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眠れぬ夜の物語コミュの空色の魔法

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あるときのこと。
僕が旅をしていると一人の女の子が泣いていた。

話を聞いてみると、どうやら友達とけんかをしたらしい。
女の子は泣きながらそのいきさつを話してくれた。

けんかをしたことを話してくれた女の子はいつまでも泣いている。
さすがに話しかけた以上、このまま、(^ー)バイバイ、というわけにはいかない。
だがしかし、僕にはどうすることも出来ないのはわかっている。
なぜなら、けんかが長引いてるのはお互い意地を張って素直にならないからで、
どちらかが「ごめん」そういえれば終わってしまうものだからだ。

僕が「素直になれ」というのは簡単だ。
でも、それでは返って素直になる機会を逃してしまうことになるだろう。
えてして、人の意地は、他人に刺激されると余計に強くなるものだ。

さて、どうしよう。

そう思ったとき、不意に思い出した。

そうか、僕は魔法使いだったんだ。

僕はその女の子に魔法をあげることにした。
僕がたった一つだけ使える魔法。

僕がその魔法を使うと、女の子は「空」に包まれた。

泣いていた女の子はとても驚いて、とたんに泣くのをやめた。
実際に空を飛んでいるのではないから落ちる心配はない。
ただ周囲を真っ青な空が包み込んでいる。

女の子は暫くボーっと周囲を眺めたあと一言。

「ひろいね」

そうつぶやいた。
360度空がどこまでも続く。
とても広く、優しく、綺麗で。
なのに、とても・・・・寂しい感じ。
この広い空の中で女の子は一人ぼっちだから。

「・・・わたし、謝ってくる」

そう言って、歩き出す女の子に、僕はこの魔法をあげた。
僕が魔法をあげると女の子は不思議そうに僕を見上げて一言

「いいの?」

そう聞いた。

うん、いいんだよ。

僕には、もう必要ないから。

僕にこれが必要だったときがあったように。
僕がその時この魔法をもらったように。

今これが必要なのは君だから。
僕はこの魔法を君にあげる

そして、いつか君がこれを必要としなくなったとき。
必要としてくれる誰かに手渡してあげて欲しい。

この魔法は今までもそうして伝えられてきたし、
きっと、これからもそうして伝えられていく。

このどこまでも続く空のように、
そうして繋がっていくんだ。

色々な人の思いを受けて。
色々な人の絆を繋ぎながら。

どこまでも続いていく。

何の奇跡も起こせないけど。
ただどこまでも続いていく。

それこそが、この
「空色の魔法」なのだから。

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