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コメント(119)
アレイスター・クロウリーの小説なんかも出てますよね。
「ムーンチャイルド」と短編集「黒魔術の娘」。創元文庫ホラー部門ではかなり異色の部類に入る（というか、ものすごくいかがわしい印象のある 笑）タイプの翻訳だと思うんですけど。カルト魔術の実践者として、非人間的な怪人のイメージの強いクロウリーだけど、「ムーンチャイルド」で語られるホムンクルス製造の魔術理論に見られる彼独特の科学との折衷の計り方だとか、クロウリーにちなんだ人物をモデルに取った半自伝的な背景に見えかくれする意外に俗っぽい性格だとか、読んでて興味深かったですけどね。オカルト文芸の怪書でありつつ、独創的な魔術幻想譚といった印象です。おどろおどろしい雰囲気は前半だけで、後半はいまひとつだったですけど（笑）。
「ムーンチャイルド」と短編集「黒魔術の娘」。創元文庫ホラー部門ではかなり異色の部類に入る（というか、ものすごくいかがわしい印象のある 笑）タイプの翻訳だと思うんですけど。カルト魔術の実践者として、非人間的な怪人のイメージの強いクロウリーだけど、「ムーンチャイルド」で語られるホムンクルス製造の魔術理論に見られる彼独特の科学との折衷の計り方だとか、クロウリーにちなんだ人物をモデルに取った半自伝的な背景に見えかくれする意外に俗っぽい性格だとか、読んでて興味深かったですけどね。オカルト文芸の怪書でありつつ、独創的な魔術幻想譚といった印象です。おどろおどろしい雰囲気は前半だけで、後半はいまひとつだったですけど（笑）。
こんな作家がいたこともふつうならまあ知らないでしょうし、
そんな作家の作品がここにラインナップされていることも
ふつうならまず知らないでしょうが…好きなんですよ、おれ。
・マルセル・エイメ『第二の顔』
読了しました。いやあ、ほんとに手に入りにくい一冊で、
入手したときは嬉しかったあ。
エイメは解説から引用すれば、フランスの「最高の小説名手」
（ブルミエ・コントウール）で、屈指の短篇をものしてます。本書は、
「平凡な中年セールスマンセリュジュは、ある日突然、
美形な顔を手に入れ、あえて『自分の妻』をくどこうと…」
という内容。ここから想像（予想）される、
苦悩とか不条理は「まるでなく」、
アンチロマンもシュルレアリスムもどこ吹く風とばかり、
主人公が俗物で即物的なせいか、ラストには、
「奇跡ってあんまり意味がなくね？」というテーマに、ぶち当たり、
のけぞります。うわあ、すごいな、これ。
絶対に読めという傑作じゃないけど、エイメやっぱりいい。
ちくまで『マルタン君物語』、福武で『クールな男』、
早川で『壁抜け男』が出てますので、お読みください。
わたしが誠意を以ってお勧めします。いや、マジで。
そんな作家の作品がここにラインナップされていることも
ふつうならまず知らないでしょうが…好きなんですよ、おれ。
・マルセル・エイメ『第二の顔』
読了しました。いやあ、ほんとに手に入りにくい一冊で、
入手したときは嬉しかったあ。
エイメは解説から引用すれば、フランスの「最高の小説名手」
（ブルミエ・コントウール）で、屈指の短篇をものしてます。本書は、
「平凡な中年セールスマンセリュジュは、ある日突然、
美形な顔を手に入れ、あえて『自分の妻』をくどこうと…」
という内容。ここから想像（予想）される、
苦悩とか不条理は「まるでなく」、
アンチロマンもシュルレアリスムもどこ吹く風とばかり、
主人公が俗物で即物的なせいか、ラストには、
「奇跡ってあんまり意味がなくね？」というテーマに、ぶち当たり、
のけぞります。うわあ、すごいな、これ。
絶対に読めという傑作じゃないけど、エイメやっぱりいい。
ちくまで『マルタン君物語』、福武で『クールな男』、
早川で『壁抜け男』が出てますので、お読みください。
わたしが誠意を以ってお勧めします。いや、マジで。
・フリッツ・ライバー『妻という名の魔女たち』
読了しました。予想以上にオカルト色が強く、
やはりこれはSFというよりあきらかにホラーですね。
（本書はサンリオSF文庫から創元文庫の灰色に移植されたもの）
大学教授のノーマンは、妻タンシイが呪術に手を染めていることを知り…
という発端から、ちょっと驚くラスト（わたしこういうの好きです）へ。
超自然現象が実在化する中盤から後半よりも、前半の
「大学内部のどろどろした駆け引き」のほうがむしろ怖かったり。
ストーリーもきちんと練られており、するすると読めて楽しめました。
原書が1943年なのでシチュエーションや文は古めかしいけど、却ってそれも魅力かも。
しかしこのトピも更新1ヶ月ぶりか…もっと創元読まなくちゃ。
読了しました。予想以上にオカルト色が強く、
やはりこれはSFというよりあきらかにホラーですね。
（本書はサンリオSF文庫から創元文庫の灰色に移植されたもの）
大学教授のノーマンは、妻タンシイが呪術に手を染めていることを知り…
という発端から、ちょっと驚くラスト（わたしこういうの好きです）へ。
超自然現象が実在化する中盤から後半よりも、前半の
「大学内部のどろどろした駆け引き」のほうがむしろ怖かったり。
ストーリーもきちんと練られており、するすると読めて楽しめました。
原書が1943年なのでシチュエーションや文は古めかしいけど、却ってそれも魅力かも。
しかしこのトピも更新1ヶ月ぶりか…もっと創元読まなくちゃ。
・紀田順一郎・東雅夫編『日本怪奇小説傑作集1』
読了しました。全3巻で完結するらしく、20世紀日本の怪奇小説を俯瞰するシリーズとして、この1巻では、1902〜1935発表の短篇が収録されており、
収録作家が、小泉八雲、鏡花、漱石、鷗外、谷崎、芥川、百�痢∈埓院√再押⇒霾癲∪鄰次¬缶遏∈監�春夫ら。
以上の顔ぶれでなんとなくわかるように、なんというか「上品な」ラインナップでした。「文学的怪談」とでも言ったらいいのか。
グロテスクや奇怪なものを求める人にはやや食い足りないけど、文芸的な戦慄を好む人にはよいのでしょう（ちなみにわたしは前者）。
個人的なお気に入りは以下。
芥川の「妙な話」は本当に「妙な話」で楽しかった。綺堂の「木曾の旅人」、乱歩の「鏡地獄」を読むとやっぱり怖いのは人間だなあと。わたしは怪奇現象そのものより人間の心理が恐ろしいものの方が好きなようです。
拾い物としては、大仏次郎の「銀簪」。これは一種のリドルストーリーとしても、また心理小説としても読め、ラストの一行は実に怖い。時代物としてしか成立しないのがミソでしょうか。収穫でした。続刊の2巻、3巻に期待大です。
読了しました。全3巻で完結するらしく、20世紀日本の怪奇小説を俯瞰するシリーズとして、この1巻では、1902〜1935発表の短篇が収録されており、
収録作家が、小泉八雲、鏡花、漱石、鷗外、谷崎、芥川、百�痢∈埓院√再押⇒霾癲∪鄰次¬缶遏∈監�春夫ら。
以上の顔ぶれでなんとなくわかるように、なんというか「上品な」ラインナップでした。「文学的怪談」とでも言ったらいいのか。
グロテスクや奇怪なものを求める人にはやや食い足りないけど、文芸的な戦慄を好む人にはよいのでしょう（ちなみにわたしは前者）。
個人的なお気に入りは以下。
芥川の「妙な話」は本当に「妙な話」で楽しかった。綺堂の「木曾の旅人」、乱歩の「鏡地獄」を読むとやっぱり怖いのは人間だなあと。わたしは怪奇現象そのものより人間の心理が恐ろしいものの方が好きなようです。
拾い物としては、大仏次郎の「銀簪」。これは一種のリドルストーリーとしても、また心理小説としても読め、ラストの一行は実に怖い。時代物としてしか成立しないのがミソでしょうか。収穫でした。続刊の2巻、3巻に期待大です。
創元文庫でも屈指の名アンソロジー、
『怪奇小説傑作集』の1巻が新装復刊（？）されました。
本屋さんで「あれ、なんか新刊アンソロジーがあるな」
と思って手にとれば、『怪奇小説傑作集1』のタイトルが。
装丁は『日本怪奇小説傑作集』と同じ系列になり、
「なんだかやけに分厚いぞ。合本か？」と思い、
なかをぱらぱらめくってみれば、「字が大きい」！
収録作品にまったく異同はなく、活字が大きくなったので、
分厚くなっただけという…おかげで値段もそれなりに上がりました。
あの古めかしい活字の並びが好きだったんですが…
（まあ、全巻持っているからいいんですけど）
旧々版（黒背）はともかく、旧版は大きな書店には、
まず置いてあるのに、復刊ブームとはいえ、こうきたかと…
『日本』と統一して8巻本になるのでしょうか。
新訳も加えて『6』『7』が出るとうれしいかなと。
あ。紀田順一郎さんが改めて解説を書き下ろしてらっしゃいます。
『怪奇小説傑作集』の1巻が新装復刊（？）されました。
本屋さんで「あれ、なんか新刊アンソロジーがあるな」
と思って手にとれば、『怪奇小説傑作集1』のタイトルが。
装丁は『日本怪奇小説傑作集』と同じ系列になり、
「なんだかやけに分厚いぞ。合本か？」と思い、
なかをぱらぱらめくってみれば、「字が大きい」！
収録作品にまったく異同はなく、活字が大きくなったので、
分厚くなっただけという…おかげで値段もそれなりに上がりました。
あの古めかしい活字の並びが好きだったんですが…
（まあ、全巻持っているからいいんですけど）
旧々版（黒背）はともかく、旧版は大きな書店には、
まず置いてあるのに、復刊ブームとはいえ、こうきたかと…
『日本』と統一して8巻本になるのでしょうか。
新訳も加えて『6』『7』が出るとうれしいかなと。
あ。紀田順一郎さんが改めて解説を書き下ろしてらっしゃいます。
>ゆきのさん
はい。単行本になったのはその3冊です。
なんとなくキャロルブームの絶頂期だったので、
ハードカバーで出したらちょっとズレちゃった感じでしたね…
>Xuerenさん
確かにキャロル・ラッシュでしょう。再評価が俟たれますね。
ところが、なんと間の抜けたことに、ここにきて単行本の
『黒いカクテル』ゲットしてしまいました…
読了したら〈海外文学セレクション〉の方に感想アップします。
Xuerenさんの日記にも上がっていましたが、
・エリック・マコーマック『隠し部屋を査察して』
とうとう文庫として店頭に並びました。
必読の短篇集と思っておりますので、未読の方はぜひどうぞ。
はい。単行本になったのはその3冊です。
なんとなくキャロルブームの絶頂期だったので、
ハードカバーで出したらちょっとズレちゃった感じでしたね…
>Xuerenさん
確かにキャロル・ラッシュでしょう。再評価が俟たれますね。
ところが、なんと間の抜けたことに、ここにきて単行本の
『黒いカクテル』ゲットしてしまいました…
読了したら〈海外文学セレクション〉の方に感想アップします。
Xuerenさんの日記にも上がっていましたが、
・エリック・マコーマック『隠し部屋を査察して』
とうとう文庫として店頭に並びました。
必読の短篇集と思っておりますので、未読の方はぜひどうぞ。
ポオ詩と詩論に収録。創元かいきと
でも日夏耿之介ひなつ こうのすけ訳探すが吉
創元ではありませんが、文庫で読めるもの。
ゴシック名訳集成西洋伝奇物語―伝奇ノ匣〈7〉 (学研M文庫)
単行本だと
ポオの音楽美を説くものは、
必ず付随的にこの視官能美の裏書きを言い添えることを忘れてはならない-。
エドガー・アラン・ポオの名篇に、
日夏耿之介の名訳、更にギュスターヴ・ドレの挿画26葉を加えた幻想的な一冊。
ポオ（日夏耿之介訳）『大鴉』 薔薇十字社
大判。角背上製クロス装。貼凾入帯付。再版昭和48年３月13日刊。定価1200円。旧漢字旧仮名使い。ポオ原文、ドレ挿画入。
これがそのまま黒い凾になって出帆社から後に発売された。
最近の版だと、沖積舎 から出ていたようです。
でも日夏耿之介ひなつ こうのすけ訳探すが吉
創元ではありませんが、文庫で読めるもの。
ゴシック名訳集成西洋伝奇物語―伝奇ノ匣〈7〉 (学研M文庫)
単行本だと
ポオの音楽美を説くものは、
必ず付随的にこの視官能美の裏書きを言い添えることを忘れてはならない-。
エドガー・アラン・ポオの名篇に、
日夏耿之介の名訳、更にギュスターヴ・ドレの挿画26葉を加えた幻想的な一冊。
ポオ（日夏耿之介訳）『大鴉』 薔薇十字社
大判。角背上製クロス装。貼凾入帯付。再版昭和48年３月13日刊。定価1200円。旧漢字旧仮名使い。ポオ原文、ドレ挿画入。
これがそのまま黒い凾になって出帆社から後に発売された。
最近の版だと、沖積舎 から出ていたようです。
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