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政治の動きコミュの83.第10回 続・大変革を生かせ

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グローバル化の主戦場はアジア

 国内は少子化で市場が縮み、世界では新興国と厳しい競争を強いられる日本企業。生き残るには何が必要で、何をすればよいのか。

 日本IBMが企業トップを集めて開いた「GO GLOBAL」フォーラム。東京大学大学院経済学研究科の伊藤元重教授が示した処方せんは「オンリー・ワンを持つ」「変化を先取りするビジネス・モデルを構築する」「ITをビジネスに生かす」の3つだ。

 「新興国の台頭を嘆くのではなく、近隣に大きな経済圏が誕生することをチャンスと捉えよ。これから日本企業は国内外で壮絶な生き残り競争を強いられるが、生き残った企業は非常に強い力を持つ。時間はあまりないが、来るべき日本経済の大変換点に備えて足腰を鍛えておけ」

 これが伊藤教授のメッセージだ。

 グローバル化を考える上で重要なのは、国ではなく「アジア」という地域を意識すること。「グローバル」の語源は地球だが、経済現象を考える時、地球サイズは大きすぎる。例えば、ブラジルは1度行くと5年は行きたくなくなるくらい遠いが、香港な1泊2日で気軽に行ける。現実の経済現象も、グローバル化は北米地域、ヨーロッパ地域、アジア地域(アジアを含む環太平洋地域かもしれないが)、いずれも主戦場は「地域」だ。

 10年前、アジア地域でGDPの1番大きな国は日本で、2番目の中国は日本の三分の一にすぎず、韓国は七分の一か八分の一だった。現在、中国のGDPは日本に並び、韓国も相当追い上げてきている。

 「今のペースで行けば、20年後、アジア地域には日本より大きな経済力を持つ国・地域がおそらく3つは誕生している。中国、インド、ASEANだ。日本が小さくなるのではなく、同じ地域に非常に大きな経済圏が誕生する。アジア地域で日本が圧倒的に大きな経済力を持っているという過去の残像は捨てなければならない」

空洞化はチャンスになる

 これは悲観すべきことではない。伊藤教授はノーベル経済学賞を受賞した「貿易における引力の法則」という研究を引き合いに、その理由を説明する。

 「引力は重量に比例し、距離に反比例するが、貿易にも同じ現象が見られる。2国間の貿易額も、両国の距離が近いほど、経済規模が大きいほど、多くなるのだ。これはオランダのティンバーゲンという経済学者が明らかにした経済法則だ」

 日本の貿易輸出入額はGDPの約30%。これに対してドイツは72%に達する。相対的規模でドイツが日本の2.5倍もの貿易をしている理由は簡単だ。ドイツの周りにはフランスがあり、イギリスがあり、イタリアがあるからだ。ドイツはこういった国々と取引をして稼いでいる。

 10年前、アジア地域に大きな経済圏はなかった。日本は遠くの北米やヨーロッパと貿易をするしかなく、「引力の法則」に従って、貿易では大きく稼げなかったのだ。しかし、状況は一変した。

 今後、近隣諸国の経済規模が大きくなるということは、日本の貿易依存度や海外投資額が増えることを意味する。輸出は増え、輸入はもっと速いスピードで増える。

 「空洞化で日本経済がダメになるという視点ではいけない。これは日本の産業にとってピンチでもあるが、ノーベル賞の学説を信じるならチャンスでもある」

大量に作ってももうからない
 グローバル化が進む中、日本の産業が進むべき方向を考える時、役に立つ絵として伊藤教授が提示するのが「スマイル・カーブ」だ。

 スマイル・カーブは「スマイルマーク」の口ような曲線で、製造業における利益構造、つまり、上流工程と顧客と接する下流の利益率は高く、中流の組み立て作業の利益率は低いという現象を説明するのに使われる。

 元々は台湾のパソコン・メーカーであるエイサーの創業者、スタン・シー氏がIT業界のビジネス構造を説明する時に使っていた図だが、「近年、あらゆる国内産業で同じ現象が顕著に見られる」と伊藤教授は指摘する。

 大量のモノをより効率的に安く作るという中流工程は日本のお家芸であり、もうかる工程でもあった。しかし、グローバル化と技術革新で、もうからない工程になってしまった。

 こんな例がある。豊田自動織機が横糸を空気の力で運ぶという最新鋭の織機を開発したところ、国内では全く売れない。しかし、中国や東南アジア諸国ではよく売れる。良い織機を使えば国籍、性別に関係なく、誰でもボタンを押せば同じ製品が作れてしまう。同じ機械で作るなら人件費の安いところで作る方が有利に決まっている。これが技術革新の怖いところだ。グローバル化の進む世界で、機械にできることをやっていてももうからないのだ。

http://www.yomiuri.co.jp/net/global/20101224p01.htm

上流と下流にはチャンスがいっぱい

 スマイル・カーブの上流、中流、下流、それぞれのステージでどこを目指せばよいのか。

 上流では、ブランドでもデザインでも技術でも製品でも、アジアのほかの企業に負けない何かを持つこと。そうすれば、アジア経済圏の拡大はむしろ追い風になる。

 「1つの例が広島の高級デニムメーカー「カイハラ」。同社は日本のデニム生地のシェアの半分を握り、ユニクロの3000円ジーンズにも、イタリアの高級ブランド、ベルサーチの30万円のジャケットにも生地を供給している。高性能の織機があれば誰でも生地が作れる時代になっても、カイハラにしか作れない生地があればもうかるのだ。オンリー・ワン技術があれば、上流にはものすごいチャンスがある」

 下流で成功する条件は、製品とブランドとビジネス・モデル、この3つのバランスが取れていることだ。

 例えば米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」。日本メーカーにも高性能な音楽プレーヤーは作れたが、ネットで音楽を配信するというビジネス・モデルを作ることができなかった。そしてiPodはブランドとなり「iPhone」が生まれ、「iPad」につながった。

 ユニクロも下流で成功した好例の1つだ。伊藤教授は自宅のそばのユニクロを訪れた時、ある品番の商品が1時間にどれだけ売れるかを観察したそうだ。

 結果は150点。単純計算だが営業時間を考えると1日で1000点、1カ月なら3万点だ。ユニクロは全国に1000軒の店舗があるので、月3000万点が売れることになる。

 これだけの販売数量を前提に東レと相談して、大ヒットした機能性肌着「ヒートテック」を作り、売り切る。ユニクロだけでなく、ニトリやイケアのように製造も手がける小売業(SPA)のビジネス・モデルの特徴は、価格が安いにもかかわらず利幅が大きいこと。

 他社がユニクロをまねるのは容易ではない。ヒートテックのような機能性肌着を作ったとしても、全国に1000の店舗を作り、ユニクロに匹敵するブランドを確立しなければ太刀打ちできないのだ。

 同じ製品でも旧来の流通で売るのと、ビジネス・モデルを整備して売るのでは、もうけがまったく違うわけだ。ビジネス・モデルがあれば下流にもチャンスがある。

ビジネス・モデルに変化を組み込め

 そのビジネス・モデルをどうやって作ればよいのだろう。

 伊藤教授は、将来どんどん広がっていくモノを先取りしてビジネス・モデルを作っていくことが重要だと説く。

 「天才なんていない。企業トップがウンウンうなって、ある日、これだ!と思いついて実行に移したら成功する、そんなビジネス・モデルなんてあるわけがない」

 ユニクロは、いち早く、グローバル化を見据えてSPA(製造小売業)というビジネス・モデルを構築した。グローバル化はビジネス・モデルを磨くキーワードの1つだ。2つ目のキーワードはIT。10年前はなかったクラウドのようなITインフラをどうやってビジネスに活用するかが企業の命運さえ左右する。3つ目は少子高齢化や環境意識の高まり、安心安全といった社会の変化だ。

 ビジネス・モデルは業種・業態によって異なるが、成功を収めるには、グローバル化、IT化、そして少子高齢化といった変化を先取りし、組み込んでいくことがこれまで以上に重要になってきている。

生き残った企業は競争力を持つ
 中流工程はどうなるのだろう。キリンビールは8月に石川県の工場を閉鎖した。石川県の生産年齢人口は、これからの20年間で3割減ることが予想されている。これはビールメーカーにとって市場が3割縮小することを意味する。工場閉鎖はやむを得ない判断だろう。

 一方、石油元売り大手のJXホールディングによるとガソリンの需要は足元で年3.5%減っているという。これも10年減り続けたら35%減だ。

 効率的にモノを作り、大量に売ることを追求してきた中流工程の伝統的国内産業は、これから想像を絶する早さで縮小する国内市場に直面することになる。加えて中流工程は新興国がもっとも得意とする工程だ。

 伊藤教授も講演の中で明確な処方せんは示していない。しかし「これから10年で国内市場は2割小さくなったとしても、すべての企業の売り上げが2割減るわけではなく、生き残り合戦の末、2割の企業がいなくなる。8割の企業は残るわけで、暗く考えることはない。残った企業は非常に強い競争力を持っているはずだ」(伊藤教授)。

 次回は講演の後に行われたパネルディスカッションで示された「企業が描くべき前向きなグローバル戦略」について紹介しよう。

http://www.yomiuri.co.jp/net/global/20101224p02.htm

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