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とりあえず怖い話。コミュのでびノート2(第30話)

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ガチャッ…。




「…失礼します…」


「…おぉ、まさお君か」


「こ、こんにちは…」



父さんが入院している湧香病院(わきがびょういん)の203号室。

1月11日の月曜日。

祭日で学校が休みなので、オレは父さんのお見舞いにやってきた。



…あの日、凶野屋で親子丼を食べたあの日の帰り。


年甲斐もなく夜道を駆けた父さんは…



…信号の無い交差点から飛び出して来たトラックに跳ねられた。



慌てて出てきたトラックの運転手はすぐに救急車を呼んだ。



…すぐに救急車が駆けつけ…父さんは一命を取り留めた。



 運転手が少しでも躊躇して、救急車の到着が遅れたら、父さんの命は助かっていなかったらしい…。



「まさお君、みかん食うか?」


「…あ、今はけっこうです…」


「おお、そうか。ムシャムシャムシャ」



父さんの病室に居るこの人は、父さんが夜にバイトしている所の社長さんらしい。



父さんが事故に遭ったあの日、父さんのサイフに入っていた【緊急連絡先】と書かれた目立った紙に書かれていた電話番号に電話すると、この人が出た。



『おっしゃ!任せとき!おっちゃんがパーフェクトに解決したるからな!』



そう言ってこの人は、父さんが入院した日から、結構な頻度で来てくれているようだ…。




「…あ、あの…色々とすいません…父さんの着替えとかも買ってきてくれたみたいで…」



「…ん?ああ、気にすんなや坊主。

馬上…あ、坊主の父ちゃんには、いつもよう働いてもろうてるからな。

ほんまに、色々気の聞く父ちゃんやな。

掃除から、店の女の子の心のケアから、講習まで…っと。


まあ、色々と頑張ってもろてるから、おっちゃん、ちょっとでも出来る事したろかなと思ってな。


…まあ、こういうのはおっちゃんらの得意分野に入るからな。


ハッハッハ」



「…」




ガチャッ。



と、その時病室のドアが開いた。



「…あ…あの…失礼します…」



見ると、父さんを跳ねたトラックの運転手が手土産のようなものを下げて入ってきた。




「…コラァ!!!オマエ、どのツラ下げてココに来とんじゃぁ!!!」



…と、突然父さんの夜のバイト先の社長がすごい剣幕で怒鳴りだした。



「ひぃい…す、すいませんでした…」



怯えて縮こまる運転手。



ガシッ!



社長さんは、丸太のような太い腕で運転手の髪の毛をワシ掴みにした。



「オマエ、ちょっと屋上こいやぁ!! ここは病人と子供がおるさかいにのぉ!」


「すいません…すいません…」



…運転手は、社長さんに引きずられるように病室を出て行った…。




「…怖すぎる…」



…正直、それを見ていたオレもチビりそうになった…。






「…ん?まさお…か…?」



「…あっ、父さん、目…覚めちゃったんだ…」


…あの怒鳴り声では当たり前か…。父さんは目を覚ましてしまったみたいだ。




事故に遭って三日間、父さんは意識不明の重態だった。


…だが今は、意識もあるし、普通に話す事も出来る。



ただ、全身で20箇所以上の骨折があり、動く事は不可能。


それと顔半分の骨も陥没してしまっているので包帯が痛々しい…。



「…あれ?今、社長来てなかったか…?なんか声がした気がしたんだけど…」



父さんは痛そうな首を必死に動かそうとしている。



「…ダメだよ父さん…じっとしていないと…。


…さ、ゆっくり寝てて。

今はケガを直す事が何よりも優先だからね」



「…あぁ、ごめんなまさお…」


「うううん。あれはトラックが悪いよ」


「…そうかもしれないけど…せっかく父さん、家に居る時間が増えそうになったのに…オマエには寂しい思いばかりさせてしまって…」


「それは言いっこなしだよ父さん。


それに、そう思うなら早く良くなって退院しないと」


「…そうだな…すまん、まさお…グスン…」



…頭を打って脳に影響が出たから…?


…それとも、寝たきりで心が滅入っただけか…?


父さんは、入院してから物凄く涙もろくなった。



…何か深い後遺症とかがなければいいけど…。









「スー… スー…」



それからしばらくして、父さんはまた眠りに就いた。



オレはそっと毛布を父さんの肩口まで上げて、病室を出た。




「おう!まさおくん!」


と、そのタイミングで社長さんが歩いて戻ってきた。



「…あぁ、父さん、今寝たところですよ」


「ん?おお、起きとったんかいな。


あちゃ〜。イレギュラーな奴が来たさかいに、伝えそこねてもうたなぁ」


「…伝える?」


「ん?おう。

あ、そや。おっちゃん、今から用事あってちょっと出なアカンさかいに、

まさお君、お父ちゃん起きたら伝えといてくれるか?」



「はぁ…何をですか?」



「おう。弁護士の先生や。

ちょうどな、ウチのグループで一番のやり手の顧問弁護士が、今回の件で力貸してくれる事なってな。

まあ、安心せい。先生なら、ガッポリ吸い上げてくれるで!」


「…弁護士って…そんなにオオゴトにしなきゃいけないんですか…?


それに…あの運転手も、すごく反省してるみたいだし、ちゃんとしてくれる感じがしましたけど…」



「…まさお君、君はまだまだ甘いな」


「…甘い?」


「ああ、甘いで。

事故した直後は、皆反省しよるんや。

…でもな、時間が経つと、だんだんとお金の話になってくるんや。


…中学生にこんな話するんもアレやけど…そういうもんなんや。

おっちゃんらは、そういうのを何百と見てきてるさかいにな」



「…そういうもんなんですかね…」



「ああ。せやで。

…それに、ワシらが相手せなイカンのは、あの運転手やない。

保険屋や。


見たところ、そこそこ大手の運送会社みたいやからな。


それなりの保険屋がついとるわ。


【モチは餅屋】やで、兄ちゃん。



こっちもそれなりのモン用意して戦わんと、後で一生【後悔と愚痴のオンパレード人生】送らなアカンようになるで。


…まあ、兄ちゃんはまだそこまで知らんでええわ。


おっちゃんに任せとき。


全部終わった時に、兄ちゃんは色々学んで大人に近づけると思うで。


ハッハッハッハッハ!


…あっ、時間ないわ。ほな!お大事にな!


これ、先生の名刺や!」



…社長さんはそう言うと、一枚の名刺をオレに渡し、大きな体を揺すりながら階段を下っていった。




…あの社長さんの話…


…本当にそこまでやらなきゃいけないもんなんだろうか…。


…過剰に相手をいじめてるようにも見えるけど…



手に持った名刺を見る。



【奇跡の弁護士 : 市荷 香美】



「…なんだこれ…何て読むんだろ…ま、いいや。後で父さんに渡すか…」


オレはサイフを取り出し、とりあえずその名刺を仕舞った。




(つづく)

コメント(3)

死神かよふらふら
いい奴なのか悪い奴なのかわからん
ワクワクしながら待ってましたうれしい顔
寝る前に見るのが日課になってますあせあせ
シ・ニ・ガ・ミexclamation & question

まさおに何か悪い事おきなきゃいいんだけど・・・

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