The Units ユニッツ！！コミュのScott Ryserインタビュー集

ユニッツのリーダー、Scott Ryserのインタビュー集です。
気に入った部分を一部下記に抜粋。

音楽について
「音楽は、私にとって悲しい運命だけではないという望みを与えてくれる数少ないものの一つだった。音楽には、暗くて、孤立した危険な場所を照らす力がある。そして、混沌に対して癒しと良い感情と個性を与えてくれる。音楽を演奏することで、私はようやく誰かと情報交換ができたように感じた」

「音楽を演奏するということは、小さい町の子供として生まれ、将来が予想できる決まった運命から逃れる唯一の方法だった」

初めてのバンド
「弟2人と組んだ“Brothers and the Others”は私がいた最初のバンド。私は12で、ケンは11、トムは9歳だった。2人の他に近所の子供がバンドのメンバーにいた。最初は、私たちはバンドというより一種のギャングみたいだった。みんな同じ服を着た。そして、一緒にいろんな所に行った。映画館に行って、ほぼ列の全席を占めることが特に楽しみだったね。誰も演奏方法なんて知らなった、どうにか、3曲作って、地元の小学校で2、3のギグを行った。それは、とってもクールであると感じさせてくれた」

ユニッツ結成
「1971年、私とティム・エニスがユニッツを始めた時、北カリフォルニアの荒涼とした町の小さな製材所で深夜勤務をしていた。私たちは19才だった。製材所で得たお金を持ってサンフランシスコへ車で行くことに決めた。私はそこで新しいシンセサイザーを買うことができた」

シンセについて
「ロバート・ムーグはちょうどミニムーグと呼ばれる携帯型シンセサイザー出したばかりだった。そして、楽器のセールスマンがサンフランシスコで、私がそれを買った最初の一人だって教えてくれた」

※スコットは1972年に購入したミニムーグを今でも大切に所持している

「私は、いわゆる"ギター・ボーイ・バンド"の手法に飽きていた。新しいサウンドを作りたかったんだ。それができると思った唯一のやり方は、新しく異なる楽器を使うことだった。シンセサイザーは完璧な楽器だった。ゼロから完全に新しい音をつくることが出来たんだから。それは、まさしくD.I.Y.で私のパンク精神そのものだった」

「ミニムーグが出るまで、シンセサイザーは手にあまるような、使うには大きく重くて、高価だった。大学のような場所に置いてあるような代物だった。しかし、ミニムーグは携帯用で、しかも入手しやすかった。それは、電子音楽を本当に民主化した。もはや大学に行く必要なんかなかった。そして、正しい使い方を教えられる必要もなかった。望んだどんな音も作り出すことが出来た。私は思考を広げ、可能性で溢れていた」

「独学であったことについて最高のことは、直観で、自分の内側にある感情が繋がり曲が書けたこと。手を鍵盤についた時、頭の中にメロディーさえなかった。メロディーは、私の手から出てくる。私の頭からではないんだ」

「ミニムーグ・・・それは素晴らしい冒険に私を連れ出してくれた。私が理解できる方法で、私自身が自己表現できる力を与えた」

ギターについて
「私は、楽器としてのギターに対して何の悪感情もないよ。しかし、大衆文化において、多くの音楽家と音楽業界が、ギターに政治的なメッセージや未来の必需品だとか、ファッションとしての役目を持たせたことは私を悩ませた」

シンセバンドについて
「ユニッツはサンフランシスコ初のシンセサイザーバンドと呼ばれた。そして、ニューヨークのスーサイドとLAのザ・スクリーマーズと共に、米国初のシンセバンドの一つだった。そのどのグループも全く民間ラジオ局では放送されなかったね」

スコットの音楽嗜好
「私の音楽趣味はとても幅広い。クラシックミュージック、ジャズ、フォーク、ブルース、ファンク、レゲエ、ロック、パンク・・・。よく聴くのは、ベートーベンの第5、バディ・ガイとジュニア・ウェルズに続いて、ダイアナ・ロスとザ・スプリームス、ジミヘン、ジェイ・リータードとテラー・ヴィジョンズ、フィリップ・グラス、ジョン・コルトレーン、キッチン＆プラスチック・スプーンズ。そして変わったシンセバンドが好きだね」

「私が好きなバンドに共通してオリジナリティと感動できる要素があること。作詞・作曲や演奏で影響を与えたアーティストは、シンセプレーではルイ・アームストロング、デューク・エリントンとジミヘン、歌唱面では、ハンク・ウィリアムズとビーチ・ボーイズ、実験面ではジョン・ケージ、メレディス・モンク、テリー・ライリー、フィリップ・グラスとスティーブ・ライヒ、面白さはザ・トロッグス、ザ・モダン・ラヴァーズとイギー・ポップからだね。彼らの好きなところは共通性ではなく、むしろ他との違いなんだ」

音楽活動の停止
「1984年は、私たちが破壊しようとしていたシステム上で活動をしてしまっていた。大手エピックとサインし、彼らは私たちの音楽を平凡でピカピカしたウソっぽいのに変えようとした。私たちはイングランドで新しいアルバムを録音しようとしていた。そして、A&Rの男がやってきて、マイケル・ジャクソンやシンディ・ローパーのようなサウンドに変えるよう言い続けた」

「私たちの作ったアルバムは彼らに言わせたら全く商業的ではなかったから棚上げされた。ツアーは多くのビッグバンドの前座だった・・・。もう(パンク思想の)フィルムを流すことは許されなかった。本来の私たちのライブの良さは尊重されなかった」

「その年、我々のマネージャー（レイチェルの兄弟）は、ドラッグのオーヴァードーズで亡くなった。サンフランシスコ警察から電話が来て、刑事は元ユニッツの地方公演のマネージャーが殺人罪で調査されていると私に話した。私たちが以前ビル・グレアム傘下のレーベルと契約を更新しなかったので、ユニッツは西海岸にあるグレアムの息のかかった会場から出入り禁止にされていた。ご覧の通り突然、音楽産業が本当に汚いと感じた。そして、音楽を演奏することに楽しみはなく、意味も見出せなくなった」

その後・・・
「私たちははニューヨークへ引っ越して、家族とデザイン・ビジネスを始め成功した。振り返ってみれば、それは本当に良い決断だった。ビジネスと2人の子供との間で、週7日、1日24時間本当に忙しかったけどね。常に多くの音楽を聴いてはいたが、子供が大学へ行くまで、私は音楽を演奏して、レコーディングするような時間はなかった」

バンドメンバーであり、妻であるレイチェル・ウェバーについて
「レイチェルは初めて見た時から素晴らしくて、刺激的だった。私はとても幸運だった。愛せる誰かを見つけることが出来れば誰でも幸運だよ。けど、パートナーでも親友でも、大変な時に人生を共にし、バックアップしてくれ、協力できることは何より良い。私は、彼女がいなかったら人生がどれくらい異なっていたか想像することはできない。彼女は私の全弱点のバランスを取ってくれる存在であり、創造的にさせてくれる」

※2人はTHE UNITS活動中の1979年に出会い、音楽活動終了後の1987年6月29日にNYで結婚

今後のユニッツのライブ活動について
「たぶん。あると思う」

ユニッツの評価について
「これだけの年月が過ぎても、一部の人がユニッツがまだ非常に魅力的であると分かってくれる世界にいられることはうれしいことだ」

※写真：ミニムーグと現在のスコット氏(2013年)

★2009/11
http://www.earcandymag.com/theunits-1109.htm

★2009/11/30
http://thequietus.com/articles/03318-the-units-high-pressure-days-in-san-francisco

★2012/05/17
http://freemusicarchive.org/curator/WFMU/blog/Digital_Stimulation_An_Interview_with_the_Units_Scott_Ryser

★2013/05/12
http://conversationswithbianca.com/2013/05/12/the-units-scott-ryser/

☆2015/08/11
http://loser-city.com/features/scott-ryser-units-interview

☆2016/08/08 Pt. 1
http://blurtonline.com/feature/pressure-bold-new-world-scott-ryserunits-pt-1/

☆2016/08/08 Pt. 2
http://blurtonline.com/feature/pressure-bold-new-world-scott-ryserunits-pt-2/