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正しい戦争は無いコミュの百人斬り訴訟・完全勝利の意義を考える(1)

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「旧日本軍の「百人斬り」めぐる訴訟 本社などの勝訴確定」
http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY200612220388.html

 旧日本軍将校2人が中国で1937年、中国兵を日本刀で殺害した人数を競う「百人斬(ぎ)り競争」をしたとする当時の新聞報道や、後にこの問題を扱った書籍を巡り、2人の遺族が「うそを書かれ故人を慕う遺族の気持ちを傷つけられた」などとして、朝日、毎日両新聞社などと本多勝一・元朝日新聞記者に出版差し止めや計1200万円の損害賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は22日、遺族側の上告を棄却する決定をした。朝日新聞社などの勝訴が確定した。

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 名誉毀損とは、事実を摘示して他人の社会的評価を低下させることをいいますが、今回は、名誉を毀損されたとする人物が個人であるため、「死者の名誉権」の侵害が問題になります。

 この問題については、東京裁判でA級戦犯として訴追され、有罪となった元首相・広田弘毅を題材にした小説「落日燃ゆ」において、登場人物の女性関係に関する記述をめぐる名誉毀損裁判の判例があり、「死者の名誉を毀損する行為は、虚偽虚妄を以てその名誉毀損がされた場合にかぎり違法行為となり」、「遺族が死者に対して有する「敬愛追慕の情」を、「社会的に妥当な受忍の限度を超えて侵害した」場合において、初めて不法行為が成立する」とされていました(東京地判昭和52年7月19日、東京高判昭54年3月14日)。

 本件について、第一審の東京地方裁判所は「一見して明白に虚偽であるにもかかわらず、あえて社会的評価を低下させる「事実の摘示」「論評」をした」うえで、「当該「事実の摘示」「論評」が,遺族の死者に対する「敬愛追慕の情」を、受忍しがたい程度にまで侵害した」場合に、不法行為が成立すると判示しており、「落日燃ゆ」事件と同様の判断の枠組みを示しております。

 そのうえで、
1、本件では、将校2名が東京日日新聞(現:毎日新聞)記者らに「百人斬り競争」の話をしたことが契機となって連載されたものであり、その報道後、将校の1人が「百人斬り競争」を認める発言を行っていたことも窺われるのであるから、連載記事の行軍経路や殺人競争の具体的内容については、虚偽、誇張が含まれている可能性が全くないとはいえないものの、両名が「百人斬り競争」を行ったこと自体が、何ら事実に基づかない新聞記者の創作によるものであるとまで認めることは困難であること
2、被告において捕虜を惨殺したことの論拠とする著述内容等についても、これを一概に虚偽であるということはできないこと
3、さらに、「百人斬り競争」の話の真否に関しては、現在に至るまで、肯定、否定の見解が交錯し、様々な著述がなされており、その歴史的事実としての評価は、未だ、定まっていない状況にあると考えられること
を理由に、本件摘示事実が、一見して明白に虚偽であるとまでは認めるに足りないとして、不法行為の成立を否定しました(東京地判平成17年8月23日)。

 また、第二審の東京高裁においても、「南京攻略戦当時の戦闘の実態や将校2名の軍隊における任務、1本の日本刀の剛性ないし近代戦争における戦闘武器としての有用性等に照らしても、本件記事にある「百人斬り競争」の実体及びその殺傷数について、同記事の内容を信じることはできないのであって、同記事の「百人斬り」の戦闘戦果は甚だ疑わしいものと考えるのが合理的である。」とはしたものの、第一審と同様、将校2名が自ら語ったこと、それを基づいて記事連載があったこと、当時小学生で、将校の講演を直接聞いた著述家の証言も事実に碁打ちしており信用できることなどを理由に、全くの虚偽であるとはいえず、不法行為の成立を否定したのです(東京高判平成18年5月24日)。

 最高裁の上告決定の棄却理由の詳細はまだ明らかになっておりませんが、東京地裁・東京高裁の判断の枠組みを支持したものと思われます。

 この裁判の最大の意義は、死者の名誉毀損の問題に対して、裁判所が非常に抑制的な態度を明確に示したことです。
 第一審・第二審共に同じ判断を示しています。
 「死者に対する遺族の敬愛追慕の情も、一種の人格的利益であり、一定の場合にこれを保護すべきものであるから、その侵害行為は不法行為を構成する場合があるものというべきである。もっとも、一般に、死者に対する遺族の敬愛追慕の情は,死の直後に最も強く、その後、ときの経過とともに少しずつ軽減していくものであると認め得るところであり、他面、死者に関する事実も、ときの経過とともにいわば歴史的事実へと移行していくものともいえる。そして、歴史的事実については、その有無や内容についてしばしば論争の対象とされ、各時代によって様々な評価を与えられ得る性格のものであるから、たとえ死者の社会的評価の低下にかかわる事柄であっても、相当年月の経過を経てこれを歴史的事実として取り上げる場合には、歴史的事実探求の自由あるいは表現の自由への慎重な配慮が必要となると解される。」

 名誉毀損の名の下に、南京戦における蛮行の真相究明を妨害しようとした政治的目論見は、こうして木っ端微塵に粉砕されたのでした。

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