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正しい戦争は無いコミュの「昭和天皇ご発言」メモは、なぜ小泉参拝を止められなかったのか?

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「皇室をどう扱うかっていうところですね。僕、大学のOBにいったんですけどね、小林よしのりの『戦争論』がバカ売れしたとき大喜びしているOBに。『戦争論』は戦争についてのみ語ったものだって。皇室論抜きで保守思想をつくると、大変な混乱になりますよ、変形保守、なんとなく保守が出てくるって。皇室についてきちんと語っておかないと保守は保守自体のアイデンティティが保てなくなるって。案の定そうなっている。とりあえず国益最優先、という形で広がってるでしょ。若者の指示を集められたのは成功だったけど。皇室論は保守派の踏み絵ですよ。」(<癒し>のナショナリズム/小熊英二・上野陽子/慶應義塾大学出版会)

 今さらというタイミングではあるが、この疑問について見解を述べ、みなさんのご感想をうかがいたい。

 昭和天皇のご発言メモ、私は思ったより問題が長引かなかったことが意外であると同時に、日本もここまで堕ちたかと嘆息を禁じえなかった。
 本来ならば、評論家の宮崎哲弥が指摘したように靖国派と皇国史観派に楔を打ち込むものになるはずだった。
 だが、期待されたような反応は返ってこなかった。
 櫻井よしこらの保守論客も、ご発言メモの信憑性という瑣末な議論に矮小化し続けた。

 断言するが、これはリベラルにとっても、保守にとっても好ましいものではない。

 冒頭の発言は、新しい歴史教科書をつくる会に参加していた学生が、上野陽子のインタビューに答えたものであるが、6年経過して、彼の懸念は現実のものになりつつある。
 この学生に、先見性があったかどうかはともかく、彼自身は、運動に関わる現場から、皮膚感覚として、こうした懸念が将来現実化する可能性を感じていたことは間違いないだろう。

 高橋哲弥が「靖国問題」を著したとき、私は「遅れてきた靖国入門書」という感想を禁じえなかった。なぜなら、私が知る靖国派の多くは、こうした歴史観に基づいて参拝していないからだ。
 彼らに話を聞くと、近隣諸国に対する「感情的反発」や素朴な「慰霊精神」、あるいは明確さを欠く「伝統」なる言葉が出てくる。
 そして、一様に「A級戦犯は戦争犯罪人」と答弁した小泉参拝を支持している。また、朝日新聞のような「リベラル」に対する批判に迷いがない。

 私は、率直にいうと、彼らは思想で物を考えていないのだろうと思っている。
 いわゆる「ポジショントーク」なのである。朝日が言ったからこう返す、中国が反発したからこう考える。思考法は常に受身であり、自律的に一貫した思考法ではなく、靖国を批判する人々、小泉純一郎の発言などとの「相対的関係」で、靖国問題に対する見解を述べているのである。

 例えば、彼らの有力な論拠である、国益最優先という考えは政治思想になじむものではない。前掲で小熊も述べているが、国家の外交政策というのは、そのときどきの利益なり戦略で動いているわけだから必ずしも一つの理念に基づいているわけではない。アメリカに擦り寄ったり、自国内のナショナリズムを梃子に近隣諸国に強い態度に出るというのは、いわば当たり前のことだ。
 つまり、外交というのはご都合主義そのものなのである。だから、「国益」で政論を語ったつもりになっているお子様ウヨクたちには、実は思想などない。
 だが、この当然といえば当然過ぎる錯誤を自覚できないところが、彼らが「お子様」たる所以である。
 多様な靖国観というのは、とりあえず、「サヨクを忌避するポピュリスト」たちの、「無自覚なご都合主義」だと考えておいていいだろう。

 そうした人々に「昭和天皇の気持ち」を届けても、通じるはずがない。だが、皇室問題に関して彼らが全くの無関心というわけではない。例えば、総裁選挙が終わり、皇室典範改正問題が再びメディアの俎上に載せられれば、彼らは、安倍晋三が何を言うか、朝日新聞が何を批判するかを相対的に分析し、再び「ポピュリズム」の下に団結するだろう。

 厄介な時代になったものである。

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