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ウラジミールの文章置き場コミュの戯曲 「青春の召喚者」

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双子座小耳プロジェクト;大耳ライヴ2007参加作品

登場人物 ヨウスケ(学生服)
     チサ(ヨウスケのクラスメート)
     ヨウスケの母(男性が演じる)
     悪魔フルフル





(ヨウスケ、地面に何か書きながら呟いている。やがてだんだん盛り上がってくる。)

ヨウスケ  エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、
      エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、エロイムエッサイム…
      汝、横山チサよ!
      オヌシが我に与えし耐えがたき屈辱、地獄の悪魔の力もて、ここに復讐を誓わん!
      エロイムエッサイム、我は求め、訴えたり〜〜〜〜〜!!!
      来たれ、地獄のケダモノよ〜!

  (なんか音楽かかる。音楽止まり、母の声。)

母の声   ヨウチャン、お部屋で何してるの?大きな声出して、どうしたの〜?

ヨウスケ  な、なんでもねーよ母ちゃん、勉強だよ勉強。

母の声   そ〜お。だったらいいけど。
      ご近所に聞こえるからあんまり大きな声出しちゃだめよ〜。

ヨウスケ  わーったよ母ちゃん…。
      ふう。思わぬ邪魔が入った。いかんいかん。今夜じゅうに儀式をとり行うんだ。

  (ヨウスケ、本を片手に朗読。)

ヨウスケ  まず、儀式を行う前に、瞑想して身体に「アストラル」のエネルギーを充填してから、
      あらかじめ用意した「悪魔バフォメットの肖像画」「銀杯」「蝋燭と燭台」「儀式用ナイフ」を
      東西南北、正しい方位に沿って配置。
  
  (指差し確認。)

      …これは黒魔術サイトの通販で揃えた。よーし。

      準備が整ったら、黒装束に着替える。

      …黒装束、よーし。

  (学生服である。)

      次に魔法陣を作成する際、召喚者は、
      1cm書くごとに一回エロイムエッサイムを唱えなければならない。

      …魔法陣、さっき終了。

      ここまではいいんだ。後は呪文を唱えて悪魔を呼び出す。
      エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。
      僕を馬鹿にしたあのにっくきクソ女めに、悪魔の力を借りて復讐してやるのだ…
      あのクソ女め。思い出しても腹が立つ。

  (ヨウスケの回想)

チサ    ヨウスケくん、どうしたの?
      ほら、じっとしてないでみんなの輪に入りなよ。
      自分から心を開けば、きっと心が通じるよ。
      元気出して。ガ〜ンバ!

ヨウスケ  チサちゃん…。
      クラスでなかばツマハジキにされていた僕に、
      やさしく話しかけて、はげましてくれたチサちゃん。
      すぐに僕は恋に落ちてしまった。
      でも、こんなミソッカスでアブレモンでツマハジキの僕が…
      いや、チサちゃんが僕に教えてくれた。
      自分から心を開けば、きっと心が通じるよ。元気出して。ガ〜ンバ!ようし…。
      チサちゃん…あのう…これ読んで下さい!

  (ラブレターである。)

チサ    え…あ…。

  (ヨウスケ一旦去る。チサ、手紙をあけて読み始めるとヨウスケまた登場。)

ヨウスケ  そうして勇気を出して渡した手紙は、

チサ    「横山チサさんへ。先日はとても嬉しく思いました。
      だから単刀直入に言います。好きだ!好きだ!大好きだ!君の為なら死ねる!!」
      ぶっ!

ヨウスケ  僕の全身全霊で書いた手紙は…

チサ    ねえこれ見て見て。ヨウスケ君からなんだけど〜、笑かすよね〜。
      バリウケるんだけど。

ヨウスケ  僕に内緒でクラス全員で回し読みされたあげく、教室の黒板の上に貼り出されて…。

チサ    ゴメ〜ン、ヨウスケ君。

ヨウスケ  必死でそれを剥がそうとしたけど、僕は背が小さいから、椅子に乗っても届かなくて、
      そいで椅子ごと転んで。それを見てクラスの連中はまた笑い転げて…。

チサ    え〜、やめてよ〜。あんなのと付き合おうなんて思うわけ無いじゃん。
      いい迷惑だよ〜。

  (回想終了)

ヨウスケ  ベールゼブブ、ルキフェルアディロン…あの時の屈辱…。
      この怨み、はらさでおくべきか〜!

  (音楽かかるがブツ切りで止まり、母の声)

母の声   ヨウチャン!夜なんだから大きな声はダメでしょ〜。

ヨウスケ  ちっ。だ〜から勉強してんだって〜。

母の声   嘘おっしゃい。じゃあ何の勉強してるの?

ヨウスケ  ……え、英語の、リーディングだよ〜。

母の声   ふうん。だったらいいけど。

ヨウスケ  …ほっとけよ。ええと呪文呪文。
      ベールゼブブ、ルキフェル、アディロン。ソエモセロイ、アメク、ルロセクラ。
      エルプラント、カメロルアル、アドリナノルム、マルチロルチモン。
      アブドル、ダムラス、オムニス、ノムニス。ベル、エス、ホリマク…

母の声   ヨウチャン。お風呂沸いたわよ。

  (ヨウスケ、無視して呪文。)

母の声   ヨウチャン、お風呂。

ヨウスケ  は〜い。

  (生返事はするものの、呪文の続きを唱える。)

母の声   お〜ふ〜ろ。
      お〜ふ〜ろ!お〜ふ〜ろ!お〜ふ〜ろ!お〜ふ〜ろ!

  (母の騒音おばさん風攻撃に無視できなくなり、)

ヨウスケ  うるせいな、わかったよ!

  (いきなり母、入ってくる。)

母     ヨウチャンお風呂入りなさい。

ヨウスケ  わわっ!な、何だよ母ちゃん、勝手に入ってくんなよ。

母     勉強終わったんならお風呂。

ヨウスケ  だからまだだって。何で勝手に入ってくんだよ…

  (母、蝋燭を発見。)

母     あら、これなーに?

ヨウスケ  何って…リラクゼーショングッズだよ。

母     リラクゼーション…。これは?

  (母、魔法陣を発見。)

ヨウスケ  それは…マ、マンダラを書いたら心が落ち着くんだよ。

母     へええ。写経みたいなものね?じゃあお母さんも…

ヨウスケ  いいから出てけよ!

  (母の肩をはたく。)

母     …ヨウチャン最近お母さんに冷たいのね。

ヨウスケ  うるせえ。出てけ。

  (母を押し出そうとするが母はびくともせず、)

母     じゃあお母さん先にお風呂入るわよ〜。

ヨウスケ  さっさと入れよ。

母     ♪おか〜あさんってな〜あに、おか〜あさんっとイイ気持ち…

  (「お母さん」の替え歌を歌いながら母退場)

ヨウスケ  …クソババ〜!
      気を取り直して、
      アブドル、ダムラス、オムニス、ノムニス、ベル、エス、ホリマク、
      エロイムエッサイム!エロイムエッサイム!我は求め訴えたり!来たれ悪魔よ〜〜〜!
      …ふぅふぅふぅ。
      ちぇっ、何も起こらない。
      やっぱこんなん信じた僕がバカだった。
      くそー!僕のお年玉、通販で買った魔術の道具代1万2千円、どうしてくれんだよ〜

悪魔の声  バオーン。

ヨウスケ  今なんか聞こえた?

悪魔の声  バオーン。

ヨウスケ  え?

  (ヨウスケ、ドアに向かい歩いていくが入ってきた悪魔にはじき飛ばされる。)

悪魔    バオーン。

ヨウスケ  おわー!な、なんだよあんた、いきなり人んちに。

悪魔    こんにちは〜、悪魔だ〜、ぞ。

ヨウスケ  あ、あんたが悪魔かよ!
      魔法陣の中から出てくるんじゃないのかよ!

悪魔    いいじゃな〜い。も〜。どこから出てこようが〜。
      それは〜、あなたの〜、♪お好みしだい。

ヨウスケ  何言ってんだよ。

悪魔    あ・く・ま、フルフル。

ヨウスケ  はあ?

  (悪魔、いきなりテキトーに歌い踊る。)

悪魔    ♪チューチューチュルチュチュパラパパッパー
      可愛いからって〜天使だ〜なんて思ったら、
      大間違いよ〜 コチトラ悪魔よフルフルよ〜
      ヨ・イ・サ、ヨイサ、ヨ・イ・サ、ヨイサ。

ヨウスケ  おいおい、ちょっとアンタ。

悪魔    あ・く・ま、フルフル。

ヨウスケ  悪魔フルフル?

悪魔    悪魔フルフルは、魔界では実力者であったが人間界に追放され、
      普段は民家の台所の戸棚の中にひっそりと潜み、夜になると冷蔵庫をあさる。
      悪魔フルフルの能力は、敵から攻撃を受けると、おしりから臭い汁を出す。
      悪魔フルフルに呪われた相手は、体中の毛という毛が毛深くなる。
      悪魔フルフルの好物は、いなりずし。

ヨウスケ  はあ?

悪魔    悪魔フルフルの弱点は、くすぐりに弱い。特にココと、あとこのへん!
      心の準備は出来てるわ。さあ、カモ〜ンヌ。
      若者よ、何をしている!ヘイカモ〜ンヌ。

  (ヨウスケ、スリッパとかで悪魔をはたく。)

悪魔    いった〜い、なにすんのぉ!

ヨウスケ  おいおっさん、アンタ本当に悪魔なのか?

悪魔    あ・く・ま、フルフル。

ヨウスケ  それはわかったから。アンタが本当に悪魔なら、頼みがあるんだ。
      僕をコケにした横山チサって女に、復讐したいんだ。

悪魔    あ。そうなの。

ヨウスケ  実は、かくかくしかじか…。

  (短い暗転。)

ヨウスケ  という訳なんだよ。

悪魔    「だから単刀直入に言います。好きだ!好きだ!大好きだ!君の為なら死ねる!!」

ヨウスケ  わーっ、読むな読むな読むな読むな!

  (悪魔、何故か手紙を読んでいる。ヨウスケ、手紙を奪う。)

悪魔    ま、だいたいやね、これはつまりやね。
      僕の悪魔としての三千年の経験から言わせて貰うとイワユルあれですわ。

ヨウスケ  態度変わった…。

悪魔    最初にデレーっとしてこちらのキモチを惹きつけておいて、
      こちらがなびいたらツーンとはじく。
      最近はやりのツンデレの基本、基本的なツンデレですわ。

ヨウスケ  そんな訳ないだろっ!ふざけんなよ!

悪魔    まーまーまーまー、間違いないって。僕を誰やと思うとるの。悪魔フルフルよ。

ヨウスケ  人んちの台所に隠れて冷蔵庫あさるんだろ?

悪魔    それはいいがかりヨ。

ヨウスケ  自分で言ったんじゃないか!

悪魔    いいからこの本見てみなさい。

  (悪魔、本を出す。)

ヨウスケ  小学館悪魔なんでも入門!?

悪魔    42ページ。

ヨウスケ  ソロモン72の魔神の1角で26の悪魔軍団を率いる序列34番の地獄の大伯爵。
      召喚者に嘘をつくが三角形の魔法陣の中に召喚すれば、
      荒い声であらゆる質問に対し真実を答える。
      男女の愛を引き起こし、雷や嵐を呼び寄せる。

ヨウスケ  へえ。あんたすごいんだ。

悪魔    わかってくれた。あそ。じゃあまあこの僕が言うんやから間違いないって。

ヨウスケ  いや、でもそれとこれとは…

悪魔    カッ!
      信じなさーィ。信じなさーィ。♪お前はオ〜レを信じなさーィ、ホレ信じなさーい…

  (悪魔、目を見開き催眠術を掛ける。)

ヨウスケ  あ、なんかそんな気がしてきた。そうかアレはいわゆるツンデレだったのか。

悪魔    よーし、じゃあその娘に再アタックや。

ヨウスケ  おー!

  (上手にチサが通りかかる。)

ヨウスケ  チサちゃん、僕…

チサ    ごめん、あり得ないから。無理だから。

ヨウスケ  フラれちゃいました。

  (下手の悪魔に報告。以後ヨウスケが左右を切り替えて演じる。
   段階的に早くなっていく。)

悪魔    だからソレはツンデレだってば。♪お前はオ〜レを信じなさーィ…

ヨウスケ  ようし!
      チサちゃん好きだ!

チサ    嫌だって。マジかんべん。

ヨウスケ  またフラれちゃいました。

悪魔    ♪お前はオ〜レを信じなさい…

ヨウスケ  うっしゃー!
      チサちゃん!

  (肩に触れる。)

チサ    キモいから触らないでよ!

ヨウスケ  だそうです。

悪魔    ♪ホレ信じなさーィ、ホレ信じなさーィ

ヨウスケ  チサちゃん!

  (チサを掴もうとしたヨウスケはチサに突き飛ばされ、倒れる。)

チサ    触るなって言ってるでしょー!
      ウザいんだよぉ、この、この、このォ

  (転倒したヨウスケにチサ、蹴りをくらわし、踏んでぐりぐり。
   しばらくは耐えるヨウスケだが、ヨウスケの中に何かが芽生える。)

ヨウスケ  …ああ、何だこの感覚?コレはコレでアリかも。
      気持ちイイ!

悪魔    お前は試合に負けて勝負に勝ったんだ。

         (完)

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