学に問題あるということは確かでしょうね。大学ってピンからキリまであって。ピンはつまらないことをやっていないで、堀江さんが言ったように世界で戦えるようにもっと自由にやらせればいい。キリの方は大学の体をなしていないし、変な教養科目なんてやめて、専門学校になるしかない。

新興国と戦う人たちに対して手に職を付ける授業を大学がやればいい。どっちにしても今の大学は中途半端で、非生産的なルーティンな授業をやっている。5〜6年前に一時期、大学院の重点化やロースクールを導入したけれど、あれなんか大間違いだった。大学院なんて作ったって、まったく機能していない。そんな事をシンポジウムで言ったら、文部科学省の人間が”おっしゃる通りで……”って(笑)。

堀江:学歴に関係ない人が集まれるようにすると、大きく変わる気がする。資金も僕はネットを経由で趣旨に賛同してもらって、集めたいんです。ビジネススクールには興味ないです。科学技術だけいいです。

池田:日本の社会で何が弱点かというと、役所や金融、労働市場もあるけれど、一番大きいのは教育だと思うんです。

教育は全世界的に見直しが叫ばれているけれど、日本の教育システムは、特にアカデミズムと現実とのギャップが大きい。

底辺レベルは、それをビジネスの実体に即して再編する必要があるし、一方でエリートは堀江さんが言う通り、世界に打って出るような既存の大学とは違う枠組みを作ればいい。大学で詰め込むことに意味はないと思う。ちゃんとした知識を育てるような、別の仕組みをつくる必要があると思います。口で言うのは簡単だけれど、なかなか出来ることではありません。

でも、日本が酷い状況から立ち直るひとつのきっかけがあるとすれば、教育を立て直すことだと考えています。今日はありがとうございました。

堀江:ありがとうございました。

---
日本の社会システムにや日本人そのものについて、諦めにも似た表情を浮かべながら池田氏の質問に答えていた堀江氏。
2年半後、出所した堀江氏に、再び"そのときの日本"についてインタビューしたいと思う。

http://news.livedoor.com/article/detail/5555535/?p=15

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

政治の動き 更新情報

政治の動きのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング