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スターリングラード攻防戦コミュのスターリングラード

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この戦いで9万1千名がソ連軍の軍門に下ったと言われている。生き残った者たちは、長い長い列をなして、徒歩で収容所まで歩かされた。
 そこには、かつて欧州を破竹のごとく席巻した精鋭部隊の面影はなかった。
 彼らは、ソ連兵士の銃の台尻で殴られ殴られ、凍傷で傷ついた足を引きずりながら、収容所までの長い道のりを、ひたすら歩かされたのである。
 途中で歩けなくなった者は、そのまま見捨てられた。見捨てられた者は、まもなく殺されるか、屍となって朽ち果てるのである。
降伏文書の署名にあらわれた第6軍司令官パウルス大将(降伏直前になって元帥に昇格)

 かつての上官が、「見捨てないでくれ! 俺を一緒に連れて行ってくれ!」という助けを求める悲壮な声も、荒廃した大地に空しくかき消えていくだけであった。
 もはや他人に関心を払う者などなく、誰の耳にも聞えぬようであった。
 しかし、彼らにも悲惨な運命が待ち構えていた。収容所についてまもなく、発疹チフスが大流行し、ほとんどの者が死に絶えるからである。
降伏したかつての精鋭兵士たち、この後、ほとんどの者が生き長らえることすら出来なかった。
 生き抜いた者も、強制収容所内での過酷な重労働が待っていた。戦争が終わってからも解放されず、祖国ドイツに帰ることが許されたのは、数年も経ってからで、それもわずか5千人足らずに過ぎなかった。最初、33万人以上もいた大軍団がことごとく死に絶えたのである。あまりの悲劇の大きさに言葉も出ないとはこのことを言うのであろうか。戦後、スターリングラード市内から掘り出された遺体は、ドイツ兵のものだけでも18万体以上もあったと言われている。
 第二次大戦が始まると同時に、電光石火の勢いでポーランドを下して世界を驚嘆させ、次いでフランスをも征服し、ヨーロッパを破竹のごとく席巻してドイツを勝利に導き、向かうところ敵なしと言われたドイツ軍の最精鋭部隊はこうして消滅していったのであった。

 かくして、スターリングラードの悲劇は幕を閉じた。翌日、べルリンの放送局は、この事実を国民に伝えた。「第6軍は、最後の瞬間まで戦った。しかし、敵の圧倒的兵力の前に健闘も及ばなかった」続いて、重々しくベートーベンの第5交響曲「運命」が流れた。その旋律は悲壮感に満ち、荒廃したロシアの原野にまで響いていくように思えた。その日、ベルリンの総統官邸では、ヒトラーが思い詰めたように、数時間もそのままの姿勢で、自分の指先をじっと見つめていたという。
 この戦いで、ドイツは、150万人以上の兵士の他、かけがえのない何千という大砲や戦車、航空機を失った。これはドイツの年間生産量の6割強にもあたるものとされ、75個師団を装備するに値する兵力であった。全く、取り返しのつかない大敗北であった。結局のところ、ヒトラーはコーカサスの油田地帯もスターリングラードも手中にすることは出来なかった。彼は二兎を追い過ぎたのである。トルコを枢軸側に引っ張り込み、イランに抜けてイギリス勢力を駆逐し、さらに中東の資源を手に入れ、インドで日本と手を結ぼうとした雄大な野望も露となってはかなく消え去ってしまった。

 スターリングラードの敗北後、ドイツには、もう、攻勢に出る力は残されていなかった。ヒトラーは予備の駒もすべて使い果たしていたからである。後は、場所も時も選ぶことも出来ずに、ただ、連合軍の都合に合わせ、相手の決めた戦場で、引きずられるようにひたすら守勢一方に回らねばならなかった。しかし、こうした悲劇も、ドイツ国民にとっては、もっと、恐ろしい運命が起こる序曲に過ぎなかった。

 スターリングラードで破れて2週間後、ゲッペルスは、国民の前に姿をあらわし総力戦を訴えた。
「諸君は、降伏を望むか?」
 このゲッペルの問いかけに国民はいきり立って、「ナイン(否)!」と答える。誰しも、20数年前の屈辱を二度と味わいたくなかったのである。ゲッペルスは叫ぶ。
「諸君は、総統に従い、例え、いかなる犠牲を払おうとも、我が神聖なるドイツから敵を蹴散らし、勝利の日まで戦い抜くことを誓うか?」
宣伝大臣、ヨゼフ・ゲッペルス博士、敗色濃厚になってからは、ヒトラーに代わって、国民の前に姿を見せた。 「オー!」ゲッペルの問いかけに答えるように、怒濤のような民衆の叫びがこだまする。
「いざ、国民よ、立て! 今こそ、嵐を巻き起さん!」
 国民は、ゲッペルスの巧みな演説に陶酔し、熱狂的になって割れんばかりの拍手で答える。しかし、それは、もはや後戻りの出来ない恐ろしい選択でもあった。
 この時、まもなく、生活そのものが戦争と一体化し、凄惨な本土決戦となることを予想した者はまだ誰もいなかった。やがて、子供や女性、老人までもが駆り出され、押し寄せる戦車の大群の矢面に立たされる日が来るのである。無差別爆撃によって、ドイツの各都市が瓦礫と変わり果て、そこら中に死体が散乱し、女子供までが戦車のキャタピラで無惨に踏み潰される悲惨な現実が来ることを・・・・

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