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物語を始めようコミュの【文】不細工少年

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【フィクション】





「おや、先客がいる」


銭湯から戻り、公園に帰ると土管遊具の中で煙草を吸っている少年がいた。




「おい、坊主。そこはアタシの場所だよ。出て行きなさい」


少年は驚いて声のした方を振り向いた。


「びっくりした」


「びっくりしたのはこっちの方だよ。勝手に人のネグラで煙草を吸いやがって」


「何言ってんだ。ここはオジサンの家じゃないよ。ここは市の公園だろ。

浮浪者のくせに若者に説教垂れないでよ」


「生意気な坊主だ。いいかい、アタシは浮浪者なんかじゃないよ。

職もあれば家もある。

お前のような金を稼ぐことも出来ない、ただの親の脛かじりの坊主とは違うんだよ」



「坊主坊主って失礼なオジサンだな。ボクにはちゃんと名前がある」


「では名を名乗れ」


「言いたくない」


「面倒くさい坊主だ。いいからさっさと立ち去れ」


「イヤだ」


「アタシだってイヤだよ。明日も仕事があるんだ。さっさと寝たいんだよ」


「・・・邪魔しないから、今夜一晩ここにいさせてよ」



「坊主、お前の嫌いなものって何だい?」


「え?何?それって食べ物?人?」


「何でもいい」


「ボクの嫌いなものは外見ばっかり綺麗で心が不細工な女。

付き合おうって言ってきたのは向こうなのに、勝手にイメージが違うって振られた。

アイツはボクの事、並んで連れて歩く分にはちょうどよかったって言った。

ボクの事、何にも見てなかった」


「ふん。つくづく生意気な坊主だ。

お前みたいな男と付き合った女が可哀相だね。

不細工なのはお前の方だ。

どうせ、お前は自分のことばっかりで相手のことを何にも見ていなかったんだろう。

歩み寄りもしないで人のせいにばっかりして、そんな男は振られて当然だ。

大体、彼女の心を変えられなかったお前がだらしないんじゃないか。

お前が本当にカッコイイ男ならその子だってそんな風には言わなかっただろうよ。

まあ、いい。アタシには関係のない話だ。

それよりお前のあだ名は不細工だ。

おい、不細工、さっさと端に寄りな」


「ええ、何それ。イヤだよ、不細工なんてあだ名」


「お前が名乗らないから悪いんだ」


「じゃあ、オジサンは何て名前なの?」


「不細工に名乗る名前など持っていないよ」


「それじゃオジサンのことオジサンって呼ぶからね」


「お前は本当に失礼な子だね、アタシはオジサンじゃないよ。まだ若い」


「どうしようかな、ホームレスでもないし、オジサンでもないし」


「人の話を聞きなさいよ」



「ホームレスじゃないけどホームさんってのも呼びにくいし・・・。

わかった!オジサンはハウスさんだ!」


「何だい、その名前。カッコ悪い名前だ」


「ボクの不細工よりマシだよ。ハウスさんで決まりね!

じゃハウスさん、おやすみなさい」



「くたばれ、不細工。明日には家に戻るこったね」







そうしてハウスさんと不細工は土管で眠った。


春の夜はまだ冷える。





「不細工、この毛布を使いなさい。凍え死にされても目覚めが悪い」



*******************************



一応単発ですが、シリーズものですクローバー

続きも読んでくださったら嬉しいです。

よろしくお願いしますm(__)m




まとめURLです。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1276430533&owner_id=24383800

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