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NetCleコミュの小説版『スタンスレジスタンス』

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霊界を舞台にした小説版『マッキーの冒険』と言うべき書下ろし作品。

一応、困ったとき用においておきますな^^


プロローグ

(1)

時は西暦二八〇〇年。
進化を続けた科学の発達によって世界は大いに繁栄し、各国は手をとって協力し合い、社会的に安定した時代が続いた。
もちろん未来予想図の中に思い浮かべるであろう人間とコミュニケーションを取れるドリームメカも技術の発達の中で生み出された。
人間と人間のコミュニケーションとなんら引けをとらないメカである。

その世界の安定は『パックス=ムンディ(Pax Mundi)』と呼ばれた。
『パックス=ムンディ』の中で生きる者を大きく分けると人間・機械・動物(アンティークアニマル(通称A・Aは「古い動物」の意で現代の連想する動物全般を指すものである。)の三種類でありそれらが共存する『理想の世界』が続いた。

しかし、その『パックス=ムンディ』は永久の繁栄ではなかった。
勿論歴史の営みの中で永久などと言う言葉は有り得ない。
簡潔に言うと『パックス=ムンディ』の『消費期限』が迫っていたのだ。それは・・・

『エネルギー資源の枯渇問題』

高度な技術は高度な文明を生み出し、科学力によって統制されるその社会は平和が約束されていた。その一方でその維持に見合う膨大なエネルギー資源が必要であったのである。

だがエネルギー資源は有限である。

考えてみれば当たり前の事だが世界各国の首脳陣は特に対策をしなかった。そのうち科学の力で今に変わる新しいエネルギーの出現を信じてやまなかったからだ。
なんでも科学力で解決できるという妄信。

しかしその出現は成らなかった。

そしてある日、突然それは崩壊した。
バベルの塔の崩壊のように。
平和を共有するべき源、エネルギー資源が底を尽いたのである。
共有分のエネルギー資源の枯渇によって各国の捻出資源にばらつきが生まれ、各国保有のエネルギー資源の差が浮き彫りになった。
そしてついに恐れていた事態が発生した。
均衡が崩れた事で緊張する世界が行き着く先。

戦争。

資源の無い国が資源のある国を襲う。資源のある国も自国の安定をさらに強めるために他の国と争う。
均衡を保てなくなった世界は残り僅かな資源を求めて争い始める。
それが現在(この世界の時間軸)で言うところの第三次世界大戦である。
エネルギー資源を確保するためにエネルギー資源を使って戦う皮肉で無意味な争い。
この世界に神がいるならばその姿はとても愚かな光景だったに違いない。
そんな事はいざ知らず、世界を巻き込んだエネルギー争奪戦争は地球の地形を大いに変え、世界人口の大半を失う悲劇を生んだ。

そして有力『国家』が崩壊した結果、第三次世界大戦は終結し、生き延びた人々が自力で懸命に生きる時代が訪れた。

それはある意味平等な世界の『再生』を意味していた。

人々が助け合いながら自給自足の生活を送る。
人間は元来集まる習性を持っている。
歴史の流れに従うように集まる人々はやがて小規模な村を形成し、国家を形成し始めた。

また世界戦争の影響で生活環境が劇的に変化した事から生態系も大きく変容し、アンティークアニマルの大半は環境に適応出来ずにその姿を消し、新たに『インテリアニマル』(通称I・A「高度な動物」の意)と呼ばれる新生物が誕生することとなった。
インテリアニマルは人間の感情なら理解できる高度な動物や、火を噴いたり、氷を吐き出したりする等、独自の攻撃・防衛手段を持つ動物達である。それは言うなれば、RPGゲームに出現するモンスターがそこらへんに生息しているような状態であろう。
そしてそれに加え、資源に限りはあるものの過去の科学力を駆使した機械(メカ)。

こうして第三次世界大戦以降、人間・動物(I・A)・機械が共存する時代が再び訪れたのだが・・・一度均衡を崩した『世界の平和』はそう簡単に訪れてはくれない。

その歪(ひずみ)は第三次世界大戦中にまで遡る。
第一・二次大戦に共通する戦争の鍵。それは技術力であった。
第三次世界大戦においてもそれは例外ではなく技術力が勝敗を分けるため、エキスパートを集めて独自に新兵器や技術を開発する集団が必要だったのだ。
そしてその戦中に実力を発揮し暗躍したカリスマ集団。

研究財閥コード『Dr』

組織を支えた戦争が終結した後も『Dr』は、その圧倒的高度な技術力と資金を元に各国の残兵・傭兵を組み込み、軍部を内包する一大組織を結成した事で、世界征服に乗り出したのである。
僅か四半世紀の間に世界の半分以上を支配した『Dr』の軍部(通称『Dr』軍)は、占領下の人々の自由を奪い、従属させる強制的な支配を行った。

勿論その不当な支配に反対する人々は出現する。

自由を『Dr』軍に奪われたくない人々が、占領された土地から非占領地域へと亡命し、自由を確立するべく立ち上がる本格的な『Dr』軍への抵抗運動が勃発。そして支配に抵抗する側も人員を確保した事で一組織『ワーポ』(World Autonomy And Preservation of Organization)を結成するに至った。

人々はその組織を『レジスタンス』と呼んだ。

かくして世界は大きく分けて
研究財閥『Dr』に従属する勢力。
『Dr』に抵抗する『レジスタンス』。
そして独立領土(独立国家等含む)。
の三種類に分かれることとなった。

それぞれの国家や組織が独自の信念・私欲・想いを持って複雑に絡み合う世界。

この世界はそんな複雑な世界情勢が絡み合う最中の西暦二八〇〇年。
そしてこの物語は第三勢力である独立自治体のアニシル村に生まれたリョーマン=マッキノンという十六歳のレジスタンスの青年を中心とした『遠未来の物語』である。

コメント(2)


第一章 霊界 闇子〜招待状〜

(1)宮眠暁を覚えず

チュチュチュン・・・

小鳥のさえずりが聞こえる。
目を閉じていても木漏れ日の明るさを感じるのがわかる。
ベッドの中から出たくないという感情を抑えつつ本作品の主人公であるリョーマン=マッキノンは目覚めた。場所は西モッツァレラ帝国の首都モッツァレラ。彼がいるのはその宮廷にある客間の一室。客間の一室とはいえその部屋は非常に高そうな家具に囲まれていて、朝の木漏れ日が半透明のカーテンの隙間を縫って差し込まれる。

「・・・朝か」

「木漏れ日=自然の目覚まし時計」といったゆるい方程式が自然と組みあがりつつある幸せな朝。
そんな朝がここ数日のあたりまえになっていた。
彼の名はリョーマン=マッキノン。
マッキーというあだ名を持つ十六歳の少年である。

彼はごく普通の青年である。

高機能の銃弾をも弾くアニシル高原の希少動物「アロマジロ」から作った鎧(よろい)を身につけている事、アニシル村の村長直伝の格闘術を会得している事、そして感情の抑制が効かなくなったときには本人に自覚の無い『謎の力』を振るう事以外は。

と、『イレギュラー』な補足情報を充填しつつその少し『イレギュラー』なごく普通の青年のここ数日の朝(木漏れ日モーニング)は今までの旅の中でもっとも平和な朝であると言っても過言ではない。

そもそもベッドで寝るという安息な時間を持つ事自体、村を出発してから初めての出来事である。故にこの部屋のベッドはマッキーにとっての『ファーストベッド』とでも言っておこうか。(そう言われてそのベッドが喜ぶのか?という事は議論しても仕方が無いので割愛する。)
この普通の青年にとっての『ファーストベッド』が宮廷特注のふかふかベッドなのだから申し分ない。マシュマロのようにやわらかい掛け布団の中には『桃色シルク鳥の羽』でもたっぷり詰まっているのだろう。それ以外にもそんな高級誘惑家具たちが容赦なくマッキーに襲い掛かる。

「・・・眠い」

起き上がろうとする身体が引力以上の力によって布団に吸い込まれそうになるが、彼は必死の思いでそれに抗い上半身を起こす。
ベッドで座るような態勢にありながら眠気眼のマッキーは稼動しきっていない頭をなんとなく使ってボーッと思い浮かべる。
ちょっと『イレギュラー』な普通の青年が今日まで体験してきた『非凡』な日々の事を。
(2)

マッキーは第三勢力アニシル村出身のレジスタンスである。
アニシル村は人口僅か数十人の小さな村で世界勢力図的に言えば独立領土である。
しかしながらアニシル村は村長を含め、レジスタンスに加盟している村民が多くいることから第三勢力とはいえ、レジスタンス寄りの独立領土である事は間違いないと言っていいだろう。
その事が原因なのか、アニシル村はしばしば『Dr』軍の侵攻の対象となっていた。
大きな侵攻は二回。

今から十五年前の西暦二七八五年の第一次アニシル村征伐。

この時の攻撃で村の半数は『Dr』軍に虐殺され、その混乱でマッキーの両親は行方不明となった。
無論マッキーは僅か一歳である事から彼自身にこの時の記憶はないのだが、『Dr』軍によって家族が消息不明になっていることは知っているし、五年前にもマッキーを育ててくれた大切な人を『Dr』軍の陰謀によって目の前で失った記憶は嫌なぐらい鮮明である。
故にマッキーは『Dr』軍を憎んでいる。目の前の大切な人さえも守れない自分自身の不甲斐なさも同様に。

それ以来マッキーは修行を重ねた。
十六歳の誕生日に成人を向かえる日をその出発日にすると心の中で誓って。
血の滲むような努力なんてキリが無い。
彼はそれでも修行し続けた。
『Dr』軍を打倒してみんなが笑って平和に暮らせる世の中を取り戻すために。
そして十六歳の誕生日を迎えたマッキーは『Dr』軍打倒の旅に出る事となったのである。
だが旅に出ようとしたその日、事件は起こった。

『Dr』軍による第二次アニシル村征伐である。

村長・村民を始めマッキーは必死に戦った。そして通行人の助けもありDr軍を追い返した。
圧倒的な実力の通行人が追い返したと言っても過言ではない。

その通行人の名はクラウド=ウェダー。

レジスタンスの幹部でありレジスタンス加入のきっかけを与えてくれた人物である。
目標を同じくするマッキーが断る理由は無かった。
クラウドの計らいで憧れのレジスタンスに加入したマッキーは、最初の任務として「モッツァレラ帝国救出作戦」が与えられた。
その詳細はアニシル村の北にあるモッツァレラ帝国が分裂していこう、両国の争いを利用し侵攻を狙うDr軍の計画を両国の和睦をもって阻止するというものだ。

他の『レジスタンス』たちと共同とはいえ、初めての任務にしては随分大きな役割である。
その道中もDr軍の軍部や支部と戦い続けてきた。
今まで生きているのが不思議なくらいである。

そして遂に西モッツァレラ帝国の首都にやってきたのだが、宮廷に侵入したDr軍の上層部七研将の一人、グスタフ=ポーザーとぶつかった。
西モッツァレラの将軍、先に派遣されていたレジスタンスの手練が束になっても敵わない圧倒的な実力。

もうダメかと思ったその時、マッキーの記憶はぶっ飛び、気がつくとベッドで横たわっていた。後で聞いたところによると記憶が吹っ飛んでいる間にグスタフ=ポーザーを追い返すに至ったらしいのである。

西モッツァレラのメイド長でレジスタンスレミリア小隊の隊長でもあるレミリア=フェーンストレムは言っていた。

「あなたの力は、私よりも強力な『覚醒』の力」だと。

だがどうやってもその記憶は思い出せない。
マッキー自分の記憶に穴がある事にもどかしさを確かめながらベッドから這い出た。ここまで死ぬ思いでやってきたがまだまだやるべき事はこれからである。
「よし、そろそろ行くか!」

宮廷支給の高級ローブからいつもの服に着替えたマッキーは、きっちり片付けてから部屋を後にした。

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