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お竜の映画日記コミュの「春婦伝」

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「春婦伝」
昭和40年(1965)年、日活 
原作:田村泰次郎
監督:鈴木清順 
脚本:高岩肇 
撮影:永塚一栄 
美術:木村威夫 
音楽:山本直純
出演:川地民夫・野川由美子・石井富子 玉川伊佐男・今井和子・若葉めぐみ 松尾嘉代・森みどり・初井言柴 江角英明・小沢昭一・藤岡重慶 加地健太郎・久松洪介

最初から最後まで野川由美子の鬼気迫る演技に圧倒された。見事だ。第二次大戦中の天津を舞台にひとりの売春婦の姿を追っていく。

自分を捨てた男への腹いせに、仕事に精を出す春美(野川由美子)しかし傲慢な副官のレイプまがいの仕打ちに悔し涙を流しながらも、肉体の快感に溺れていく…。賢明な彼女はそんな自分が悔しくて泣き崩れる。このあたりが普通の売春婦と違うところ。

「肉体の門」でも垣間見えた野川由美子の豹のような鋭い目力に魅せられた。最初は憎い副官への復讐のように彼の当番兵の三上(川地民夫)を誘惑していくがだんだんとお互いに本気になっていく。

二人の関係がばれて三上は最前線へ。爆撃の中を三上を探しに戦地へ飛び込む春美。このあたりの爆撃のシーンが凄い。

久々に清順映画のパワー炸裂…。自分は売春婦であるという引け目なんか、全然ないところが凄い。副官だろうとなんだろうと、怒りをそのままぶつけてくる激しい気性の彼女が、三上の前だと小娘のようになる。

一歩間違えば、下品なだけの女を鈴木・野川のコンビで描くとこうも骨太の映画になるのか…。あああ、まさに清順マジック…。

戦火の中を二人で逃げまとう。二人で逃げることもできたのに、三上が(日本男子として)自決すると手榴弾を手にする。それまでは狂ったように「死なないでええええ」と叫んでいた彼女が、いきなり私も死ぬと彼に抱きつく。

もう哀しさを通りこして胸がかきむしられるようだった。これは恋愛映画だったんだと最後に気がつくのだけど、二人をめぐるまわりの兵隊たち。

彼を殺すように命じられても上官の命令に従わない兵隊達。二人が死んで、「非国民、最低の奴」という上官の演説に対して、「あいつは勇敢な兵士だった」「春美はいい身体していた。いい女だった」と愛惜の声をいれるところになんともいえない監督の人間に対する救いみたいなものが感じられて思わずジーンときた。
救いようがない哀しい結末なのに見たあとに爽やかな感動が。
これだから清順映画はやめられないなあ。5つ。(2008年・1月鑑賞)

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