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とりあえず怖い話。コミュのでびノートν(21話目)

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



7月24日(日)

朝の7:00

『−今日のニュースです―』


ブラウン管の中では、今日もスーツを来た真面目そうな人がニュースを読んでいる。


…それにしても、菫村の奴め…。


結局、セフレは英和辞典には載っていなかった。


かといって国語辞典にも。


…くそう…何なんだセフレって…。


今日の夕方、京子オバサンにでも聞いてみるか?




『つづいて、芸能ニュースです。

なんと今日は、ゲストにボッキーさんをお招きしています!』

『皆さんオハヨーございまーす!』


 セフレが何なのか、すごくモヤモヤしているオレの耳に、

皆のアイドルボッキーの声が入ってきた。




…またコイツか…。

なんか最近のテレビ、この子ばっかりだな。


テレビを消そうとリモコンを握る。



…ん?



と、テレビに映るボッキーの顔を見て、オレはリモコンを置いた。



「…この子…そういえば似てるな…。


昨日…助けた子に…」



 部活で忙しいオレは、ボッキーの顔をまじまじと見た事がなかったのだが、

今日改めてみると、昨日のあの子に似てるといえば似ているような気がした。


「…ま、他人の空似ってのはよくある話だしな…。

それに、昨日の子はボッキーみたいに化粧濃く無いし…。

どう見ても小6だったしな」



 プチッ。


オレはテレビを消して、朝食を摂る事にした。


 もぐもぐもぐ…。


今日の朝食は、目玉焼きと米飯。そしてレタス。


バレー部に入部して、筒井から『野菜もちゃんと摂らなきゃだめよ』とのアドバイスを受けてから、野菜は毎日食べるようにしている。






 「行って来ます」


誰も居ない家にそう言って、今日もオレは部活に向う。



学校に着いたのは八時半。


今日は一番乗りだ。



 昨日は色々あってギリギリになってしまったので、今日はお詫びに一人で準備しよう…。


せかせかと、オレは一人で部活の準備を始めた。




「…お!今日は早えーじゃねーかマーガリン」

「あ、楠木おはよう」


五分ほどすると、楠木が登校してきた。


…そっか、楠木は皆に嫌な態度とったりしてるけど、


よく考えたらいつも一番にやってきて、準備してくれてるんだな…。



 楠木の普段隠れている良さが、また一つ今日見えた気がした。





 部活が始まり、


調整程度の練習が終わる。



11:30頃に片付けも終わり、帰宅する。


「じゃあな菫村!」

「ああ!また明日!」



 菫村と別れ、家に着いた頃には、時計は11:40を表示していた。



とりあえずカバンを置き、おなかが減っていたので簡単に昼ごはんを作る。



台所のイスに座り、テレビをつけて御飯を食べる。




『―え〜今朝起こった強盗事件ですが、

…犯人は今も尚、人質をとり建物に立て篭もっている模様で―』


「…何?」


ニュースキャスターの声に反応し、オレはテレビの画面を見る。


こんなとある日曜に、そんな事件がおこっていたのか…。


チャンネルを変える。


どこの局も、ほとんどがこのニュースだった。


ただ一局だけ、ボッキー特集をやっていた。


ボッキーは悪く無いんだろうが、なんだかこんな大変な事が起こっているのに特集されているボッキーに少しイラッとした。




テレビの画面には、窓から外を覗く犯人の姿と、人質にされているであろう女性と子供の姿が映っていた。


子供は酷く泣いているようだ。



「…なんて悪い奴なんだ…」


昨日、女の子を襲おうとしていた男の顔がアタマによぎった。


「…あの男といい、コイツといい…悪だな。


…絶対に悪だ。

悪いやつだ」


なんだか、怒りがこみ上げてくる。



…と、同時に、ある事に気がついた。


「…そういえば…オレ…

昨日でびノートを使って人を殺したのに…


…あまり罪悪感を感じていないぞ?


なぜだ?」



…不思議だった。


今までなら、どんなに悪い奴だろうが、殺してしまえばそれなりの罪悪感を感じていた。


阿部…稲生…宇田部…。


アイツらはオレにとってとんでもなく酷い事をしてきた奴らだが、殺してしまったらしまったで、ものすごい罪悪感がオレを襲っていた。



…なぜだ?


なぜ、オレはさほど罪悪感を感じていない???



…特訓により、心身共に鍛えられたからか?


…いや、そんなはずは無い。



オレは死の特訓により体を鍛える事で、自然と心も鍛えられた。


心が鍛えられると、前よりも人の痛みが解るようになった。


…だから…理屈として、罪悪感を感じなくなるというのはおかしい…。





 …じゃあなぜ?


なぜ今オレは罪悪感を感じていない…。









 …その答えが出るのに、さほど時間はかからなかった。








「…あ、そっか。


阿部や稲生は…身近な奴だったからか」



…そうだ。


きっとそうだ。





今まで殺してきた奴らは皆、オレの身近な奴らばかりだった。


どんなに悪いやつだろうと、身近に居る奴を殺してしまったら、


物凄い罪悪感が心を覆ってしまうんだろう。




 …でも、昨日のアイツはどうだ?


まったく知らない人間。



…そして悪い奴。



…オレの心に残ったのは…



 …悪を始末し、罪の無い女の子を救ったという正義の達成感のみ。




「…たぶん…そういう事なんだろうな。

…よし」



ガタッ。


ダッダッダッダッダ…。



オレは自分の部屋に走り、机のカギを開ける。




…キチンと引き出しに収まっているでびノート。



…昨日、カバンに詰め込んだはずなのに、学校に着いた頃には消えていて、勝手に自分の【住み処】に戻っているでびノート。



 でびノートを持って、オレは台所に戻る。




『―犯人の名前は、津田史五郎―』




ニュースキャスターが、画面のテロップに合わせて名前を言っていた。




「…コイツは悪だ。


…オレとは他人の、悪。


オレにとって…悪という存在でしかない奴…」




テレビの時刻を見る。



【11:58】











【名前】津田史五郎
【時刻】7/24 正午0時
【場所】立て篭もり先
【出来事】 一人で窓から飛び降りる
【結果】即死



 でびノートに、オレはゆっくりとそう記入した。


テレビの時刻は、11時59分になった。


…あと一分…。


あと一分で、この犯人は窓から飛び降りて死ぬ。







…なんだか、ものすごく1分後が楽しみになっている自分…。





 壁にかけてある時計を見る。




…時計の針は、11時59分50秒を指していた。



「…あと10秒…」


…胸が高鳴る…。





8…7…6…。



 刻々と、時を刻む時計の針。



テレビの画面では、意気揚々とナイフを人質に突きつける犯人の姿。




3…2…1…。




あと1秒!!!!!!
























  ブチン!




「!!!?」







ざぁぁぁぁぁぁぁ…。



「な…何だ?何が起こった!???」




どうした事だろう?


時計の針が12時を指したところで、突然テレビの画面が砂嵐に変わった。



「お、おい!なんだよちくしょう!


故障かよ!!!」


オレはテレビにかけより、バンバンと叩いた。



…だが、テレビの砂嵐は一向に収まる気配が無い。



「…はっ!ま、まさか!」



オレは無造作にテーブルに置いてある、この間郵便ポストに入っていたチラシに目をやった。

















 【地デジ化、すんでますか?】
















「ちくしょーーーーーーーー!

済んでねーーーーーーーーー!!!!」















 こういう事がおこらない為にも、



 地デジ化はお早めに!


(つづく)

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