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READINGTHOUGTコミュのvol.7

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藤村龍至について、今更何を語ればいい?

批判的工学主義、アーキテクチャ、グーグル的建築家像、という目眩のする程のキャッチーな言葉に及び腰になる必要は、全くない。

どれもすべて、譬え話である。

だからそれぞれの言葉について真摯に詳細に検討することには意味がない。

藤村龍至が<実際にやっていること>を検討することのみが、今の段階では、丁度良い。つまり、建築設計の現場における藤村龍至に、話を限定する。メディアにおける藤村龍至はとりあえず無視。

実際にやっていること
�.いくつかのインテリアと、building Kというタワーマンションを設計
�.その設計は、「超線形設計プロセス論」という方法論を採用

「超線形設計プロセス論」が、アルゴリズムという文脈を呼び、批判的工学主義という文脈を呼び、アーキテクチャやグーグルといった文脈を呼ぶ、鎹となっている。藤村龍至はだから、「批判的工学主義者」でも「グーグル的建築家」でもなく、「超線形設計プロセス論者」の建築家として、ひとまず在る、と言っておこう。

超線形設計プロセス論は、今更言うまでもないことだけれど、「完全な」線形ではない。あくまでも「超」線形である。つまり、ひとつひとつのパラメータをコツコツ純粋培養させて設計が完結するのではなく、設計者の恣意によるある種の飛躍(古来よりこれは創作と呼ばれる)を許容出来る。

だからまあ、普通の設計の話っちゃあ、そうである。条件を与えられて、いかにそれを満足させつつ、それだけではない「質」を得るべく試行錯誤する。パラメータの可視化という発明はともかく、クリティックな内実を含んでいるわけではないのかもしれない。

しかし一方、ブログを見ていると、どうやらこの超線形設計プロセス論は、学生への指導という点で、甚大な効力を発揮しているらしいことが窺える。たしかに「創作」というロマンチシズムを超線形設計プロセス論は否定するから、とても民主主義的で、平等に見える。

上手いなあ。学生を取り込む上で、この方法論は効く。プロセスプランニング論とか言われても?だし、「エスキスなんていらねえよ」なんてストイックに建築家=芸術家論を掲げたら、今の学生は誰もついて行かない。

ちょっと違うかもしれないけれど、僕はここで大塚英志を思い出す。

大塚英志は『更新期の文学』という本で、シナリオエンジンつまり小説やシナリオの創作支援ソフトについて触れている。「東京工科大学片柳研究所クリエイティブラボ・オープンリサーチセンタープロジェクト」なるところでもその開発は進められているらしく、そのコンセプトが載せられていたので、転載する。

本サブプロジェクトの目的は、「シナリオエンジンを設計し、実装する」ことである。シナリオエンジンは、「ストーリー制作支援プログラム」と「構造化シナリオ制作支援プログラム」の二つで構成される。ストーリー制作支援プログラムは、シナリオのテーマ、ストーリー、登場人物、エピソードなどのシナリオ内容構成要素を、構造化プログラムによって容易に組み立て、脚本作成の経験の少ない人が、コンテンツ制作の際に欠点のないシナリオを作成できるように支援するものである。構造化シナリオ制作支援プログラムは、出来上がったシナリオを、XMLによりシーンごとに分類し、制作の下流工程で利用し易いように構造化するもので、特に直接の下流工程であるジオラマエンジンが、半自動的にデータベースから画像を抽出し、時間軸に従ってスクリーンに表示することができるようにする機能を研究、開発するものである。(『更新期の文学』33頁)

後半は殆ど関係なくて、要するに、断片的に物語要素を思いつけば、それを統合して全体化する(物語として成立させる)作業=アルゴリズムはコンピュータがやってくれるようなソフトを鋭意製作中、というわけだ。

大塚英志は『物語の体操』とか『キャラクター小説の作り方』で見られるように、「書くという行為の必要以上の神秘化への違和」を抱いていて、このようなコンピュータソフトを肯定的に捉えているようだ。主体の自意識がだだ漏れの悲惨な創作になることも無く、機械が最初から最後まで構築するような不自然なものにもならないからだ。そこでは適度に主体の恣意(自意識)とか手癖(無意識)とかが混じり合う。(らしい)

たぶん、「超線形設計プロセス論」はそういうことがやりたいんじゃないかなあ。

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