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森におよぐ魚たちコミュの世界

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疲れていた。あまり眠れなくて、だけれどそれに慣れていた。ずっとずっと前からだったからだ、きっと。

しかし電車に乗ると不思議だった、いつもわたしからとても遠いところにいる睡魔が忍び込んでくる。座っていても、立ったままでドアにもたれていても、規則的に揺れる電車に身を任せていると瞼がだんだんと重くなってくるのだ。今日もそうだった。新しく買ったイヤホンで静かなバラードを聞いていた。そのイヤホンは値段の分だけ性能が良く、わたしには旋律と本当に微かな人間の音だけ聞こえていた。高い周波数は受け付けないようだった。瞼はいつの間にか完全に閉じていた。それでも薄ぼんやりと意識は生きて、到着駅のアナウンスが聞こえた。ああ、降りるのだわたしは、この暖かで暖かなだけの、車内から。眠気を吹き飛ばす。わたしは思って勢いよく瞼をあけた。そして驚愕した。目の前には無数の後ろ頭。様々なくすんだ髪色。つむじ。みなわたしに背を向けていた。開くドアの逆側のドアにもたれたわたしをみな気にしていなかった。あたりまえだが、わたしに気付く人などおらんだ。人間たちは一様にもう数秒で開くであろうドア越しのホームをみていた。その数秒、とても、とても、みな人間じみていなかった。わたしはとにかく驚いて、少しだけ怖くなった。人間が人間で無いほんの隙間を見てしまったような、そんな恐怖と少しの興奮を覚えた。それからすぐにドアが開いて、イヤホン越しの喧騒が少し大きくなった。

コメント(3)

あなたの目から見えてるものを自分も見れたらなぁ、と
そんなおセンチなことを考えてしまったです('-'

あいかわらず素敵な文章だ、イイネ!

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