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ギプスフェチ ver2.0コミュの自作小説供養

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完成したらどこかに投稿しようと思っていたもののまとめきれず、放置していたので供養としてここに投降します。



カチャッ、カチャッ、

「はぁ、ふぅ」

彩香は松葉杖を甘く考えていた。

左足がシーネと包帯で固定され松葉杖で移動するのは

彩香の体力を想像以上に奪っていた。



ちょうど今下車した駅は、自宅からの最寄駅だが支線で、利用者の数のわりに駅の設備は貧弱で

未だバリアフリー化されていなかった。



2つ前の幹線の主要駅であれば、バリアフリー化もされておりタクシーも常時待機してるのだが、

定期券を持っていることや、タクシーの場合迂回する必要があり距離の割にお金も時間も

かかることから最寄駅まで電車を使うことにした。

エスカレータやエレベータが無いどころか階段も急なため、松葉杖をついての移動はきつく

節約の為に2つ前の駅で降りなかったことを後悔していた。

怪我をした足を地面に着かないようにと言われていたが、ずっと足を揚げているのもつらく何度も着いてしまったため

足首を固定しているシーネは汚れ、包帯は所々擦り切れてしまった。

それでもようやく、階段を下りタクシー乗り場にたどり着くことができた。



乗り場に待機していたのは1台だけだったが、幸いタクシー待ちをしている人はいなかったため

待たずに乗れ、松葉杖をついている彩香を見て運転手はわざわざ車から降りて肩を貸してくれた。

遠慮しようかと思ったが、女性ドライバーだったため好意に甘えることにした。



「大変ですね。骨折ですか?」

「いえ、捻挫です。でも重症といわれて。とりあえず○○スーパーの方に向かってもらえますか。」

「○○スーパーですね。」

そういいながら、ドライバーは表示を賃走に変えて車を走らせ始めた。



「病院からの帰りですか?」

「いえ、東京で友人と遊ぶ予定だったんですけど、途中で足をひねってしまって。」

「それは残念でしたね。」

「それにしても、松葉杖大変でした。××駅からタクシーつかえばよかったです。」

そう彩香が話すとドライバーが

「私も昔足を怪我した時に松葉杖大変だった覚え有ります。」

「たまに見かける人は結構スタスタと歩いていたのでこんなにきついとは思って無くて。」

「同じこと思って医者に聞いたんですよ。

 そしたら、体力が無かったり不慣れな人はあまり出歩かないから見かけるのは

 もともと体力があったり、慣れてきた人ばかりになるからっていってましたよ。」

「そうなんですか、確かにそれだと普通に歩けるように思っちゃいますね。

 それにしても、お金がかかって大変です。松葉杖も返せないから、買い取りじゃないといけなくて。

 杖は人が使ったものをって考えると新品になる買い取りでよかったかもしれませんが・・・」

「治ってからも時々痛みが出ることがあるから杖は合った方が便利ですよ。

 私も今でも痛みが出ることがありますから。ご年配の方が使っているような杖もかさばらなくて

 便利ですけど、電車とかだと気づかれにくくて松葉杖の方が席を譲って貰え易いですし。」

「そうですね、悪い方向ばかりに考えていたので、そう考えれば少しは気が晴れそうです。」

「よかったです。そろそろ○○スーパーですけど・・・」

ドライバーと話しているうちに目印のスーパーが近づいてきて来たため彩香はその先の道を説明した。

「あ、スーパー手前のあの信号をみぎに曲がって貰って3つめの交差点を左にはいってすぐのマンションです。」

「わかりました。あの信号を右、3つ目を左ですね。」

・・・

「到着しました。△△△△円になります。はい、ちょうど頂きます。あぁ、支えますので待っててください。」

そう言ってドライバーはわざわざ車を降りて彩香の側まで来て降りるのを支えてくれた。

「わざわざありがとうございます。」



彩香の住むマンションは、バリアフリーを考慮されエレベーター完備の為エントランスから部屋までは得に苦労はしなかった。

部屋につきすぐにPCで病院を探すと徒歩10分くらいのところに整形外科があることが分かった。

後20分ほどで今日の診察が終わってしまうため、急いでいくことにしたが松葉杖では間に合わないと思い、電話することにした。

「はい、◇◇整形です。」

「伊藤と申します。本日診察を受けたいのですが、終了時間に間に合いそうにないのですが診察してもらえますか?」

「どうされましたか?内容を聞いて先生に聞いてみます。」

「旅行中に足を捻ってしまって、旅行先の病院で処置してもらったのですが帰ったら近くの整形外科でみてもらうよう言われてまして。」

「歩ける状態ですか?」

「いえ、シーネでしたっけ?板で固定してもらって松葉杖です。」

「先生に確認してみますので、お待ちください。」

♪♪〜♪

「お待たせしました。診察してもらえます。松葉杖だと危ないですから急がずにゆっくり来ていただいても大丈夫ですよ。

 前の医院でレントゲンの写真などがありましたら持ってきていただけますか?あと、できればスカートをはいてきて頂いた方が

 いいです。」

「わかりました、前のところでもらった書類まとめて持っていきます。」

「入口の電気が消えてるかもしれませんが、そのまま入っていただいて大丈夫です。気を付けてきてください。」

「丁寧にありがとうございます。」







「レントゲンを見る限りでは骨に異常はないですね。」

「よかった。」

「ですが、靭帯をひどく損傷しているのでしっかりとした固定が必要です。

 今は未だ腫れているのでこのままシーネ、この板で固定して腫れがひいたら

 ギプスにします。」







エレベーターがあるのだが、点検中で使用できなかった。

幸い彩香の部屋は2階で、1階分くらいならゆっくり降りれると考え、

階段を使うことにした。



しかし、その判断を彩香は後悔することとなった。

台風は通過したがまだ風が強く、ちょうど階段を降りようとした彩香に風が吹き付けた。

バランスを崩した彩香は体制を立て直そうとしたが、階段は昨日の雨でぬれていたため松葉杖が滑り

負傷していた左足をついてしまった。

「痛っ。あっ・・・」

シーネで固定されているとはいえ、痛めた足では踏ん張ることができず、彩香は倒れてしまった。



痛みでとっさに膝を曲げてしまったため、左足首はちょうどお尻と階段の角に挟まれ

ゴリッ、ブチッという音とともに更なるダメージを負った。

「ぎゃぁぁ」



しかし彩香の受難は終わらなかった。

そのまま滑るように階段を落ちていき、最初に右足で着地した。

着地といっても、足の裏でしたわけではなく小指側であったため

グチッという感触とともに足首を捻ってしまった。

次いで左膝で着地したが、不幸なことに最初の転倒時に落としたキーホルダーが

ちょうど膝の下に入ってしまいその一点で衝撃を受ける形となり、

バキッという音がして膝の骨が砕けてしまった。



「かはっっ、はっ、はっ」

彩香はあまりにもの痛みに声すら出せず、浅い呼吸をすることが精いっぱいだった。









足首の靭帯はストレス検査と呼ばれる関節の可動域を調べる検査だ、痛めた関節を無理やり

動かすため相当な痛みを伴う。それを両足にされた彩香はたまったものではなく、

痛みのあまり失禁した上、検査が終わるころには涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになっていたが

自分の痴態を気にする気力すら残っていなかった。



検査の結果

右足は第五中足骨の骨折と足関節外側靭帯が部分断裂しており

左足は脛骨と腓骨の完全骨折と足関節外側靭帯が完全断裂したうえ膝蓋骨が粉砕骨折していた。



彩香はストレッチャーに乗せられたまま、処置室に運ばれて行った。









一週間後、足の腫れも引いたことから両脚にギプスを巻くことになった。



左足はシーネで固定していた時と同様に膝をやや曲げた状態で太腿から指の付け根まで

ギプスを巻かれていった。

左足にギプスを巻き終ると医者は右足も同様に膝上までギプスを巻き始めた。

さらに、ただ巻くだけでなく膝の前後を手のひらで押し付けるようにしていた。

右足のシーネは膝下だけだったのもあり、彩香は疑問に思って尋ねると、

「一度太腿まで巻きますが、余分な部分切り取って膝を曲げれるようにします。

 処置が終わったら、それも含めて診察室で説明します。」

との答えをもらった。



ギプスが固まると左足は、チューブ包帯と下巻き材を折り返してテープで留められたが

右足は、つま先の方だけ同様の処置をされた。

「今から、膝から上の部分切り取りますね」

と医者はギプスカッターのスイッチを入れながら声を掛けた。

音が大きくびっくりしたものの、

「柔らかいものは切れないんで大丈夫です。」

と医者が自身の手に当てて実演してくれたため安心した。



医者はギプスカッターを使い、先ほど言ったとおり

後ろ側はひざ下まで、横と前側はひざを覆う形にカットし

膝の屈伸ができるかと、ギプスのふちが当たって痛いところがないかを

確認するとしたまきを折り返してテープで留める処置をした。

さらに、黒色のゴムでできた下駄の歯のようなものを

右足のギプスの上から足の裏にあてて新しく出したギプス包帯を使って固定していった。

「右足は地面に着けてもいいですがギプスのままだと削れてしまうのでゴムのかかとを付けました。

 さきほどの事も合わせて診察室で説明します。」



処置が終わると、車椅子に乗せられ診察室に移動した。





さらに一週間後、経過も良好なことから退院することなった。

ギプスを巻いた後にリハビリとして松葉杖の使い方を練習していたため

診察(退院後の注意点などの説明)と手続きだけですんだ。







2週間後ギプスの巻き直しと診察の為、通院することになった。







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ギプスが外れてから急に彼は疎遠になる

リハビリに付き合ってもらったときに装具で歩行訓練や義手の訓練を

している女性をちらちらとみていたり、ギプスをしているときにしきりに足を触ってくることもあり、





そう考えた彩香は、またけがをすれば彼が自分を向いてくれると考えるようになる。



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“骨折とか治っちゃう怪我じゃ彼が離れちゃう。切断とかになれば・・・”



“電車にうまく飛び込めば・・・でも失敗すれば死んじゃうし、いろんな人に迷惑がかかっちゃう・・”

彩香は次第に危険な考えをするようになっていったがかろうじて理性がそれを抑えている状態だった。





ある晩、残業でにいつも通りに駅のホームで電車を待っていると、



酔っぱらった中年男性が、





“このまま、足を線路に乗せたまま・・・”

そう彩香が







目が覚めるとそこは、数か月前と同じ天井が見えた。

起き上がろうとすると両脚から激痛が走り呻き声を上げた。

その声に看護師が気付いたのか医者を呼びに行った。



「伊藤さん、駅のホームから転落したことは覚えていますか?」

「はい、男の人に突き飛ばされてそのはずみで・・・。それより足が痛くて・・・」

医者と看護師は一度めを合わせて。

「伊藤さん、落ち着いて聞いてください。」







「え、両脚ですか・・・」



彩香の下半身には薄手の布団が掛けられていたが

左足はすねの中間まで、右足に至っては膝の少し上までしかふくらみが無く、

その両脚にちらちらと視線を向けている彼を見ながら

「あはっ。これで、彼は私から離れられない。」

そう言って彩香は笑みを浮かべるのであった。

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