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政治の動きコミュの91.企業内の組織的な問題〜iPhoneをつくれなかった日本企業   「日本企業はiPhoneやiPadをなぜつくれなかったのでしょうか?」

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 「日本企業はiPhoneやiPadをなぜつくれなかったのでしょうか?」そう切り出した一橋大学 商学研究科の神岡太郎教授は、『最高のパフォーマンスを叩きだす、次の時代のマーケティング組織』と題したMarkeZine Day Premium 2010の講演で日本企業が内包する組織的な問題を指摘。日本企業がグローバルで戦えるマーケティング力を身に付けるには、しっかりとマーケティング・マネジメントを浸透させ、フレームワークを整えた次世代型の組織に変わっていかなくてはならないと訴えた。

 冒頭の発言に続いて神岡教授は、iPhoneが登場する以前から、ある日本の携帯キャリアはスマートフォンに注目していたと明かす。

 「いろいろな調査をしていたようですが、どうにも『スマートフォンが欲しい』とは消費者から言われなかった。ぼんやりと市場・顧客のことが見えてけれども、意志決定するのに十分な根拠のある情報が見えていなかったのです」

 対してAppleは、市場・顧客の頭の中で顕在化しつつあったニーズを読み取り、独自に築き上げてきた“Appleの世界”に顧客を誘導。「商品そのもの=価値」ではなく、商品にサービスやプラットフォームを組み合わせて価値を生み出し、“Appleの世界”を実現させた、とその手腕を高く評価した。

 iPhoneのケースでは、日本企業のどこに問題があったのだろうか。神岡教授は「企業として市場・顧客が本当に見えていたのか」と疑問を投げ掛け、市場・顧客の顕在的/潜在的なニーズを捉えられるよう、企業活動をシステマチックに結び付けて機能させることが重要なのだと説く。

“小さな足し算”では“掛け算以上の構造変化”についていけない

 神岡教授は日本企業の抱える組織的な課題の1つとして、顧客・メディア・企業の関係についても例に挙げている。

 「マス4媒体のオールドメディアと、インターネットなどのニューメディアがある。変化が大きいのはニューメディア側なんですね。それに対して企業側はどうかと言うと、従来のオールドメディアを基本にしたマーケティング組織のまま。オールドメディア向けに人員も多く配置されていますから、ニューメディアに予算を回そうとしても、大きな組織を守るため、だいたい反対されます」

 もちろん、そのような問題が起こってしまっているのなら、企業は変化しようともする。ただし、その変化は少しずつ変わっていく“小さな足し算”。だが、ニューメディアで起こっている変化は足し算では追いつかない“掛け算以上の構造変化”なので、日本企業の対応が後手に回っていると警鐘を鳴らした。


 マーケティング面における日本企業の問題を例示した神岡教授は、続いて次のような問題点に触た。

•「マーケティング」の定義があいまい
•“現場マーケティング”に陥りがち
•属人的で組織的なマーケティングができていない
 それぞれ、どのような弊害を招いているのだろうか。

http://markezine.jp/article/detail/13012

『定義無し・現場主導・属人的』日本企業の問題点

 まず1つ目の問題点。「マーケティング」と一口に言われるが、その定義が企業によってバラバラになっていることだ。ただ、多くの企業ではマーケティング部門には「事業部門を支援する」ことが求められている。よって、その役割は広告などの販売戦略に限定されがち。マーケティング部門が事業部門の下請けになってしまっているのだという。

 「今の企業は、市場・顧客に基づいてビジネスを考えないといけない。マーケティングがビジネスそのもの。根幹を担わないといけないのに、下請けになってしまっているのです」

 しかも、事業部門の側もマーケティング部門が下請けになっている現状を好ましく思っているわけではない。神岡教授がメーカーの現場でヒアリングしてみた結果、マーケティング部門から市場・顧客の情報を流してほしいのに、情報が届かず、どんな製品を作ればよいのだろうかと頭を抱えてしまっていることが明らかになったという。

 そんな課題を抱え、日本企業は自然と“現場マーケティング”というスタイルを生み出すことになった。

 「決して否定的な意味では無いので誤解しないでほしいのですが、日本の現場マーケティングが海外のトップクラスのマーケティングに負けているわけではありません。いろいろなマーケティングの施策を見ても、質的には劣っている気がしないのです」

 現場担当者が柔軟に市場・顧客の情報を収集し、自らの判断で必要な行動を取る。そのスタイルは国内の市場に限っては、日本企業の強みにもなってきたという。

 ただ、それぞれの現場では負けていなくても、現場マーケティングだけしか行われていない日本企業では、組織の中で横のつながりが育ちにくく、マネジメント層にも報告が上がりにくい。

 従って、現場マーケティングだけに頼っていると、固定された現場目線でしか市場・顧客が見えなくなってくる。そして、短期間でコロコロと変化する市場・顧客の声を真摯に受け止めすぎると、商品を次から次へと無闇に生み出してしまうことにつながりかねない。すると、何百〜何千という商品が誕生することになり、ニッチなマーケットだけを相手にビジネスをすることになるという弊害が生まれてしまう。

 神岡教授が最後に挙げたのは、日本企業のマーケティングが属人的になってしまっているという問題。日本企業では組織的にマーケティングに取り組めていないため、個人のパフォーマンスに頼ってしまいがち。1人の有能なマーケッターが難局を打開してくれる可能性は否定できないものの、1人に頼ってしまっていては企業として一定水準以上のパフォーマンスを安定的に発揮しづらい。組織に蓄えられているノウハウに従って、良くも悪くも金太郎飴のようにパフォーマンスを発揮できる海外企業と比べると、どうしても波ができてしまうことになる。

マーケティングのマネジメントとフレームワークを浸透させ、次世代型の企業組織に

 日本企業が抱えるそうした問題を解決するためにはどうすれば良いのだろうか。神岡教授は「答えは1つではなく、厳密には個別の議論になる」と補足はしているものの、“マーケティング・マネジメント”、“マーケティング・フレームワーク”の2つの概念がカギになるとした。

 “マーケティング・マネジメント”とは、個々のマーケティング活動に目を向けるのではなく、マーケティングの戦略立案と、戦略を実現するために行うマーケティング活動のマネジメントに力を注ぐこと。

 「社長など、上の肩書きであればあるほどマーケティング・マネジメントの要素が必要で、下に行けば行くほど現場マーケティングの要素が必要。ただ、現場マーケティングを企業として本当に機能させていくためには、マーケティング・マネジメントが機能していないとダメ」と神岡教授。

 しかも、マーケティング・マネジメントは個人レベルで行うものではなく、企業規模で取り組むべきもの。神岡教授は、この考え方を“エンタープライズ・マーケティングマネジメント”と呼んでいる。横串で事業部横断的に機能させ、トップのマネジメント層が率先して取り組むことで、初めて“小さな足し算”ではなく、“掛け算以上の構造変化”に対応できる企業へと変質できるのだという。

 そして、“マーケティング・フレームワーク”をつくり、システマチックに機能するように社内を整備すること。

 具体的には、責任・役割を明確にした上で最高マーケティング責任者(CMO)のような職務を設け、組織内でのレポートの流れ・意志決定権の所在を明確にするガバナンスを徹底させて、情報システムと一緒にプロセスや戦略を標準化し、基盤となるキャリアパスなどの仕組みを整える――。そうすることで企業経営者をはじめ、企業全体で「市場・顧客がどうなっているか」が初めて分かるようになり、「iPhoneやiPadが市場・顧客に必要とされているのか」と判断ができるようになるという。

 「アップルのように、潜在化しているのか、顕在化しているのか、分からないニーズをどうやってつかまえてくるのか。現場だけでは不十分なので、マーケティングをマネジメントする仕組みが必要になるのです」とまとめた神岡教授。

 グローバルに戦っていけるマーケティング組織を整えるには、本社はマネジメントに特化して、個々のマーケティングや意志決定はローカル単位で任せること。ただし、その体制に移行するのは、ローカルごとの対処を考える上での拠り所となるフレームワークを整えておいてからのことだ。

 それこそがパフォーマンスを発揮できる次世代型の企業組織なのだと神岡教授は講演を締めくくった。

http://markezine.jp/article/detail/13012?p=2

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