JCPと国民統一戦線の建設コミュの護憲円卓会議兵庫　第2回交流会

護憲円卓会議兵庫　第2回交流会　「“壊憲”阻止へ　今何が出来るか」
“拡散型運動”として多様な市民階層との交流をめざす82歳　　報告Ⅱ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2014/10/18　　　　　　佐藤　三郎

＜大日本帝国憲法下で育成された13年＞
１，「朕国家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣栄トシ朕カ祖宗承クル大権ニ依リ現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス」で始まる憲法発布勅語と共に制定された大日本帝国憲法には、こう記されていた。
「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」（1条）、「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」（2条）、「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ條規ニヨリ之ヲ行ウ」（4条）、2章臣民権利義務では15の条文に「法律ノ定ムル所ニ従イ…」「法律ノ範囲内ニ於テ…」とあり、それが付けられていないのは「所有権の保障」（27条）だけでした。
２，私が戦争を意識したのは１９４１（昭１６）年小学校3年の時に、35歳の父に招集令状が届けられた時でした。　1944年7月サイパン島玉砕、Ｂ２９本土空襲が激化、9月岡山県牛窓へ集団疎開。　1945年3月中学受験直後に神戸大空襲（3/17）、その2回目大空襲（6/5）に自宅焼失、町内会長宅に寄留、空腹と恐怖の毎日きました。
３，警察は怖い、憲兵はもっと怖い。だが、一番イヤなのは、権力のしもべとなり僅かな権力を笠に着て弱者を貶めようとする身近なもの達の横行である。在特ら極右の横行に追随し、自らの不安を紛らわそうとする風潮に心が痛む。安倍の言う「取り戻せ日本」とは帝国憲法下の日本であり、その風潮は国会議席の上だけではなく、庶民の心情までもむしばみ、更に拡がろうとしている。「新たな戦前」は既に始まっています。
＜「新たな戦前」にどう立ち向かうか＞
１，1992年（定年1年前）月見山連合自治会（2500所帯）役員、94年事務局長、95年阪神大震災に遭遇。以後役員辞任の2004年度末まで、震災復興･市都市計画事業押しつけ反対・地域自治の創造にむけての全力疾走の10年間だった。西須磨地域での「道路公害紛争調停団」「NPO法人福祉ネットワーク西須磨だんらん」「交流拠点稲葉安心コミュニティー」「天井川公園を育てる会」の活動は今も続いており、遠回りのようだが、私たちの未来は地方自治体・地域における自治へのうねり高揚の如何にかかっていると思う。
２，2006年第1次安倍内閣により教育基本法が改悪され、更に声高な憲法改悪の安倍発言に居たたまれず「憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネット」を結成、そこでの集会開催で出合えた500人余にニュース41号を送り一方で、京阪神「市民活動」掲示板（集会案内）の配信（7つのメーリングリス・参加者延べ約3000）は、10月で100号を迎えた。自治会活動以後のこの8年も慌ただしい毎日が続き、腰椎狭窄・歩行困難、動脈硬化・血管閉塞などに見舞われながら82歳をなっていました。
３，しかし社会の風潮は、悪化の一途をたどっている。衆議院議員定数480､参議院242、計722。政党を衆参議員合計順に並べてみると､自民408・民主115･維新53･公明51･次世代23・みんな20･共産19・生活9・社民５となり、まっとうに「憲法を活かそう」とする勢力は、「生活」を含めたとしても３３（全議席の4.6％）に過ぎない。広原報告にあった民意（9条を変えない64パーセント:朝日世論調査）と霞ヶ関とのギャップを埋め、改憲国民投票に勝つには、既成の護憲勢力の結集だけでは駄目なことは明らかです。
４，2006/11/3ワールド記念ホールで「はばたけ!　9条の心」7000人集会が開催された。「9条の心実行委員会」（事務局弁護士9条の会）、「兵庫県憲法会議」（共産系）、「憲法兵庫会議」（新社系）、「平和憲法を広げる兵庫県民会議・阪神」（社民系）、「平和憲法を守る兵庫県連絡会」（自治労系）共催のこの集会の印象は大きかった。護憲勢力の協力復活を願い、2011年から有志で、嘗て社共のつなぎ役だった「9条の心実行委」事務局代表を数度にわたり訪問し護憲派連携再建の要請を続け、2012秋に各派実務者連絡会が復活したがそれ以上の前進は困難だと思いました。
５，2012/12/16衆院選で自民党は294議席を獲得、単独で過半数を制し、勢いに乗って2013/7の参院選のねじれ解消すれば、戦後の憲法体制を根本から変え得るという冷徹な事実が迫ってきた。投票翌日から1/6までの3週間に受信した3000通のメールに目を通したが「参院選に向けて護憲派選挙協力」触れたメールは11通しかなかった。自分で動くしかないと腹を決め、2013/4/14「総選挙敗北を見すえ　立ち直りの途を探る～止めよう壊憲!　護憲結集!　討論集会」を開催した。社民・新社・みどりの代表参加を得たが、共産は「建設的な意見交換とは無縁」として不参加におわりました。
６，その後2013年7月の参院選での自民圧勝、民主党・革新派の惨敗の中で、二度（7月・11月）の護憲シンポと数度の実行委での討議を重ね、2014/4/29の「護憲円卓会議ひょうご」の発足記念シンポを迎え、そこでの広原講師提言　『護憲運動の力点として、これまでの“求心型運動”（～革新派護憲勢力の結集）かに止まらず、 “拡散型運動”（～護憲意識を持つ保守・無党派を含む市民諸階層との交流）への転換が必要ではないか』を受けて“拡散型運動”の視点からの取組みを始めました。連続講座「各党の憲法観を聴く」はその一環であり、他に同様の例が少なくとも、いや少ないからこそ、改憲国民投票を視野に入れた草の根レベルでの合意形成をめざしたい、それは政局の個々の局面を超えて継続して取り組みたいと思っています。
７、　“連続講座”　「各党の憲法観を聴く」　第１回１１/２・公明党　　“連続講座”　「各党の憲法観を聴く」　第2回１２/１４・民主党　　。　この“連続講座”開催がめざすもの～　（１）国民主権・平和主義・基本的人権尊重を基本原則とする日本国憲法が果たしてきた歴史的役割の理解を深め、広めること。（２）護憲を唱える人々だけでなく異なる憲法観をいだく団体・個人とも意見交換の『場』を持ち、連携・協力の可能性を探ること。（３）一人でも多くの人々と護憲への思いを共有し、解釈改憲や96条先行改憲を絡めつつ国民投票を視野に入れた明文改憲をもくろむ政治勢力と対峙し、『壊憲』への暴走を抑止すること｡
「円卓会議」は、以上を「会の目的」に掲げて本年４月発足しました。この講座開催は、上掲の目的実現の一環であり、各党派遣の講師からその憲法観を聞くだけではなく、参加者との質疑意見の交換に力点を置こうとしています。
８、しかし、この講座開催を本会目的実現の一環として取り組む中で、「この様な党の話を聞いて　護憲を謳う我が会は何が得られると言うのでしょう？」（8/17井上さんメール）とのご意見は、ショックでした。　周辺で展開される多くの市民集会では、私たちの願いをより理論的･実証的に代弁してくれる身近な講師の話を、顔見知りの人たちと共に聞き、共感し、励まされることを期待したものがその大部分であり、参加者を如何にして増やすかに苦労しながら､限られた範囲の人たちに呼びかけ続けてきた～というのがこれまでの私自身の正直な姿でした。これまでの集会開催の視点を乗り越えなければならないと思いました。
９、私はいずれの党であれ、派遣された講師からその憲法観を聞くだけではなく、参加者との質疑意見の交換を通じ、憲法をめぐる論点を整理し改憲国民投票を視野においた「草の根レベルの合意形成」をめざしたい、その視点は大事にして取り組みたいと思っています。従って11/2当日の運営では、フロアー討論とは別に　円卓会議としての質問を文書化し、講師との意見交換の出来るようにしたいと準備しています。これは集会主催者であればこそ可能な取組ですが、同時にそのような試みが生かされるためには、この試みに賛同し具体的な準備（各党の憲法観の事前学習や論点整備など）をして、参加して下さる多くの方々の協力がどうしても必要です。
１０，この問題（上記８・９）は、護憲円卓会議の基本にかかわる重要なことであり、認識の違いとして放置してはいけないと思います。従って10/18本交流会で、護憲運動の力点として“求心型運動”から “拡散型運動”への転換をはかろうとするに到った経緯を報告し、意見交換により合意点･相違点等を明らかに出来た上で、11/2第1回講座を迎えたいと願っています。　皆さんの積極的なご発言をお願い致します。