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お竜の映画日記コミュの札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥(1975年・東映)

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読売ランドの「グリソム」で10月30日に関本郁夫監督の『札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥』を鑑賞。

今年の春に開催された「仁義なき戦い 組長の首」の上映会とトークショーの時の関本監督のお話がとても印象的だったのと、この作品をもう一度甦らせたいという監督の発言を聞いて、有志の協力もあってニュープリントで上映されると聞いて絶対に観たいと思った作品だった。

1975年/東映京都作品/カラー/82分
監督:関本郁夫
脚本:猪又憲吾、関本郁夫/撮影:中島徹/音楽:荒木一郎
出演:芹明香、東龍明/ナレーター:山城新伍


(感想)
冒頭から、芹明香(トルコ嬢)が全裸でマンションの窓から眼下の町に向けて、放尿するという人をくったようなオープニングに度肝をぬかされた。山城新伍のナレーションで、トルコの実態をドキュメント風に取り入れる中に、主演の芹明香とヒモの東龍明が全国を渡り歩くロードムービーをドラマチックに淡々と描いていく。

真っ赤な口紅に薄幸そうな、たよりなげな表情の芹明香。小振りの乳房とスレンダーな身体が清潔感を与えているのと反比例して、強烈な牝のフェロモンがむんむん伝わってくる。仕事が終わり、酒場にいくとヒモの東龍明がニッコリと嬉しそうに迎える。これが長髪に口ひげにメガネと、優しさと人がいいだけが取り得のような、箸にも棒にもかからない情けない男。

まさにダメ男に引かれる女。二人は町や仕事にあきたら、次から次へとトルコを転々とする。少しでも条件のいい店を探して。まさに渡り鳥。

途中でドキュメンタリータッチのようなトルコのプレイの様子が映し出される。正直、初めてみたので最初はちょっとドキドキしてみていた。トルコ嬢が一人から二人、どんどん数が増えていき…。最後は4人の女性に一人の客という、ダイナミックな(三輪車から六輪車にまで女性が増える)サービス。しかし、ピンク映画でもっと濃厚なHシーンに慣らされたせいか全くHな感じがしない。泡を使った器械体操を見ているみたい。情緒もスケベ心も全く感じられなかった。

それより、映画は若いトルコ嬢とヒモの男が移動の車中でも、片時も離れたくないように、ぴったり寄り添っているシーンや、家の近くなのに女の方が我慢できなくなって「しよう」と川の側の船着場に誘ってセックスをする様子を丁寧に描いていく。移動途中で、車がエンストして、車を降りて二人で車を押すシーンは、BGMに(荒木一郎)の甘ったるい音楽が流れて、まるで青春映画のような爽やかさが…。バッグにトルコ嬢に恋人とのSEXはやはり、違いますかという問いに

「精神的なつながりが欲しくなる」
「5年も働くと、胃と内臓がみんなボロボロになるから」

という生声がリアルだ。愛だよ、愛。
仕事として、身体を売っても、恋人(ヒモ)だけはいつも側にいてくれる。支えてくれる特別の男。たとえ、甲斐性がなくても、顔が悪くても男らしくなくてもいい。自分だけを愛してくれていたら。

こうやって、均衡が取れているうちはいいが、彼女が可愛がっていた子犬を交通事故で死なせてしまい口論に。あんたは犬の面倒を見ることぐらいしか出来ないのよ。という言葉に男が逆切れして、髪をひきずって裸にして首を絞め殺そうとする。ほうほうの体で、隙を見て裸で逃げ出した彼女は、タクシーを拾って逃げ切った。ダメンズから、逃げだした彼女に思わずよくやったと思ったが、暫くして彼女はヒモのもとに帰っていった。

圧巻は故郷の下北郡の海辺で、一人で海をみつめるシーン。
6年ぶりに帰った故郷だったが、すでに彼女の居場所はない。

荒れ狂う、激しい波しぶきをみつめる女。その激しさは彼女の歩んできた人生のよう。冷たい風と波しぶきを浴びながら、一筋の涙が流れる。ひとことの説明もナレーションも入らないがその映像がすべてを物語っていて、万感迫るものがあった。

北の札幌から、九州の博多まで、二人の旅は続いていく…。

ラストは田名部という知らない駅からどこかに流れていく汽車の中。芹明香がトイレが使用中だったために、後部の扉をあけてしゃがみ、車外に気持ちよさそうに放尿する。有無をいわせぬ説得力で押し切っていく。説明なんかいらない。



芹明香…。どこかで見た顔だと思っていたら帰ってきてから気がついた。テレビドラマ「前略おふくろ様」で料亭の女将の家出した婿養子の旦那(桜井センリ)の愛人役で出演していた。真っ赤な唇に淫乱そうな、いかにもという感じをうまく出していて、当時、強烈な印象に残っていたので。この作品のまんまだった。



追伸:11月21日(土)からシネマヴェーラ渋谷の山城新伍特集でこの作品も上映されるそうです。

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