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竜巻ランド(TML)コミュの小説トピ1『ブザーニート』

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これから皆で数珠繋ぎで小説を書きましょう!

タイトルは『ブザーニート』です。

前の人が書いた続きを自由に繋げていきましょう電球

コメント(23)

俺の名は竜巻。
不況の煽りをモロに受けた俺は就職活動に失敗し、ニート生活を送っている。
しかし、こんな俺にも夢がある。
それはプロバスケット選手になることだ。
あの臨場感のあるコートを自由自在に駆け回り、華麗なドリブルやパスやシュートで観客の目を釘付けにしたい。
だが、俺は小中高大とバスケットは遊びでしかしたことがなかった。
人は言う。
「お前じゃ無理だ。」
「馬鹿なこと言ってんじゃないよ。」
「真面目に生きろよ。」
「好き。」
言わせたいやつには言わせておけばいい。
夢を持つ権利は誰にでもあるはずだ。
そして、爽やかな春風が優しく日本中を包む今日、俺は地元のプロチームである仙台ガンモズの入団テストを受けに行く。
(さぁ、俺の輝かしい人生第一章の始まりだ!)
俺は勢い良く家を飛び出した。
俺がプロを目指そうと思ったのには理由がある。

それは2010年3月31日。そう大学生最後の日だ。友人達は各々就職先への期待と不安を抱えながら旅立とうとしているまさにそのとき、私は小野重機建設(株)の最終面接を受けていた。まさしくニートにならないための最後の試験が始まった。

俺は友人の親の会社であり、内定は内定していると考えていた。

面接官の社長がこう質問してきた。

『貴方の夢はなんですか?』

優しい午後の光が竜巻を包む。





------------しばし沈黙--------------





『・・・』


『うわぁぁぁぁぁっあ嗚呼XXXfjldg!!!!!!!』




(…ここは…どこだ? さっきまで俺は面接を受けてたはずだったのに)

混乱した心理状況のまま周りを見渡すと、先が霞むほどのだだっ広い荒野にバスケットコートが1つポツンと建っていた。

(なんなんだここは…一体何が起きたんだ?)

訳が分からないまま、俺はコートに向かって歩き出した。
そしてコートの真ん中まで行くと、薄汚れたバスケットボールがどこからか転がってきた。

おもむろにそのボールを取り上げてみる。バスケットボールを触るのは高校の体育の時以来だった。
えもいえぬ懐かしさを覚えた俺は、3、4回ドリブルをついた後ゴールに向けてシュートをした。いやそれはシュートというよりは「投げた」という形容の方がピタリとはまるような雑なものだったのかもしれない。
ボールはゴールボードに当たり、偶然にもゴールに吸い込まれた。

その時だった。
突然、何かが体の中ではじけた。
「バスケがしたいか?」
背後から誰かの声がした。
振り返ってみるとそこには身の丈が2mはありそうな男が立っていた。
「誰だお前は?」
「私はガツ。貴様を救いし者。」
もう一度問う。
「バスケがしたいか?」
「あぁ」
突如現れた得体の知れない男の質問に俺は無意識に即答していた。
「俺を救う者だと?」
「そうだ。」
「なんなんだお前は?俺は何故ここにいて、お前は何故ここにいるんだ?ここはどこなんだ?」
「そんなことを知ったところで何の意味もない。ここではバスケットボールこそが全て。バスケをしたいという貴様の意志だけが全て。さぁ語り合おう!」
そう言うとガツはドリブルをしながら俺に向かって突っ込んできた。
(くっ!意味がわからねぇがやるしかねぇ!!)
『さあ、こい。』
奴はそう言いながら俺に向かって進んでくる。

(くそっ、こんなやつのドリブル止めれるわけねぇっ)
そう考えてた瞬間、奴は目の前にいた。
俺は適当にボールに向けて手を出した。

『遅い!!』
次の瞬間、俺の腕は 奴に捕らえられた。

『こんなディフェンスをするような手ならば、いっそのことこの場で捨ててやる。』

俺は今まで体験したことのない痛みが俺を襲う。

その時、俺の中で何かが弾けた…。
痛む右手を抱えうずくまる俺にガツは言う。

「お前はその右手で何を掴んできた?」
「……。」

ガツは続ける。

「お前の傷みは過去への戒めだ!その右手で掴みとれ!己で抱いた夢を。」
「ガツ…。」

顔を上げるとガツの姿は無かった。

辺りを見渡すと視界の先に真っ白な壁が。

近づいていくと小さく描いてあるメッセージを見つけた。

『Right Hand Lovers』
『…Right Hand Lovers?』

そのメッセージを読んだあと、俺は自然と右手に視線を落としていた。

その時だ。

右手が急に熱をおび、暴れ出したのだ!!
(馬鹿な!俺の意思とは関係なく、勝手に動いてやがる!!)

うわぁあああ!!!!

まるで陸地に上げられた魚のように、あるいは沸騰した水面のように、右手は暴れまくった。

(くそ!なんでだ!!)

慌てて左手で押さえにかかるが、

そのスピード・パワー・俊敏性・急激な方向転換……ハチャメチャに動いているが、明らかに左手とはちがう、その精度・性能に、俺は目を奪われていた。
コイツ…。こんなにも…。

右手が俺めがけて殴りかかってきたことには気がついていた。ただ、俺はよけなかった。

右手の怒りに、気がついていたからだ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

気がつくと俺はベットに横たわっていた。

明らかな現実世界。さっきまでいた世界が夢であったことは直ぐに理解できた。

だがそれでも、右手は熱いままだった。
竜巻はその熱い右手を己のものとして受け入れた。

竜巻の心は広かった。

いや、正しくは器の大きさを誇示することだけが今の竜巻を支えていた。

本当の所、丸山弁護士に相談したい気持ちに押し潰されそうだった。

コーヒーでものんで落ち着きを取り戻そうと自販機に右手を伸ばす。
『なに…!?』

俺は映画の世界でしか見たことのない光景が目の前で広がっていた。

ドドドドドッ

そう、俺の右手はアーノルド・シュワルツェネッガー並の強打、さらに高橋名人並の連打で自販機のボタンを押していた。

(俺の右手は化物か…)
よく見ると右手には一つの烙印が押されていた。

【MJ】

(……んっ…POPの神様……?)

コーヒーを一口含んだとこで思い出した。

(やべっ…どうなったんだ…面接)

もう一口コーヒーを含んだとこで、もう何もかもどうでもよくなった。
昔からの体質だ。
珍しく物思いにふける。
そのときケータイが鳴った。
幼馴染の泉からだ。サルと呼ばれている。

「バスケしない?どうせ暇だろ?」
考える必要なんてない
「あぁ行くよ」

コーヒーを一気に口に流し込んだ。
コーヒー缶にはどっかの会社のキャッチコピーが載っている。
「環境保全だ!!微糖!!エコーヒー!!」

(ふっ…くだらねぇ…何が環境保全だ…関係ねぇ)
右手で握り締めた缶を後ろに放り投げて公園へ駆け出した。


「ありがとうございましたぁぁぁ!!」
コンビニからヨレヨレのスーツを着た男がでてくる。

ヒュンヒュンヒュン!!!!

(んっ!!!!!?????)

バシュッ!!!!!!!!!!!!!


放り投げた空き缶が綺麗な放物線を描き
200m離れたコンビニのゴミ箱の中に吸い込まれた。

(誰だ!?………これを投げた奴は……!?
ヨレヨレのスーツの男は空を眺めてつぶやいた。

「まだ、こんな奴が日本にいたのか・・・」


深くかぶった帽子の下から、男の顔が微かに見える。

男は意味深な笑みを浮かべていた。


---------------------------------------




公園に着いた竜巻は泉との久々の再開に胸を躍らせる。


すぐ近くでは子供達が元気に走り回っている。


それを見た二人は自然と昔の自分達に照らし合わせ、心が穏やかになっていく。

その時代の匂い(バスケットボールのゴム臭い独特の匂い、砂や泥の癖になるような不思議な匂い、近くの家から漂う食欲を誘うカレーの匂い)がよみがえる。



ダムダムダム・・・

ダムダムダム・・・


バスケに熱中する二人。

この時だけは全てを忘れられる。



草むらに横になり休憩する二人。泉は昔と変わらず、横たる際のM字開脚の癖が治っていない。


汗を拭きとり、口から出る息(この時すでに外は結構冷え込んでいた)を眺めながら、右手に走るバスケの余韻を満喫する。
この余韻が竜巻は好きだった。

『俺は確かに生きている』

そう感じ取ることが出来る数少ない現象だからだ。




しかし、そこで竜巻はあることに気がついた。


(・・・何かがおかしい。泉がバスケに俺を誘う??それだけのためにおれを?)


恐る恐る口を開く竜巻。

「なんか話あんのか?」





泉の言葉に竜巻の眼孔は見開いた。







「フッ読み取ったね」


「あぁ」


「変わってなくてよかったよ」


「あぁ」


「ピースライトくれ」


2人は同じタイミングで同じ言葉を言った




通りかかった女がタバコを落とす


「むむっピースライトじゃないですか」


女「へけけ」


「んっ歩く身代金か??!」


女「(眼孔開いてる人すきかも…)」
その女は立ち止まり、落とした煙草を拾うと、ツカツカと俺らに近づきこう言った。

「あなたも、ピースライト吸うの?」

近くで見る女は思いのほか可愛く、何よりも煙草が同じと言うだけで突然に話しかけてくる攻めの姿勢に、俺の心は一瞬で奪われた。

「あぁ、そうだよ。俺は煙草はずっとコレなんだ。」
俺は冷静に、かつ渋めの声で言葉を返した。

「そうなんだ。なかなか吸ってる人いないから、何か嬉しくって話しかけちゃった。」

(たったそれだけの理由で…!?)

「あっ、あたし急いでるんだった!じゃあね。」

走り出そうとする彼女。それを止めたいという一心で声を発する。

「あ、あんた名前は!?」

「あたし?あたしはマミ。マミ・ジョナサン。じゃあねMJさん。」

そう言うと彼女は公園を抜け、街角に消えていった。

(MJさん…?)

ふと右手に視線を落とす。さっきまで意味が分からなく、苛立ちすら覚えていたその文字に急に愛着がわいてきた。

混乱続きの日々の中で、久々に爽やかな気持ちに俺は忘れかけていたサルに話しかけた。

「いやぁ可愛い人だったな。」

振り返ってサルの方を見ると、そこには異形の者としか思えない、まるで悲哀と憎悪が入り交じったようなサルの顔があった。

「ど、どうしたんだサル?」

「彼女は俺がずっと目をつけていた子だ。何度もこの公園を通る彼女を見ていたが、話しかけられなかったんだ。そこで今日、お前をバスケをやるという口実で連れ出して相談に乗ってもらおうと思ってたのに…」
聞き取るのがやっとのか細い声でサルは言う。

「な、なんだよ。それだったらもっと話しかけてれば良かったじゃねーか。」

「一瞬…たったの一瞬会っただけのお前らが互いに惹かれているのはすぐに分かった。」

「なんだよそれ!俺は別に好きとか言ってねーし、あの子だってそんな感じ全く…ウグッ!」

サルは突然俺の首を掴み、さっきまでのか細い声はどこにいったのかという程の太く低い声で言った。

「そんなことは目を見れば分かる!だが、幸いなことに、彼女が最後に認識したのは貴様の右手だ
。貴様の右手をもぎ取り、俺がMJになればチャンスはまだある!」

(く…狂ってやがる。恋は盲目とはよく言ったものだが、こいつは盲目なんかよりずっとタチが悪いぜ…)
朦朧とする意識の中、サルが叫ぶ。

『ディィィッッス・イズッ・ッイィッッットゥッ!!!!!!!!!!!!!』

サルの光速の手刀が右手を襲う。

(ちくしょうっ…就職も恋も出来ねぇまま終わるのかよっ…)

走馬灯のように過去が流れ、あまりの自分の不甲斐ない人生の幕切れに思わず涙がこぼれた。

と、その時だった。

俺の中の何かがハジけた。
突然、サルは豪快に吹っ飛び、その場に気絶した。


最初はなにが起きたかよくわからなかったが、サルの右頬のあたりを見てみると
俺が普段から付けている指輪の跡があった。

どうやら俺の右手が、俺の意思とは関係なくサルの右頬を殴打したようだ。


(・・まさか・・この右手には意思があるのか・・?)


昨夜から続く妙な出来事の数々に俺は疲弊しきっていた。
いや、疲弊しきっていたせいで頭が混乱しているのかもしれない、と自分に言い聞かせていた。

(疲れているだけだ・・。そんなことがあるはずもない・・。)


倒れているサルを見て、今日は高校の奴らと飲み会があることを思い出した。

無論、幼馴染であるサルも一緒だ。



気絶していたサルは、ゆっくりと起き、我にかえっていた。

「ん・・なんか頬がいてぇな・・。竜巻・・・、さっきはカッとなって悪かった。」


殴ってしまった俺も悪いと思い竜巻も謝った。

『いいんだ。俺も殴っちゃったし。
ほら、サル。今日は3-3の飲み会だろ?遅れないように早く行くぞ。』


サルは殴られたせいで少し足元がおぼつかなかったので

地下鉄まで肩を貸して歩くことにした。


それだけで俺たちの中に一瞬生まれてしまった、わだかまりを解消することができた。

そうだ、俺たちは幼馴染であると同時に親友でもあるのだ。
いったい、何度喧嘩したかわからない。そのたびにサルとは心をかわした気がしていた。今日だってきっとその一部なのだ。俺たちの仲は変わらない。


そうして二人は地下鉄に乗り、国分町へと向かった。


そこには懐かしい顔ぶれの、5人の同級生がいた。

「チェッ。おせーよお前ら。料理冷めたじゃねぇか。チェッ」

手前の席に座る五木の舌打ちが響く。

「まぁまぁまぁ。久しぶりなんだからさ。そうだ!そんなことより見てくれよ!新しいケータイだぜコレ。」

いつものようにケリーのケータイ自慢が始まった。相変わらず目が細い。

俺とサルは笑みを浮かべながら奥を指差した。ひっそりとチンネンモカオカマンがマンガを読んでいる。

「飲みにきてんだからマンガ読むなよな」

「今いいとこだから静かにして」

目の前の餃子の如く笑いで包まれる空気。サルがその空気を一瞬で切り裂いた。ヤンキースのスタジャンを身に纏い体を震わせて笑っていた伊木になぜかつっかかった。

「おい伊木。お前最近調子に乗ってるらしいな?」
肩を軽く小突いた。
「あぁ?サル…お前も最近調子に乗ってるらしいな?」
伊木もサルの肩を小突いた。
お互いに睨み合う2人だがどこか迫力がない。

それを唯一のレディー代表である帰国子女のユーイが止める。

「STOP IT!!OK カントリーマァム。ケンカは止めよう I think。」

「ゴメンよユーイ。ふぉっふぉっ。」

顔を赤らめながら伊木が肩を震わせて謝った。声をかけられて嬉しさがにじみでてるようにも見てとれる。

各々のアイデンティティが衝突はするものの、最終的には平穏が訪れる。

(俺たちの関係をイラクに見せつけてやりてぇぜ)

そんなことをふと思う竜巻の視線の先には1枚のポスターが貼られていた。

【3ON3仙台大会〜夢への第1歩〜】

(スペシャルゲスト……仙台ガンモズキャプテン……井上義彦……)

鼓動の高鳴りを確認する。

(これだ…………)
急にまた右手が疼きだした。

「おい、お前ら!これに出ようぜ!!」

俺は騒がしい居酒屋の客が全員一瞬喋るのをやめるくらいの大声を出した。

あっけにとられるみんなの顔を尻目に俺は続けた。

「この3ON3の大会に出るんだよ!」

何を急に言い出すんだ。といった顔でみんなが俺の顔を見る。

「俺はこのために生まれてきたのかもしれない!」

そして、ここ最近起こった不可解な出来事の一部始終を俺はみんなに話した。



話し終わると、みんな難解な、冗談だろという顔をしていた。
(まぁ、無理もないか・・・)

すると突然、ユーイが口を開いた。
「Oh〜Wonderful!! エクエクエクエクExecelent!!それはMaybe、GODのお告げだよ!みんな!トルネードに、いや、TATSUMAKIに協力してあげようよ!」
みんなはユーイの発言によりさらに戸惑った。

「神?ばかかこいつは。」
「負け戦に行く意味がないだろ。」
「そんなことの前に職探せ。」
「好き」

言わせたいやつには言わせておけばいい。
夢を持つ権利は誰にでもあるはずだ。

そして同窓会の帰り、俺はメンバーを誰にするか考えていた。いや、だれが一緒にやってくれるかを考えていたというほうが正しい。

そこでおれはあることに気づいた。

おれはどんな選手なんだ??

その答えを探しに俺はバスケットコートに向かった・・・
昼間の公園とはうって変わり、深夜の誰もいない公園にポツリとたっているコートは、少し不気味さすら漂っていた。

コートを囲っているフェンスをよじ登ろうと近づいたときだった。

「ん?おかしいな。」

いつもは夜になるとコートの入り口の扉には鍵がかけられているはずなのに、何故か鍵が開いていた。

(誰かいるのか?)

暗闇に薄目を凝らしてみてみると、スーツを着た男がリングの下に座り込んでいた。

「来ると思ってたぜ・・・」

男はおもむろに立ち上がり、手に持っていたバスケットボールを俺に向かって投げてきた。
「お前のすべてをぶつけてこい。」

わけもわからないこの状況。目の前にはどっかで見たことのある顔のやつがおれに勝負を挑んでいる。

(わけわかんね〜やつだな。ま〜ちょうどいい、俺のスタイルを見出してやるっ)

とは考えたものの、俺は体育でしかやったことのないバスケットにどんなスタイルがあるのかなどわかるはずもなかった。

だが俺は昔、あるバスケット漫画を読んでいた。あのスラムダンクにでていた流川のようにすばやく切れのあるドリブルで相手を抜かせればおれの将来は明るいはず。

そう考えた俺は最高速度で相手に向かっていった。

バシッ!!

(なにっ!!!!!!)

ドリブル開始から一秒後、ボールはスーツを着た男がもっていた。

「そんなドリブルであの大会にでるつもりか?そんな自分の持っている才能に気づかずに中途半端なドリブルをしてるようならば死ぬぞ?ゴール下は戦場だ。半端な覚悟では死ぬ。それを頭に入れておくんだな。」

(俺の持つ才能だとっ??)

俺は右手を無意識に見た・・・
見慣れた手がここにある。(なのになぜだ?まるで…)

「お前だけ少し先にいるみたいだ」

無意識のうちに竜巻がそう呟いていた頃、スーツの男は、急に右手を見たまま動かなくなった竜巻を気味悪がって見ていた。
(…気持ちわるいな。いつまでそうしてるつもりだ)
「おい!お前」

スーツの男は急かすように竜巻に声をかけたが、様子は変わらない。
(聞こえてないのか?)

竜巻の集中はさらに右手に高まっていた。そして再び、右手が独立した感覚に襲われる。
しかし、それと同時に竜巻は理解しはじめていた。
(……コイツ)


その時だ。

「お前!!!いい加減にしろよ!!」
竜巻にしびれを切らしたスーツの男はそう言うと、持っていたボールを竜巻の顔目掛けて勢いよく投げた!!
(俺の勘違いだ。コレで明日の朝までねんねしとけ!)

ボールは致命的な速度で竜巻の頭を狙っており、それは間違いなく
「直撃っ!!」


するはずだった。


パシ。

!!!!!???!!!

「なにっ!」
スーツの男は思わずそう叫んだ。それもそのはず、なぜなら、竜巻をKOさせるはずだった豪速球が、軽々と竜巻の右手によってワンハンドキャッチされたからだ。
(一度もこっちなんて見てなかったはずだぞ!!???)


静かに顔を上げる竜巻。眼光は鋭く、全身から危険なオーラが漂う。

スーツの男は、緊張から一歩、後ずさる。(なぜだ!?)

夜は濃くなり、空気は張りつめた。

戦慄すらあるかもしれない。そんな中。
ボールを掴んだ右手を見ながら、フツフツとわいてくる不思議な感覚に、

竜巻は笑った。

竜巻は自らの手を自分から剥離し、別の固体として傍観していた。

(言葉がなければ、俺もまたこの右手のようだ)

深夜、コートに放たれた男2人とバスケットボール。

軽く酔いがまわった身体に小気味よい緊張感。

しかし竜巻には困った癖があった。

竜巻は酔っ払うとオネエキャラになる。

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