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ガーゼにたっぷりとアルコールをひたして丁寧に消毒した皮膚は白く透き通って青い蛇が悍ましく這っている。処女とは大体こういうモノなんだよ、只でさえ硬くて酸味が強い。いつだか隣の人間が独り言ともとれる呟きをしているのを聞いたことがある。僕は女をしらなかったから、ふふんと少し興奮気味に鼻を鳴らしたのだった。しかしもう数えるの諦めるほどの遺体の相手をしている。女も男も。年齢だって様々だ。そんな愚かな刺激では僕の身体は反応しない。コレを始めてから僕の自慰行為も回数が減っていった。ただ不思議と食欲だけは衰えなかった。刺身が美味かった。
ポリエステル素材のフクロに本日4体目を丁寧に”しまった”。
それからオーソドックスな桐の棺桶(こればかりはコストがかかるため使いまわされて角や底が黒く抉れていた)に二人がかりでおさめる。僕は先頭に立って後ろ手に棺桶の底を深く両手で支えた。毎日支給される軍手越しに桐の感触はいまいち馴染まなかった。後ろのやつも僕も大仰なマスクをして黙り込んだまんま平坦な地下道を進んでいく。僕は後ろを振り向かない、後ろのやつも僕のつむじあたりに焦点をぼかしたままやはり黙ったままだ。終着点は分厚いドアだ。僕らはいつもその前に棺桶を音を立てないようゆっくりと置く。それからドアの横にある安物のインターホンを押す。返事のかわりにどでかいブザー音が鳴り出す。分厚いドアがゆっくりとスライドしていく。僕らは中を決してみない。ブザーの知らせる警告音に足音を紛れ込ませて、もと来た道を歩いていく。それで一遺体の作業完了だ。ココは一体にかかる時間が普通ではないので、一日に運ばれる棺桶は全作業員合わせても14,5が限界だろう。あるいはもっと少ないのかもしれない。ココで働き始めてからなんだかどんどんと頭がぼうっとして、僕はいろいろを計算だとか思考だとかを諦める癖がついてしまった。やはりこういう仕事だから始めたばかりのころは永遠に似た不安に追っかけまわされていた。しかしそれも懐かしい。眠れない日々が何日も続いて、総てに怯える日々に髪の毛も眉毛もまつ毛さえも抜けた。しかし今はもう慣れた、お笑い草だ。慣れて慣れて慣れきって、僕はこれらに何の疑問も感慨も思いつけない。強い意志が残っているとすれば、今日の”コレ”がおわったらスーパーで刺身のサクを一匹買って帰ろう。赤みでも白身でも割引のシールが貼ってある安い方を買おう。そして発泡酒を一本だけあけて僕を弔ってやる。それだけだった。

コメント(4)

凄く巨大で逞たくましい蛇が出てきた。その蛇が海に潜って林檎に太い剣を突き立てた。黒光りする立派な拳銃を撃ちまくった。

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