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大麻草検証委員会コミュのリファナ裁判と選択の自由・自己決定権―裁判のあり方を問う

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弁護士実務の最前線

マリファナ裁判と選択の自由・自己決定権―裁判のあり方を問う

                  ジュリスト1988年9月1日( No916)より

1 大麻取締法の違憲性

私は1974年に弁護士登録をしたが、その翌年に初めてアメリカ人青年の大麻取締法違反事件を担当し、それ以降 現在までの13年間に約100件の同種事件を担当してきた。その中で大麻取締法の憲法違反性(特に13条の幸福追求権、すなわち「どぶろく裁判」で主張さ れたのと同様の、個人は私的事柄について公権力から干渉されることなく、自ら選択し、決定することができる自己選択権・自己決定権を有する)を主張して本 格的に争ったのは数件だが、特に印象に残っているのは1977年2月から1981年4月までの京都地裁での芥川氏の裁判(この裁判の経過は芥川氏が第三書 館刊「マリファナ・ナウ」に詳しく紹介している)と1985年3月から1987年5月までの長野地裁伊那支部での裁判である。

この長野地裁伊那支部の平温真人裁判官は、大麻取締法の立法経過.・立法根拠を調べるために厚生省の麻薬課長を 証人として呼ぶなど積極的な証拠調べを行い、また今までの判例の中で初めて、次のように大麻取締法が立法論として問題があると指摘した(詳しい紹介はジュ リスト898号217頁を参照して下さい)。「アルコール、ニコチン・タバコと比べて大麻の規制は著しく厳しい。」「刑事責任は行為の違法性と合理的な均 衡を保たれるべきであり、右観点からは、少量の大麻を私的な休息の場で使用し、かつその影響が現実に社会生活上害を生じなかったような場合にまで懲役刑を もって臨むことに果してどれほどの合理性があるか疑問なしとせず、少なくとも立法論としては再検討の余地があると解される。」

2 悪法も法なりとする裁判官

私がこれまでの弁護経験を通じて痛切に感じるのは、前述の伊那支部の平温真人裁判官を例外として、ほとんどの裁 判官が悪法も法なりという見解をぐずさず、高校生が長髪禁止の校則に違反したのと同様に具体的な被害が何ら立証されていないのに拘わらず、単に形式的に法 律に違反したという点から有罪の心証をもつて裁判に臨んでいるということてある。

被告人が「マリファナは気持ちがリラックスし、音楽を楽しめるし、食欲も増進する。ニコチン・タパコやアルコー ルよりも体にマイルド」と素直に自分の体験を表現すると「薬物との親和性が強い」「再犯の恐れがある」「反省の色がない」という見方をする検察官や裁判官 が非常に多いため、裁判において真実を明らかにするということが難しく、単に裁判官の心証を良くするために言いたいことも言えないという裁判になっている のが大半である。また捜査過程において、捜査官が捜索許可令状を呈示せずに、窓から侵入したり、捜索許可令状で許可されていないものを勝手に持ち去った り、さらに弁護人選任権の妨害をしたりする例があっても、裁判官はその違法性に目をつぶってしまうという傾向がきわめて強いのが実情である。

このような裁判のあり方は、公正な裁判とは到底言えないものであって、裁判の真の権威を裁判官自らが落しているのだと痛感している。

3 拘置所で自殺者も出ている

そして大麻取締法は懲役刑しかないため殆どの事件で身柄拘束がなされ、家族の接見が禁止され、特に本人が事実関 係について黙秘していると弁護人との接見も捜査中ということでなかなか認められず、また起訴されても殆どの事件において検察官が保釈について不相当の意見 を出すので、裁判所がすぐに保釈を認めないというのが実情であり、また保釈金も最近の東京地裁の例では120万円〜150万円程度が普通になっている。

裁判の結果については、大麻の無害性がだんだんと認められてきているせいか、初犯の場合には殆どが執行猶予にな るが、しかし、執行猶予中は旅券の発給を外務省が認めないし、更に最近では執行猶予付きであれ有罪判決を受けた当事者が自動車免許を持っている場合には、 道路交通法の恣意的運用によって免許の、停止処分を公安委員会から受けるという事例もある。また初犯でも実刑になる事例もある。特に私が控訴審の東京高裁 で担当したドイツ人のピーター・ローター・グラノウスキー氏の場合には、大麻樹脂約1キログラムを輪入したということで殺人事件にも相当する懲役3年とい う厳しい判決を受けている。同氏は大麻取締法の違意性を強く主張したために制裁的に重い判決がなされたものである。同氏は最高裁まで大麻取締法の違憲性を 主張したが、最高裁の上告棄却の決定が出された翌日てある1985年10月1日に、東京拘置所の独房での約1年間に渡る未決拘留中における肉体的および精 神的苦痛と裁判所に対する絶望感から、まさに自らの意思によって服役を拒否し、昇天(自殺)をするという事件が起きた。私はこのピーター・グラノウスキー 氏の自殺は、未決勾留中の処遇も含め実質的にみて、禅などの日本文化にひかれていた平和愛好家である同氏に対する司法当局による殺人であると考えている。

4 大麻取締法は被害者なき犯罪を罰するもの

大麻取締法はまさに被害者なき犯罪を罰するものであり、これを廃止してもそもそも被害者がいないのだから特別弊 害は生じないと考える。また判例によって唯一弊害があると指摘されている自動車運転への影響についてはすでに道路交通法66条では「過労・病気・薬物その 他の理由による正常なる運転ができない恐れがある状態で車両などを運転してはならない」と規定し、その違反者に対しては懲役2年以下または罰金5万円以下 の罰金の刑事罰が科されているし、さらに自動車運転の過失によって他人を死傷した場合には刑法211条の業務上過失死傷罪に問われるのであるから、単に抽 象的に自動車運転に影響があるというだけで、一律に大麻の所持などを懲役刑で規制するのは、個人の人格そのものを否定するのであってきわめて問題がある。

また毎年1000人以上もの逮捕者を出しているために使われる捜査官や裁判官の人件費、施設の維持費などの諸経 費が莫大な金額にのぼっているのであるから(昭和61年度の大麻取締法違反事件の逮捕者は1337人であり、仮に一人当り100万円の諸経費がかかるとす れば13億3700万円もの出費になる)、税金の適正な使用という観点からも、大麻取締法を廃止する方が望ましくまたマリファナの作用は心身をリラックス させ、平和な気持ちにさせるものであるからマリファナ解禁によって今よりは平和で自由な社会が実現すると思う。

なお、マリファナを日本においても昭和27年までは有益な医薬品として使われてきた事実があるが、小林 司著の 『心にはたらく薬たち』(筑摩書房刊)192頁では次のような1895年(明治28年)12月17日付けの毎日新聞の広告を紹介しており、大麻の作用を考 える上できわめて参考になると思う。

『「ぜんそくたばこ印度大麻煙草」として「本剤はぜんそくを発したる時軽症は一本、重症は二本を常の巻煙草の如く吸ときは即時に全治いささかも身体に害なくそもそもぜんそくを医するの療法において此煙剤の特効且つ適切は既に欧亜医学士諸大家の確論なり。」』

なお、小林 司氏は同書193頁で「マりファナの有害性でなしに有益な点を明らかにして、プラスの面を活用するのが賢明な道というべきであろう。」と述べている。

コメント(1)

薬の使用で車の運転をしてはならない云々のところは、一般的な風邪薬や医者で処方されるものも同様と捉えられます。

つまり自動車の運転手が処方された薬を所持していたら違反となってもおかしくないということでしょうか?
普通に考えれば常識から外れていますね。やはり大麻の認識の問題も大きいですね。

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