ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

shima-seminar 4thコミュの卒業論文について

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 意外に思われるかもしれませんが、大学の卒業にあたって論文を提出し審査を受けるという制度は、わが国特有のものです。明治維新の後、近代的な高等教育制度を導入するにあたって当時の指導者たちが手本としたのは、独、英、仏といった西欧諸国、そしてアメリカの大学制度でした。当時、西欧諸国の大学にはいわゆる「卒業」という観念がなく、大学での学習の完了は専門的職業の資格の取得、または著作や論文による学位の取得という形で認定されていました。一方、一定量の教養ある中産階級の創出を託されていたアメリカの大学では、必要とされる教科を学習し、それぞれの試験に合格して一定数の単位を取ることによって卒業資格を獲得する、という定型化した形態が一般的でした。
 簡単にいうと、明治初頭のわが国は、その両者のシステムをともに取り入れてしまったのです。そこで、単位取得による卒業の認定というタイプでありながら、卒業のための論文も課すという日本型のシステムが成立することになりました。すでに明治10年の東京大学発足の際にはその原型ができあがっていて、全学部で卒業論文が課せられていたことが当時の履修表を見るとわかります。その後、各地に続々と官立、私立の大学が設立されたが、そのほとんど全てが東京大学をモデルとしていたため、論文審査による卒業とザうシステムも引き継がれ、定着していったと考えられます。
 そのように、いわば変則的に誕生したわが国の大学卒業論文ですが、それが現在まで変容を遂げながらも、とにもかくにも続けられてきている背景には、基礎的学習中心の教科の履修と、その成果の応用・発展としての卒業論文とが、それぞれの教育的特性を生かしながら、相互補完的に働き合ってきたからに他なりません。事実、すでに教科の履修自体に専門的・実際的な要素が強く認められる法学、医学、経済学などの分野では、卒業論文を課す大学の数がきわめて少なくなっていますし、理学、工学などでは、論文執筆よりも実験や観測、フイールドワーク、機器の制作などを実際に行うことの方によりウエイトが置かれています。
 それに対して、学間の性格上、哲学、文学、歴史学などの分野では、現在なお卒業論文の執筆それ自体に重きが置かれています。つまり、一口に卒業論文とはいいながら、その内容は学間分野によって大きく異なっているということです。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

shima-seminar 4th 更新情報

shima-seminar 4thのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング