Ｊブンガクコミュの第１９回『桐の花』

第１９回『桐の花』

mixiユーザー 2009年12月13日 20:48

本日のフレーズ

原文）「なつかしいではないか」

英訳）What fond memories we have!

作品への入口

妖しいまでに絢爛たる異国趣味に彩られた詩集、『邪宗門』の詩人として知られていた北原白秋は、短歌という古くからの詩形式に、強烈な官能の余韻や、激情の背後にある幽愁を託した。感覚の輪郭線を指先でそっとなぞるような言葉によって、詠ぜられたものはゆるやかな空気の中に、一瞬の鮮烈を映し出す。トロムボーン、露西亜煙草、硝子杯、目白僧園。白秋は清新な感性により、旧来の和歌が扱うことのなかった西洋の文物都市生活の日常など、新しい詩語の領域を開拓し、近代青年の倦怠感を耽美的に歌いあげたのだった。どの歌の中にも、選びぬかれた韻律によって美しい音楽性が感じられる、近代短歌史における記念碑的な歌集である。

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