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荻原魚雷の週刊連載コラムコミュの第五回『誰でも公務員』

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第五回『誰でも公務員』荻原魚雷


 二日酔いで、起きたら午後二時。
 ここのところ、部屋にこもりがちで、曜日感覚がなくなっている。外出といえば、自転車で中野のまんだらけ、荻窪のささま書店に行ったくらいだ。家賃を払い、アパートの更新料を払ったら、金がなくなり、本と漫画を売りに行ったのである。

 すこし前、出版社で働く知り合いから電話があり、今年の流行語大賞の予想を聞かれた。大賞は「草食男子」、次点は「婚活」と答える。

 今年の大賞は「政権交代」だった。
 以下、「こども店長」「事業仕分け」「新型インフルエンザ」「草食男子」「脱官僚」「派遣切り」「ファストファッション」「ぼやき」「歴女」が選ばれた。

 トヨタは「こども店長」と「派遣切り」で二冠達成ですね。ぜひとも「こども店長」には、「黒ネコのタンゴ」の歌手(タイヤ泥棒でつかまる)のような大人になってほしいです。ウソ。おめでとうございます。

 不況のせいか、将来、公務員になりたいという子どもが増えているという。ちなみに、わたしは子どものころ、二十一世紀になったらロボットが働き、人間は遊んで暮らせる世の中になることを夢見ていた。

 ときどき、誰でも公務員になれたらいいのにとおもう。
 とにかく、人手が足りないといわれる職業は、すべて公務員にする。
 たとえば、農業や漁業や畜産業や林業の従事者を公務員にする。看護婦や介護士やマンガ家のアシスタントも公務員にする。もちろん、公務員になるかならないかは選択制にする。
 そのかわり働く場所はあるていど制限する。人気の職種はくじびきで決める(公団住宅みたいに)。

 公務員が増えれば増えるほど、給料は安くなる。そうすれば、もっと儲かる別の仕事をしようとおもう人も出てくる。危険な仕事は高く、事務職は安くしてもいい。
 雪山救助の映像を見るたびに(もしくは石塚真一の『岳』を読むたびに)、わたしは「あの人たちの年収が一億円でも文句はいわん」とおもう。

 おそらく犯罪も減る。
 年越しの金がなく、刑務所にはいるために、わざと軽犯罪でつかまる人がいる。わたしも生活に困るたびに、その考えが頭をかすめる。

 毎年百人くらいは実行しているだろう。もっといるかもしれない。

 いつでも公務員になれるのであれば、わざとつかまる必要はなくなる。多少は税金が高くなっても「いざとなったら自分も世話になるかもしれないし」とおもってガマンできる。職に困らないとわかれば、転職もしやすくなる。
 失業保険もいらなくなる。
 いいことばかりだ。

 ただし、公務員が大多数になれば、その待遇改善要求の声は強まる。彼らの給料は上がることはあっても下がることはない。自分たちの利権を守るため、新規参入の公務員を拒むようになる。
 その要求に反対する政党は、選挙で勝てなくなる。

 まだロボット開発に予算をまわしたほうがよさそうだ。

(毎週水曜日 掲載予定)

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