コリアキネマ倶楽部コミュの「花はんめ」

　川崎市桜本地区（いわゆるセメント通りの裏手、川崎コリアタウン）に住む80前後のハンメ（お婆ちゃん）達の「今」と「夢」を描いたドキュメンタリー。監督（在日２世）曰く「故意に過去は描かなかった。今、輝いている彼女たちを撮りたかった」そうで、ステレオタイプな在日映画を想像して観に行くと肩すかしを食うかもしれない。想像力のない人が見ると、深さが分からないかもしれない。でも...

　さんざ苦労を重ねて来たであろうハルモニ（お婆ちゃん）達の生き生きとした様、老いっぷりが愛おしい。日本人の高齢者との交流など、地域（川崎市など）の多文化的な交流（トラジの会など）もうかがえ、興味深い。コレと言って何も起きない映画だけど、まったく眠らなかった。

　監督のティーチインによると、昔の一世達は話したがらなかった、それどころか写真を撮ることすら嫌がったらしい。それが、80歳になってやっと、喋り始めたそうな。恨がわずかでも溶けつつあるのでしょうか。全部はもちろん無理だけど。だとしたら良いけどね。