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プロジェクトI@MAYOコミュの八神例大祭 前編

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「八神例大祭」


気温は涼しくなり、すっかり季節は秋になったある日の八神神社。その境内を巫女姿で掃除をしている八神早雪の姿があった。

「さて、これでだいたい終わりましたね。うーん!今日は本当にいいお天気ですね」

早雪が体を、ウーンと延ばしていると神社の階段を一人の少年が登ってくるのが見えた。

「早雪姉ちゃーん!こんにちは!また来ちゃった」

「あら裕くん。いらっしゃいませ!今日は来るのが、お早いですね」

「うん!今日は学校の授業が早く終わったからねー」

早雪が裕くんと呼ぶこの少年は、先日この少年が、父親と一緒に神社に来てキャッチボールをしていた時に知り合って仲良くなったのである。それ以来裕は、毎日のように小学校の授業が終わると神社に遊びに来るようになったのだった。

「それより早雪姉ちゃん。日曜日にこの神社で、お祭りがあるって本当?」

「はい。毎年秋になると八神例大祭をやっていますよ」

「例大祭?」

「うーんとですね。簡単に言えば秋っていろいろな食べ物がたくさん採れるじゃないですか、それを感謝するお祭りですね」

「へぇーそうなんだ。ねぇねぇお祭りって事はお店もたくさん出るの?」

「もちろんです。毎年たくさんのお店が出ますよ」

「本当に?それなら俺、絶対お祭りに来るよ!」

裕は満面の笑みを浮かべて早雪に言った。

「残念だが・・・。今年の例大祭に屋台は出ぬかもしれんぞ」

そう言いながら神社の中から白い着物を着た老婆が出てきた。この老婆こそ、早雪の祖母で八神神社の宮司で八神霜である。

「え!?お婆様それはどういうことでしょうか?」

「うむ。さきほど、例大祭の集会があったのじゃが、その時的屋集の者がワシに『例大祭に出す屋台はこちらが提示する数すべてじゃなければ屋台は出さない』と言ってきてな。とてもじゃないが、向こうが提示してきた数を頼む金銭は我が神社にはないのが現実じゃ」

「そんな・・・」

早雪は、悲しそうに肩を落とした。その様子をみた裕は心配そうに早雪に聞いた。

「早雪姉ちゃん。お祭りにお店でないの?」

「えっとですね・・・。大丈夫です。私がなんとかしてみせますから、そんな顔しないでください。裕くん。」

「う、うん。あ!今日は、そろそろ帰らないといけないんだった。それじゃ楽しみにしてるね、早雪姉ちゃん!お婆ちゃんもさようなら」

「はい。お任せください」

「気をつけて帰るのじゃぞ」

裕が帰るのを見送った後、霜は早雪にたずねた。

「あのような約束をして大丈夫なのかい。早雪よ?」

「はい。まだ良い方法は思いつきませんが、必ず裕くんとの約束は守ろうと思っています」

「うむ。しかしあまり無茶はするんじゃないよ」

「わかっています。ちょっと行ってきますね。」

そう笑顔で言って早雪は、持っていた箒を霜に預けて神社の階段を下りて行った。
一方その頃、事務所では麻宵と藍理が社長に頼まれて、イベントの企画を考えていた。

「ふぁ〜、疲れたなぁ。さっきから欠伸が止まらないよ」

麻宵が大きなあくびをしながらつぶやいた。

「そのようですね麻宵。もう夕方ですから、後は私に任せて帰ってもいいですよ」

「うーん。でも、私も頼まれた仕事だから最後まで頑張ります!あ、でも妹に遅くなるって連絡してきますね」

麻宵はそう言って、部屋から出ようとすると扉が勢いよく開いた。

『ひゃっ!?』

同時に悲鳴があがり、麻宵と扉を開けた早雪は驚いてその場に尻もちをついた。

「も、申し訳ございません麻宵さん」

早雪が尻もちをつきながら謝った。

「びっくりしたぁー。早雪さんだったですか。慌ててどうしたんですか?」

「はい。実は相談があってきたのですが、急がないとみなさん帰ってしまうので、それで慌ててきたんです」

「二人とも、とりあえずそんなところで話さないで中で話をしたらどうですか?」

藍理がそう言って、二人に手を差し出した。

「それもそうですね。ありがとうございます藍理さん」

「ありがとうございます!」
3人は椅子に座り、早雪の話を聞いた。早雪の相談というのは、もちろん例大祭の事である。すると、早雪の話を聞いた麻宵は目を光らせて藍理にいった。

「藍理さん!社長から頼まれたイベントの企画。早雪さんお家の例大祭にするのはどうですか?」

「私もそれを考えました麻宵。・・・その例大祭というものをぜひ手伝わせてください早雪」

「はい。必ずご協力してくださると思っていました。藍理さん麻宵さんありがとうございます」

早雪は、藍理と麻宵の手を握って本当に嬉しそうな顔で、二人にお礼を言ったのだった。
そして迎えた例大祭前日の土曜日。八神神社にあやね、花梨、藍理の三人が訪れていた。

「それで、土曜日のこんな朝早くから呼ばれた訳ね」

「ね、眠いよぉ・・・」

花梨が目を擦りながら言った。

「3人共、こんな朝早くから本当にすみません」

「まぁ、事務所の仕事ならしかたないですけどね。そういえば、麻宵と茅穂はどうしたのよ?」

二人がいない事にあやねは気づき、藍理に訪ねた。

「茅穂は昨日連絡がありまして、今日は友達と約束があるためこれないそうです」

「はぁ?仕事とプライベートどっちが大切だと思っているのよ」

「まぁまぁ、あやね様。茅穂ならプライベートだと私は思うよ」

「はぁ…。それじゃ麻宵は?」

ため息交じりにあやねは聞いた。すると今度は早雪が答えた。
「麻宵さんはまだ寝ていると、さきほど妹の千草ちゃんから連絡がありましたよ」

「ちょっ!?言い出しっぺ!」

そう驚く花梨。

「あの遅刻大魔神がぁー!!」

あやねが怒りの叫び声を上げた。

「わぁ!あやね様がキレた!!」

「お、落ち着いてください。あやねさん」

「どうどう・・・。」

みんなであやねを怒りを鎮めようとしたが、怒りは治まる事はなかった。

「私、家に行って麻宵引っ張ってくるわ!」

そう言ってあやねは怒りの形相のまま神社の階段を下りていったのだった。

「麻宵かわいそうに」

花梨が手を合わせた

「当然といえば当然なことですが」

「とりあえず帰ってくるまで神社の中で待ちましょうか」

そう言って、早雪は二人を神社の中へ案内した。数十分後、頭にタンコブができている麻宵をあやねが引っ張ってきて合流した。

「まったく。誘った本人が遅刻してどうするのよ」

「うぅ、ごめん。昨日ちゃんと、朝の6時に目覚ましセットしたんだけどなぁ」

「麻宵・・・。朝の6時集合なのに6時に目覚ましセットしてどうするのよー!!」

「あー!そっかぁ!!」

麻宵は、オーバーアクションで驚いた。

「あはは…。麻宵らしいといえばらしいね」

「コントみたいですね」

「え?藍理、コントわかるの?」

「たまにテレビで観ていますが」

「そ、そうなんだぁ」

(藍理がコントを観てる姿が想像しにくいなぁ・・・。)

花梨と藍理はそんな会話をしながら二人のやりとりを見守った。すると神社の奥から巫女姿の早雪がやってきた。

「お待たせしました。あ、麻宵さんとあやねさんも戻っていたんですね」

「わぁ〜。巫女姿の早雪さん私、初めてみたかも」

花梨が興奮気味にそう言った。

「私もです。流石似合っていますね早雪」

「ありがとうございます。えっと、麻宵さん?さきほどから私をジッと見つめてどうかしたのですか?何かついていますか??」

「あ、いえ。腋は出ていないんだなーと思って」

「腋ですか?」

「はい!私とあやねちゃんが知り合った鬼の萃…ムグッ」

あやねが麻宵の口を手で塞いだ。

「麻宵。お願いだからその話はしないで、私は夢だったって信じているんだから」

「う、うーううううー(り、了解でーす)」

「えっと一ついいますと、この服ってけっこう薄いので、腋を出しますと冬場は厳しいと思います。夏場は涼しそうでいいですね」

「へぇー。私は巫女服って、厚いイメージがあったんですけど違うんですね」

「実際に着てみるとわかりますよ。はい、みなさんの分の巫女服を用意しておきました♪」

(な、なんだってー!?)

早雪に、綺麗にたたんである巫女服を渡された花梨たちは、そう心の中で叫んだ。
そして着替えるために個室へと案内された。

「ま、麻宵。先に着なよ」

「いえいえ、ここは年上の先輩である花梨さんお先にどうぞ」

「事務所に入った順番だと、麻宵の方が先輩でしょ」

「私だと花梨さんの服のサイズは入らないかなーって」

「ちょっ!?それどういう意味よ!」

「何でもいいからさっさと着替えろー!!」

そう怒鳴ってあやねが、花梨と麻宵の頭にチョップをした。

「イタイ…。暴力反対ですあやね様。・・・って、あやね様はもうお着替えになってらっしゃる!」

「うわぁ!あやねちゃん。本物の巫女さんみたいだよ」

「え?そ、そうかしら?」

「うん。それで竹箒を持てば完璧だよ!」

「……箒持ったら凶暴な巫女になりそうでもあるけどね」

花梨が小さい声で呟いた。

「花梨なんか言ったかしら?」

あやねが花梨を睨みつけた。

「い、いえ別に…。そういえば藍理は?」

「藍理ならとっくに着替えて早雪さんのところに行ったわよ」

「えー。早いなぁ」

「花梨たちがモタモタしているからでしょ。それに、着替えてないは、もうあなただけよ」

「へっ?麻宵は??」

そう言って花梨は麻宵の方を向くと、麻宵はいつの間にか着替えていて巫女服の姿ではしゃぎ回っていた。

「着替え早っ!?いつのまに・・・」

「わぁー!私も巫女さんになった感じ!悪霊たいさーーん!!」

そう言いながら部屋を走り回っていた麻宵は、いきなり滑って顔面から思いっきり転んだ。

「ふんぎゃ!?」

「ちょっと!?麻宵、大丈夫?もう、作業する前から怪我とか服を破かないでよね」

あやねが、埃を払いながら麻宵を立たせて言った。
そんな様子を見ながら花梨は、

(いま転んだ時、麻宵のパンツが思いっきり見えたけど、柄がエクレアだった…。どこまで好きなのよ。麻宵)

と、心中でツッコミを入れた。
花梨の着替えも終わり三人はふたたび境内に戻ると、早雪と藍理が紙を見ながら相談をしていた。

「遅くなってごめんなさい」

「あやね良いところに来てくれました。これが、今回のお祭りの資料と当初の露店の配置図面らしいのですが、露店は今回は頼めないらしく自分達でなんとかするしかないみたいです」

「あぁ、その件は昨日、麻宵から聞いてわかっているわ。まったく、どうしろと言うのよ…と言いたいところだけど、安心して。麻宵から聞いた後に、社長に連絡してなんとかするように言っといたから。そろそろ着くと思うわよ」

すると神社の階段の下に、数台のトラックが停まって数人の男が、露店用の資材を次々に境内の中に運びこんだ。そしてあっという間に運び終わり、一人の男が近づいてきて、

「搬入は完了しました。これから一気に、みなさんと我々で組み立てましょう」

と言ってきた。

「組み立ては私達もやるんだ」

花梨が大量にある資材を眺めながら言った。

「あたりまえでしょ。手伝って例大祭を成功させるのが今回のお仕事なんだから」

「ふぇ〜。かなり、かかりそうだな・・・」

「はいはい。ぶさくさ言ってないで作業開始!」

あやねの言葉で、組み立ての作業は開始された。数人の男達とあやね、花梨、早雪で資材を運び、残りの男達と麻宵、藍理で組み立ての作業を担当した。そして、作業を開始して2時間くらいたった時だった。

「麻宵さん。これが次の資材です。凄く重いので十分注意してくださいね」

そう言って早雪は、キャスターの上に乗っている麻宵に長い鉄のパイプを渡した。

「わかりました!って…本当に凄くお゙も゙い゙ぃ〜」

すると受け取った麻宵は、あまりの重さに狭い足場のキャスターの上でフラフラして、足を踏み外してしまった。

「うあぁー〜〜」

「きゃぁ!ま、麻宵さーん」

その場にいて、気づいた誰もが目をつぶり、時が凍ったように固まった。麻宵はキャスターの上から頭から落ちたからである。おそるおそる早雪がゆっくり目を開けると、その場には巫女姿の麻宵を抱えた、同じく巫女姿で長身の体格がいい女性が倒れていた。

「ふいぃ〜。あぶないあぶない。危機一髪ってところだったな」

「えっ?と、時依さん!?」

早雪が驚きながら言った。

「よう!早雪!久しぶりだな。元気してたか?」

早雪が時依と呼んだ女性はそう言ってニカッと笑った。

「うーん…」

「お、気づいたみたいだね。大丈夫かいお嬢ちゃん?」

「大丈夫です…って!ハッ!だ、だれですか?」

麻宵は勢いよく、時依の手から離れて立ち上がった。

「えーと、ですね麻宵さん。この方は私の従姉妹の一条時依さんと言いまして。キャスターから足を踏み外して転落した、麻宵さんを助けてくださったんですよ」

「いやー。八神例大祭だから手伝いに来てみたら、さっきの状況でね。考えるより先に体が動いた訳さ」

「そうだったんですかー。ありがとうございます時依さん!!」

「おう。無事でなによりってことよ。次は気をつけな」

そう言って時依は、麻宵の頭をポンポンと叩いた。

「そうだ!霜のばっちゃまに挨拶してこないとな」

「あ…。時依さんの服ボロボロです」

麻宵が言うように、時依の巫女服はさきほど麻宵を助ける時にスライディングをしてキャッチしたためにボロボロになっていた。

「おおう!?こりゃまた霜のばっちゃまに、来てそうそう怒られちまうな…」

「あ、お婆様なら今、外出中なので、今の内に家にある違う巫女の服に着替えるのはどうでしょうか?」

「おっ!そりゃ助かるわ!」

「それでは、こちらにどうぞ時依さん。麻宵さん少しだけ失礼しますね」

「はい」
そうして、早雪と時依はその場を後にした。入れ違いにちょうど、買い出しに行っていて、今騒ぎを聞いたあやね達が、あわてて麻宵の所へとやってきた。

「麻宵落ちたって聞いたけど大丈夫??怪我とかしてない?」

あやねがすごく心配そうな顔で麻宵に聞いた。

「うん!大丈夫だよ。あやねちゃん!早雪さんの従姉妹で巫女服を着た時依さんっていう人が私を助けてくれたから」

「そうなの?はぁ〜もう心配したわよ麻宵。今度は気をつけなさいよね」

「はーい。了解しました!」

そう言って、麻宵は笑顔であやねに敬礼をした。

「ねぇ藍理。麻宵を助けたっていう人ってさ、さっき巫女服姿で自転車に乗って風船ガムを膨らませながら私達を追い越して行った人かな」

「あの人で間違いないですね。あまり巫女には見えませんでしたが、早雪の従姉妹というなら巫女のようですね」

「あ、神社の方から早雪さんとさっきの巫女さんと早雪さんのお婆さんが来るよ。うーん巫女さんといっても、やっぱりいろいろいるんだね。」

花梨は並んで歩いてくる巫女服の3人を見比べながら藍理に言ったのだった。
その後お昼休憩を挟み、男勝りな時枝も手伝いに加わって夕方にはすべての組み立てが終了したのだった。そして、いよいよ八神例大祭当日の日になったのだった。


後編へ続く

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